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【報告】2006/03/04〜05 
学校づくり・学校評価・教職員評価討論交流集会 基調報告(3.義務教育の「構造改革」路線と国民の立場に立った義務教育改革の提言について)

3.義務教育の「構造改革」路線と国民の立場に立った義務教育改革の提言について

(1)いまなぜ、全教は、「提言」を打ち出したのか
 中教審・文部科学省の教育の「構造改革」路線という新たな動向に対し、全教は、お手元にお配りしているように、「国民の立場に立った義務教育改革の提言」を打ち出し、父母・国民との合意運動をすすめようとよびかけています。
 
 このとりくみを提起した理由の第1は、子どもと教育の現状が、教育を根本から立て直すことを求めているからです。
 
 幼い子どもたちが犠牲となり胸を痛める事件とともに、いわゆる「少年事件」とよばれるような子どもが加害者となる事件も頻発し、重大な社会問題となっています。そうした事件にかかわって、「おとなしく、勉強のできる、よい子と思われた子が、突然にキレる」「子どもたちは、かなりストレスをためこんでいるのでは」「人との交わりがうまくできない子どもが増えている」という声があげられます。つまりそれぞれの事件に固有の特殊性はあっても、いま述べた子どもたちの実態は、日常の教室でも日々体験することであり、いまの子どもたちがおかれている共通の特徴点を示しているといえます。
 
 こうした事件が起こるたびに、教育基本法改悪論者は、その原因を「甘やかし」「放任」であるとし、戦後の教育はこれを助長してきたとして、責任を教育基本法に求め、教育基本法改悪に導こうというよこしまな主張を繰り返します。しかし、事実は「まじめな普通の子」が問題を起こしているということを示しています。つまり、いまの社会的風潮や教育政策のもとでは、だれが事件を起こしても不思議ではないという状況に、子どもたちがおかれていることです。これらの事件の背景に、「競争と管理」と特徴づけられるの教育政策、人を粗末にしてかえりみない「構造改革」路線、このもとで急速につくりだされている「格差社会」があることは、明らかです。
 
 こうした状況のもとで、子どもたちを不安と苦悩から解き放ち、みんなと学ぶ喜びをはぐくみ、みんなといっしょに、のびのびと豊かな体験をすることをはじめ、子どもの本音が大切にされ、子どもを丸ごと受け止められる豊かな交わりをはぐくむことが切実に求められています。これを子どものもっとも身近にいる父母と教職員が、地域の人びととも力をあわせてすすめることがいまこそ必要であると考えたからです。
 
 第2は、教育を根本から立て直すことができるのは、父母・国民、教職員であるという厳然たる事実です。そのため、国民的討論がどうしても求められます。とりわけ、文部科学省・中教審が、教育の「構造改革」という教育とはまったくあいいれない政策を新たに提起したもとで、この政策そのものが重大な問題点をもつものであると同時に、この政策の誤りが、「構造改革」路線に日々痛めつけられている父母・国民にとって、大変わかりやすくなっているのも事実です。こうした基盤に立って、本格的に教育を立て直すとりくみを、一つひとつの学校から大いにすすめたいと考えます。
 
(2)教育の「構造改革」路線の破綻の必然性ととりくみの展望
 教育の「構造改革」路線は、必ず破綻する必然性を持っています。それは、競争原理万能、効率優先で、政策的に格差をつくりだす「構造改革」路線そのものが、教育のいとなみとまったく相容れない本質を持つからにほかなりません。子どもと教育をめぐる諸問題は、「構造改革」路線では解決できないことは明らかです。 
 
 すでに述べたように、「耐震強度偽装事件」「ライブドア事件」などをとおして、「構造改革」路線そのものの破綻が、だれの目にも明らかになっています。社会的連帯を強め、運動を国民的に大きく発展させることが必要であり、それができる条件と可能性が大きく広がっています。父母・国民との共同の運動を発展させることによって、必ずうちやぶることができると強調したいと思います。
 
 同時に、「構造改革」路線は、「弱肉強食」をその本質とし、「勝ち組」「負け組」を政策的につくりだすものであり、一人ひとりに固有の価値を見出し、その発達の可能性を最大限に伸ばすという教育の営みとはまったく相容れないものであるがゆえに、一人ひとりの子どもを人間として大切にする教育のいとなみを発展させることによって、必ずうちやぶることができるものです。
 
(3)「子ども参加・父母共同の学校づくり」のとりくみを「国民の立場に立った義務教育改革の提言」にもとづく合意運動に位置づけて
 以上の問題意識から、全教は「国民の手で教育を変える 教育が変わる」と題した「国民の立場に立った義務教育改革の提言」(以下、提言)を作成しました。ここでは、第1の「国は、もっと教育にお金をかけましょう」から第5の「教育委員会をもっと父母・住民の身近で役立つものにしましょう」までの5つの提言をおこなうとともに、教育を変える中心軸に「参加と共同の学校づくり」をどっしりとすえています。
 
 提言1で述べている教育予算増額をはじめとする運動を、学校づくりという教育課題としっかりむすびあわせることが重要です。「参加と共同の学校づくり」は必ず教育条件整備の運動を内包しています。また、教育条件整備をふくむ提言にもとづく合意運動は、その学校の日々の教育実践、教育活動と切り離すことはできません。
 
 「子ども参加・父母共同の学校づくり」を、提言にもとづく教育合意運動にしっかりむすびつけてすすめることが重要です。



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