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【資料】2008/07
『教員免許更新制凍結求める討議資料』
教育免許更新制 2009年度からの実施の凍結を
【 討議資料のPDFは コチラ! 】 ⇒ (表) (裏)
35歳 45歳 55歳に免許更新講習
終身有効のはずの免許が何で失効?制度設計、運用にも大きな問題
各地で、教員免許更新制の「試行」がはじまり、多くの職場では、なぜこんなことをやらされなければならないのか、という怒りや、一体これからどうなるのだろうという不安が広がっているのではないでしょうか。
そもそも、現職教員の免許は終身有効の免許です。にもかかわらず、教員免許更新制は、これを「期間の定めのない免許」という勝手な解釈をして、35歳、45歳、55歳の教員にはすべて免許更新講習を受けることを義務づけました。しかも認定されなければ免許を失効させるという重大な問題をもった制度であり、教育の条理に照らして、きわめて不当なものです。それに加え、制度設計や運用においても大きな問題をもつものです。私たちは、少なくとも2009年度からの実施は凍結すべきであると考え、署名にとりくんでいます。ぜひ、多くの教職員のみなさんにご協力いただくことを心からお願いします。
2007年無理に無理を重ねて強行された法律
そもそも、教員免許更新制を入れ込んだ教育職員免許法「改正」法案は、2007年通常国会半ばの3月30日に国会提出されたものです。通例ならば、この時期の法案提出では会期内成立は無理というものでした。ところが、自民・公明政権が、常識はずれのスピード審議と強行採決でとおしてしまったのです。審議の過程では、果たして大学が何人の教員を受け入れることができるのか、という基本的な条件についてさえ、シュミレーションもしていないという、ずさんさも明らかになりました。
結局、教員免許更新制は、安倍「靖国」派内閣(当時)による、きわめて政治的な導入といわなければなりません。
教員の誇りと尊厳ふみにじる教員免許更新制許さない
毎日普通に教育活動をおこなっている教員が、その免許について云々されるいわれはありません。教員は、こんな制度を入れられなくても、校内研修をおこなったり、民間教育研究団体がおこなう研究会へ参加したり、教職員組合が主催する研究会に参加したり、官製研修に参加するなど、日常的に研究・研修をすすめています。
必要な諸経費は自己負担
ところが、教員免許更新制は、こうした、教職員の努力をかえりみないばかりか、受講にかかわる費用や講習会場への交通費、遠距離の場合に必要となる宿泊費等の経費も自己負担させ、無理やり講習を受けさせようというものです。しかもこの制度は、受講すればよいだけではなく、認定されなければ教員免許の失効による失職という恫喝を与える、とんでもない制度です。教員免許更新制をとっているのは、世界でもアメリカの一部の州だけですが、失職させるなどということはありません。
改悪教基法の具体化 時の政府のいいなりの教員づくり
なぜ、こんなひどい制度を入れたのでしょうか。
それは、この教員免許更新制が、改悪教育基本法の具体化だからです。教員免許更新制は、改悪教育基本法とその具体化である改訂学習指導要領による「愛国心」押しつけ教育や「競争と管理、格差づくり」の教育に異議を唱える教員を、免許更新制というふるいにかけて、免許を失効させて失職させるというねらいをもったものなのです。つまり、時の政府のいいなりにならない教員の教壇からの排除というねらいを持つものにほかなりません。
教員の誇りと尊厳をふみにじる教員免許更新制は許せない、という大きな世論を広げましょう。
受講できない?
制度設計そのものに根本問題が…
教員免許更新制は、制度設計そのものに根本問題をもっています。
最大の問題は、教員には更新講習受講義務が課せられているにもかかわらず、大学にも、教育委員会にも講座開設義務は課せられていないということです。このことから、仮に、更新講習受講対象者に見合う数の講座が開設されなかった場合、受講義務を課せられているにもかかわらず、受講できないという大問題が起こります。
しかも、毎年、約10万人が受講対象となるのですから、その年に受講できなかった教員が翌年は必ず受講できるという保障はありません。飽和状態が解消される見込みがないどころか、さらにあふれることにならざるをえません。そうした物理的な理由で、3年の間に更新講習が受講できないという場合も起こりえます。そのような場合に、免許が失効させられるなどということは絶対にあってはならないことです。
教員免許更新制は、そうした根本的欠陥をもった制度です。
「消えた免許状」?
免許管理 掌握できない事態も
教員免許更新制の前提として、現職の教員や、教員ではないが教員免許をもっている人たちの免許管理の問題があります。文部科学省は、500万人分、1000万件の教員免許原簿情報の電子化・一元化をおこなうとしています。
そのためには、都道府県教育委員会が管理しているペーパーの原簿をデータ化することが必要です。結婚して姓が変わっている人などについて、記載ミスが起これば、本人が確定できないという大問題が起こります。
つまり、大きな社会問題となっている「消えた年金」と同様の問題が引き起こされる危険性があるのです。
教員に重い負担 多忙化に拍車
⇒ しおわよせは子どもに
現場は多忙をきわめています。そのうえに、30時間の更新講習の受講義務付けは、教員にとって精神的にも、肉体的にも重い負担となります。また、多くの教員が長期休業中に受講することになれば、長期休業中の学校運営にも支障をきたすことになります。教員の多忙化に拍車がかかれば、日常の教育活動に大きな影響を与えることは明らかです。子どもの教育にとって「百害あって一利なし」です。
制度の廃止含め見直しを?
当面2009年度からの実施の凍結を
これまで述べてきたように、これだけ重大な問題を持っている教員免許更新制は廃止すべきであると考えます。また、改悪された教免法でも、その附則第8条で、施行後5年たったら見直しをするとされています。そのことも視野に入れ、この制度の廃止をふくめた見直しを求めるとりくみを強化しなければならないと考えます。
同時に、現時点でもこれだけ多くの問題点があらわれている教員免許更新制を、2009年度から無理やり実施すれば、必ず現場に混乱を引き起こし、子どもの教育に否定的影響を与えることは目に見えています。このことから、当面、2009年度実施は凍結すべきであると考えます。
私たちは、教員免許更新制の2009年度からの実施の凍結を求める署名運動にとりくんでいます。私たちは、組合員のみなさんに、この署名に総力をあげてとりくむことを訴えるとともに、圧倒的多数の教職員のみなさんに、この署名へのご協力を心から呼びかけるものです。
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