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【解説】2006/07 
『勤務実態を無視した、問答無用な教員賃金削減を許すな!』

教員給与の削減2.76%+人勧の比較規模見直し△1.4%=4%の賃金ダウンか? 
 
勤務実態を無視した、問答無用な教員賃金削減を許すな! 
 
 新聞などでも報道されている通り、「骨太方針2006」に盛り込む「歳入・歳出一体改革」の中で、政府・与党は「教員給与の優遇分」2.76%削減で合意しました。文科省が全教に示した「財務省・文科省の資料」によれば、次のように説明されています。
 


「教員給与の縮減」(図表を参照)
 
(1)人材確保法に基づく優遇分(給与費目を個別に月額ベースで比較した場合)
 
� )楜襪任陵ザ� 16,096円(教員本給374,495円と一般職本給358,399円の差額)
�◆ゝ遡涯軌蘚�教員特別手当 13,692円
  合 計    29,788円 (教員給与月額410,451円の7.26%に相当)
 
(2)当面の縮減額
 教員には一般行政職に支払われる時間外勤務手当が支給されない代わりに教職調整額が支給されるという特殊事情があることにかんがみ、当面の措置として、教員給与月額が一般行政職給与月額を上回る部分について縮減する。
image
� ゞ軌�給与月額が一般行政職給与月額を上回る額
  11,323円(教員給与月額410,451円と一般行政職給与月額399,128円の差額)
         (教員給与月額410,451円の2.76%に相当)
 (内訳)・本給の減額 5,662円  ・義務教育等教員特別手当の減額 5,662円
�◆々餮防蘆棺霧些曄〔鵤苅械芦�円(06年度予算ベース)
 
(3)残る優遇分  18,465円
 今後、教員の勤務実態調査の結果等に基づき、06年度末までに、教職調整額と時間外勤務手当との関係や、教職調整額の本給扱いの是非(注)を含め、教員給与の在り方について全般的に検討し、その取り扱いについて結論を得る。その際、教員の職務の専門性から必要とされる要素(職務給)という観点からの配慮も必要。
(注)全教:本給扱いをやめると諸手当の跳ね返りで約2%削減。
 
(4)メリハリのある給与体系の構築
あわせて、06年度末までにメリハリのある給与体系の構築について検討し、結論を得る。
 

「3つの無視」で、教員給与水準を不当に削減
 
1.勤務実態を無視 
 第1に、教員の勤務実態調査の結果を踏まえないで、教員給与の削減を「前倒し」で決めたことです。「行革推進法」では、「公立学校の教職員の給与のあり方に関する検討を行い、06年度中に結論を得て」となっており、文科省も「先ず、勤務実態調査など必要な基本的データを収集した上で行う」と表明していました。勤務実態調査を開始する前に、文科省も関与して教員給与の削減を決めたことは、信義違反ではないでしょうか。
 
2.教育論議を無視 
 第2に、教員給与削減幅2.76%は、財務省と文科省間の「妥協の産物」で、今後、教員給与の優遇を全廃しようとしていることです。文科省は全教に対し、「財務省が人確法の廃止と教員優遇分すべての削減を主張したが、文科省として縮減をギリギリのところで収める努力をした結果、当面、2.76%縮減となった」と�狹慘廊瓩鯲論發靴泙靴拭�
 昨年12月に、全国都道府県教育委員長協議会、全国都道府県教育長協議会が連名で、「教職員の人員確保と人材確保法の堅持を求める要望書」(12月14日)を提出し、文部科学大臣も今年1月、「人材確保法の取り扱いにつきまして、優秀な人材を教職に確保するという法の精神は今後とも大切にすべき」(全国都道府県教育委員会連合会総会06年1月17日)とスピーチしていました。
 教員賃金は労働条件であるとともに、重要な教育条件でもあります。これまで文科省は重大な教育政策の変更は、中央教育審議会などでの議論を踏まえて行われてきました。今回文科省が、教職員組合はじめオール教育界の世論に背に向け、人材確保法による教員「給与優遇」の�狎擇衒�し�瓩房蠅鯊澆靴燭海箸惑Г瓩襪海箸呂任�ません。
 
3.法制度の違いを無視 
 第3に、この間、法制度の変更はなく、教員給与の「優遇」を廃止する根拠をまったく示していないということです。
 教員と一般行政職員の法制度上の位置づけは、共通点とともに明確な違いがあります。公立学校教員に採用されるには、教員免許状の所持が義務付けら、条件付採用期間は一般行政職より長い一年間となっています。また、教員には時間外手当を支給する労基法37条の適用がなく、教育公務員特例法による不当な市民的政治的自由の制約もあります。教員給与の「優遇」を定めた人材確保法も、厳然と存在しています。東京都教委の「教員の給与制度検討委員会」(第2次報告)の中には、「高い能力を要求されているので、能力実証を厳しくする必要があるが、一定の高い処遇は容認できる」「責任の度合いは行政職に比べて高く、それなりの処遇は必要であるが、処遇を受ける者の自覚を促す仕組みが必要である」などの意見も紹介されています。
 公務員の給与には、「その職務と責任に応ずるものでなければならない」(地公法24条)との原則があり、行政職、教育職、医療職、福祉職などの各給料表には、職務評価に基づき水準差が設けられています。教職の専門性などのまともな分析もせず、一方で「教員免許の更新制」導入を検討しながら、給与額だけを取り出し、一般行政職との格差を解消することには、合理性も説得力もまったくありません。 
 

長時間過密労働を解消し、仕事に誇りが持てる教員給与水準の確保を
 
 教育基本法は「教員の身分は尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない」(6条)、また、ILO・ユネスコ「教員の地位勧告」は、「教員の地位に影響するさまざまな要因のなかでも、給与はとくに重視しなければならない」(114項)と謳っています。
 公務員バッシングが続く中、「公務員志願 激減、学生も『官から民へ』、景気反映・小泉改革も影響」(「朝日」6月15日)の報道があるように、教員人材確保法の意義は現在も失われていません。今日の人確法廃止・教員賃金引下げ攻撃は、公教育の縮小・教育の民営化路線のもと、� 峩軌蕕竜_餠囘�」を破壊する義務教育費国庫負担制度を廃止・削減する企図とともに、��教員と他の公務員の対立をあおりながら、公務員全体の賃金水準をさらに引き下げる分断攻撃であり、�6軌�賃金水準を引き下げた上で、評価とリンクした賃金差別や級増設で「メリハリある給与制度」を持ち込もうとするものです。
 
 生計費を基礎に、教職の専門性にふさわしく、かつ労働実態に見合った賃金改善を、公務員労働者全体の賃金の底上げを土台に、共同を広げて実現しよう!  
 
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