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【養護教員部】2006/12(資料)
全教養護教員部「障害のある子どもたちの健康診断プロジェクト」中間報告を発表

【文科省交渉】

 障害をもった子どもたちの健康保障をすすめる立場から、現場の実態を把握するために、全国960の障害児学校にアンケートを依頼し、264校から回答を得、その特長について中間報告をまとめました。

全教養護教員部「障害のある子どもたちの健康診断プロジェクト」〜中間報告〜

はじめに 
 
 私たち全教養護教員部では、昨年11月の文部科学省交渉において障害のある子どもたちの健康診断に国として責任を持つよう求めました。しかし、その回答は、「各校で適切にやっていただいていると認識している」といった言葉だけでした。国としての改善策や実態調査の方向性は、まったく示されませんでした。
 実際は、どうでしょうか。学級には、脳性マヒの子や、脊柱側わんがすすんでいる子、聴力や視力の測定が集団では難しい子、自閉的な傾向を持つ子や発達の課題を持つ子どもたちなど、様々な子どもたちが存在し、その人数も増える傾向にあります。一人ひとりの発達と成長の課題にあった「健康診断のあり方とは」ということで、今年度、全国の養護学校960校アンケート用紙(すべて記述式)を配布し264校から回答をもらいました。(回収率27.5%)
 この調査で明らかになったことは、ひとつは、私たち養護教員部が養護学校に勤務する養護教諭の抱えていた問題を把握し、仲間の問題として今まで全体で討論をしてこなかったことです。ふたつめとしては、調査用紙に記入されていた一字一句に現場で苦悩する養護教諭(この職を辞することを考えたり、管理職と共に近県に障害児の健康診断マニュアルがないかと探し回り、一冊、探していたものに近いものを見つけ涙したとか)の思いもよせられ、あわせてこの調査の結果報告等に寄せる期待が非常に高く、
逆に励ましのお手紙をいただいたことが特徴的でした。
 次に、健康診断の項目を四つ(医師による健診・学校の工夫や家族の協力が必要・主に内科健診関係・主に養護教諭や教員が実施することで本人の協力が必要)に分け、調査用紙に記入されていた主だった内容を掲げました。まとめた者の簡単なコメントもいれてみました。7ページには、これら「障害を持つ子どもたちの健康診断実態調査」を実施し、今後どういった方向性をとっていくのか、まだ中間報告の段階ではありますが、全国委員会などで報告した内容を載せておきます。みなさんのご意見やご感想もいただきたく思います。(文責 田中)
 
 
1.アンケート調査から分かる様々な事例 
 
①主に医師による健診から
困難な事例
・器具、医師、白衣、いつもと違う環境(暗い、知らない人がいる)等で怖がったり暴れたりして検診が受けられない生徒が多い。
・重複障害の生徒。(人に触られることの拒否)
・自閉症児、反応のない生徒。
 
工夫例
・事前に練習(担任、集団指導、たより、絵カード、家庭の協力、器具貸し出し)
・体位の工夫 ・医師の協力(白衣をぬぐ。器具を使わない等)
・器具の工夫。(歯ブラシ使用等)・検査する教室の工夫
・保護者からの相談をうけている・押さえつける。簀巻き
・個別に本人の特性をいかしながら担任、養教、歯科医、保護者と連携
・障害児対象の治療機関を保護者へ紹介
 
困難な状況
・障害児が地域で治療をするのは専門家が少なく困難
・無理に押さえ込んで検査をすることが良いことなのか疑問
・専門医、障害児に理解のあるDrに来て欲しい
・子どもが怖がらない検診方法の工夫が知りたい
・丁寧にみてもらえない。ほとんどの子どもが検診してもらえない
 
★ まとめてみてみると
 検診をうける以前、「じっと座る」「口を開ける」、「眼を開く」等からできない生徒が大勢いることを改めて知った。器具が恐かったり、歯鏡を噛んで壊すとか、恐怖から嫌がり暴れる子どもたちに検診をしていくのは、相当大変!!!!一般校の子どもたちが受ける検診の枠に、障害をもった子どもたちをはめこむのはやはり無理があると考える。また地域で治療をしたくても障害児は断られたり難しい現実があることも大変問題だと思った。いろんな苦労と工夫、そして悩んでいる養護教諭が多くいるのだと改めて思った。
 
②学校の工夫や家族の協力が必要となってくるもの
<身長>
困難な事例
・立位が困難
・直立で静止できない
・膝関節が伸びない
・側わんがある
・関節等の拘縮があり測定困難
・計測をいやがる子。
 
工夫点
・寝かせた状態でメジャーで測定
・石原式で臥位で測定
・3点法で測定
・体を6分割して測定
・大人数で手足を押さえて測定
・ベッド身長計の活用
・数を数えたり歌を歌ったり、マッサージをしたり。
 
困難
・疑問
・正確差に欠ける(測定のたびに数値が変わる)
・側彎があっても直線で測定
・臥位で測定できる手作りの測定器
・長い足に基準にする
・昨年より低い場合、病気の進行によるものかの判断がしにくい
 
疑問
・曖昧な数値でよいのか?法にあるのでやっているが自己満足なのでは?
 
<体重>
困難な事例
・立位
・座位がとれない。車イス。
 
工夫点
・教員が抱っこして計測。車イス用体重計使用。ストレッチャー式体重計
 
困難・疑問
・抱っこは 職員に負担が大きい。
 
<座高>
困難な事例
・座位がとれない。
・静止できない。
 
工夫点
・おしりから引き算する。
 
困難・疑問
・重心の子にやる意義はあるのか?
・測定していない。
 
<尿検査>
困難な事例
・採尿が難しい(紙コップが使えない。オムツの子)
・排尿が自立していない
 
工夫点
・採尿パック、パッド、その他器具使用。オムツを絞る。学校で採尿
・膿盆にラップを敷いて採尿
・ウロペイパーで学校で検査
・病院の検査結果を記入
 
困難・疑問
・採尿パック等の予算の確保が難しい
 
<寄生虫>
困難な事例
工夫点
・回収期間を増やしている
・2〜3日前に配布し、便が出たときに検査機関に持って行き検査してもらう
・可能な限り郵送。
 
困難・疑問
・中高生は、体の発育やメンタルな面においても、保護者にとってもらうのはどうか?必要があるのか疑問に思う。
 
③主に内科健診関係の項目(栄養状態・脊柱・その他)
困難な事例
・医療機関に定期的に通院している家庭の場合、その情報が聞けば答えてくれるが、あまり入ってこないので、家庭や病院との連携にとても気をつかう(病弱・肢体は特に)
・専門医がいないので、胸郭や脊柱のことになるとお手上げ状態になるし、一人ひとりが「診断名」を持っているはずなのに、医師は何も言わず「健康診断票」への記入はいつも斜線になってしまう。これでいいのか疑問。整形外科医の診断が重要であるがなかなかできていない。
・知的障害がある場合、パニックや障害種(自閉とか)によってもじっとしていることができなかったりする。医師や白衣に拒否反応を示してどうしようもなく暴れる。無理やりの実施となるが、トラウマにさせないか、こんなにしてまで測定する必要性や疑問を持つ。
・障害が起因なのでどうすればいいのかわからない
・るいそうの子が目立つがどうしたらいいのかわからない。「栄養状態…」の項は、子どもたちが起因に左右されているのであって、この項は意味がない(肢体)
・日比式やローレル、成長曲線などでだしているものの実態にあわない。なにか手立ては?
・校医の指摘にばらつきがあるのでどう解釈すればいのか
・入院しているので、病棟まかせになっている
・学校として健康診断がなされていない反面、同じ病弱養護でも医師や看護師たちとのカンファレンスやケース会議に参加させてもらい、とてもよく子どもたちのことが分かるという回答もでている。(病弱)
・座位・立位がとれない子のレントゲン車がない(臥位でとれない)し、介助する職員の被爆が気になる
 
工夫点
・事前学習のための教材を作ったり、いらなくなったものをもらったりして、十分な指導をやっている
・栄養士と連携し「肥満」「栄養」のことを考える
・緊張と不安のある子には、こちらからクラスに出向いたり、廊下でやったりする。
・レントゲン・心臓健診は、該当学年でするのではなく、その子の成長にあわせ実施できる年に実施(毎学年チャレンジ)
・交渉や要望で、実施可能なレントゲンカーがきた
 
困難な状況
・小さい頃から入院やその他でそれどころでない子の数が多く問診票には、きちんと書けないし、BCGもしてない。
・施設入所の子は、問診票に詳しく記入できない。
・心電図が「筋電図」になってしまう。
 
★ まとめてみると
 レントゲンや心電図の検査は、学校で実施するには様々な現場の努力や交渉の結果、可能となってきた事(車・回数)はあるが、限界がある事も事実である。
 脊柱などの検査は、整形外科医の健診のなすところが大きい。各現場において諸事情はあるが、健診枠の中に入れられると良いと考える声が多かった。子どもたちの実態(障害の特徴)にあった健診や検査項目が必要。
 
④主に養護教員や一般教員が実施し本人の協力必要
〈困難な事例〉
・反応がない(できない)…知的障害、重複・重度障害のケース。肢体不自由のため合図が困難。(音や視標に)興味を示さない、集中できない、多動。たとえ聞こえていても意思表示がされなかったり、反応・合図がはっきりせず判定できない。説明しても反応がオウム返しになってしまう。音に対して無関心または過敏のために耳をふさいでしまう。
・検査に対する拒絶…音に敏感で耳をふさいでしまう。静かな検査場に入ることを嫌がる。ヘッドホンやレシーバーの使用を嫌がる。片側では困難なので両側でおこなう。幼児用オージオメーターのクマを怖がる。遮眼器で覆われることの恐怖感・違和感。
・健康診断マニュアルの方法では、「測定困難」となってしまうケースが多い。(ランドルト環、オージオメーター)
 
〈工夫しているやり方〉
視力
検査方法の工夫…視標をひとつずつ見せる。近距離で行う。短時間で。時間をかけて。集中できるように人や物をなくす。両眼ではかる。視力表では無理な場合は玩具などの追視・注視させる。日常生活の様子から観察する。
検査器具の工夫…字一つ、単一視力表。幼児用(絵)。オリジナルの視力表を作る(アンパンマン、ピカチューなどのキャラクター、電車、食べ物、写真、○△□)(ドットカード。TAC(テラーアキュイティーカード)。遮眼器の工夫。
答え方・判定の工夫…マッチング。ランドルト環の模型を用意。口答、手でサインさせる。本人が意思表示できない場合は眼や表情の変化から読み取る。
担任や校医との協力。担任が付き添い本人の変化を観察。
事前練習・盲学校の教員の協力を得る。
 
聴力
検査方法の工夫…モニター音を聞かせる。短時間で。何度かに分けて。オージオメーターでは困難な場合は道具(学期、音叉、電話、音楽)を使って反応を見る。2個のストップウォッチ使用する方法。
検査器具の工夫…新生児用オージオメーター(クマの検査器)。幼児用オージオメーター。ネオメーター。
答え方・判定の工夫…ブザーを使う。口答、挙手、教員の手にタッチで合図。本人が意思表示できない場合は眼の動きや表情の変化、嫌がる様子などから読み取る。
事前練習・担任や校医との協力。
 
〈困難な状況、疑問、その他〉
 マニュアル通りの検査では「判定困難」「判定不能」となってしまう。学校保健法に則った健診はできない。たとえ検査できても正確に判定できない。測るたびに結果にムラ。
 手作りの道具で行っている検査の信頼性に疑問。
 おおざっぱな検査で、視力(聴力)低下を見逃していないか不安?
 数値化された視力より、どんな大きさの物がどの角度で見えるかのほうが学校の健診としては大切ではないか。学習に役立つものでなければ。
・もっと良い方法、検査器具がほしい。子どもたちが興味を持つ道具があると良い。良い方法を教えて欲しい。
 
健康診断票への記入方法。
 保護者への通知。受診の勧めを出すか悩む。治療勧告の基準が難しい。検査に参加出来たことを評価し保護者に通知。健診を教育の場と感じてもらえるように。
 聴覚・視覚の専門職の配置を求める声。
 
★ 調査から見えてきたこと
 聴力・視力は本人が感じても示さなければ結果として判定できない。そのために様々な工夫をしながら「これでよいのか?」と疑問を感じ、悩みながら実施されている。専門機関のバックアップや専門職を求める声も多かった。また、「測定不能な場合が多く以前より実施していない」「出来ない子には検査を実施していない」という回答の一方で、「出来ない場合でも、毎年行うことで成長とともに出来るようになることもある」ととらえてとりくまれている状況もあった。
 
 
2.わたしたちのめざすこれからの方向性について 
 
① 障害児の健康診断を実施するにあたり、子どもたちの成長と発達を見ていく上で、何が必要かの学習が重要となってくる。障害児の「からだと心・健康と健康診断」について学べる研究者を探し、共に育ちあえたらと考える。
② 医師の存在が重要であり、すでにある様々な健診や検査の有効性や必要性についても学ぶ必要がある。そういった人材探しもしなくてはならない。
③ 今後のまとめをホームページや新聞全教などを通し報告をする。これらの調査で得た他の地区成果などを交渉の際に利用してもらう。
④ 校医や父母を巻き込んだ活動とし、他の研究団体等とも連携を組みながらすすめていく。また、特別支援教育が進む中、私たちにとり身近な存在である、障害教育部との連帯も意識しながら、各地でも「プロジェクトチーム」をつくり、障害児の成長と発達を保障し、適切な健康診断を追及していくこと。
(とりくみ)

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