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【報告】2006/03/04〜05 
学校づくり・学校評価・教職員評価討論交流集会 基調報告(1.ついに「義務教育の『構造改革』路線」を打ち出した文部科学省・中教審)

1.ついに「義務教育の『構造改革』路線」を打ち出した文部科学省・中教審

(1)はじめて義務教育の「構造改革」を打ち出した中教審答申
 中教審は、2005年10月26日「新しい時代の義務教育を創造する」という答申を発表し、この中で、はじめて義務教育の「構造改革」を打ち出しました。小泉「構造改革」路線は、「弱肉強食」をその本質とするむきだしの市場原理・競争原理によって、政策的に「勝ち組」「負け組」をつくりだし、いっそうの格差社会をすすめるものです。今回中教審がおこなった教育の「構造改革」という打ち出しは、この「構造改革」路線を教育にそのままもちこむことの宣言であり、重大問題といわなければなりません。教育基本法は第3条で教育の機会均等の大原則を定めていますが、教育の「構造改革」路線によって、政策的に教育に格差をつくりだすことは、これに真っ向からそむくものです。
 
(2)義務教育の「構造改革」路線の重大な内容
 この中教審答申の特徴は、いっそうの「競争と管理」に加えて、教育制度、教育財政、教育条件、教育内容のあらゆる分野にわたって新たな「格差づくり」をすすめるものとなっており、まさに「構造改革」路線そのものです。
 
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 第1は、子どもたちへのいっそうの競争強化です。そのもっとも重大で具体的なあらわれが「全国的な学力調査の実施」の名による悉皆の「全国いっせい学力テスト」押しつけです。中教審答申以前に、すでに文部科学省は、2007年度実施を表明しており、いま国会審議のただなかにある2006年度予算で約29億円を計上しています。これと深くかかわって、競争強化、格差づくりの方向での学習指導要領の「見直し」が答申されました。これについては、後ほど詳しく述べます。
 
��教職員と学校への管理統制強化と新たな格差づくり
 第2は、教職員と学校への管理統制強化と新たな格差づくりです。答申は、「教員免許更新制」導入の検討を述べました。「教員免許更新制」はかつて中教審に諮問され、中教審は2002年にこの制度導入見送りを答申していたものです。いったん見送りの答申が出されたものを、またぞろ諮問した文部科学省の見識が疑われます。同時に、つい最近、導入見送りとしておきながら、今度は導入の検討という方向を出した中教審の無定見と無責任さが問われます。
 
 中教審はさらに、新たな職としての「主幹」制度導入の検討を述べています。これ自身、主任制度の破綻を明らかにしています。文部省(当時)は、教職員のなかに中間管理職としての「主任」をおき、これを管理統制の道具にしようとしました。全国各地の職場からの粘り強いたたかいで、制度化はされたものの、学校運営の民主化をはじめ、私たちは、この制度を教職員に対する管理統制には働かせないという実態をつくってきました。「主幹」の導入は、こうした破綻を新たな職の設置という形での教職員への格差づくりで反動的に突破しようとするものです。また、中教審答申は、「スーパーティーチャー」の導入にも言及していますが、これも「主幹」と同様に、教員におけるエリートづくりという形での格差づくりをねらうものです。
 
 答申は、これらを「教員評価の改善・充実」の名による「教職員評価」押しつけと「学校の自己評価結果の外部評価及び第三者機関による全国的な外部評価」の導入による「学校評価」押しつけに連動させてすすめようとしています。本集会の重要テーマのひとつが「学校評価・教職員評価」押しつけをゆるさぬとりくみをどうすめるかについての討論、交流にあります。後ほどあらためて提起しますが、こうした中教審の動向をふまえ、とりくみをすすめなければなりません。
 
��「9年制義務教育学校」の設置によって6・3制義務教育制度を崩す
 第3は、「9年制義務教育学校」の設置によって、6・3制義務教育制度を崩して学校の格差づくりをすすめようとしていることです。答申は、諮問時点で出されていた「6・3制の地方ごとの弾力化」は見送ったものの、「設置者の判断」による「9年制義務教育学校の設置」の「検討」を打ち出しました。
 
 これは、結局一部の学校を「小中一貫校」とすることによって、他の小中学校との格差をつくりだすことになります。ねらいは、一部のエリートづくりのために、子どもたちをいっそう早い段階から選別することにあります。
 
�い海譴蕕鮃颪�目標を決め、「評価」をおこなってすすめる
 第4に、もっとも重大なことは、これらの施策を国=時の政府が目標を決め、「評価」をおこなってすすめようとしていることです。答申は、「国が明確な戦略に基づき目標を設定」「教育の結果について国が責任を持って検証する構造への転換を」と述べ、これを義務教育の「構造改革」として、教育の国家統制のいっそうの強化をねらっています。また、この中教審答申のあと、2月13日に出された中教審教育課程部会「審議経過報告」では、学習指導要領においても、同様に、到達目標を国が定め、国が「評価」すると述べています。これは、学習指導要領による学校教育の拘束をいっそう強めるとともに、第1で述べた「全国いっせい学力テスト」を「評価」の道具として使い、政府・文部科学省の政策への忠実度をはかるものとするという、ゆるしがたいものです。



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