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【教研】2006/08/17 
「未来をひらく教育のつどい2006」討論のよびかけ

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憲法・教育基本法・子どもの権利条約にもとづく教育の前進をテーマに掲げた「教育基本法教研」としての重要な意義

 いよいよ、「教育のつどい2006」がはじまりました。今日から4日間、子ども、父母、教職員のみなさんがいっしょになって、子どもと教育について大いに語り合おうではありませんか。3つの角度から、討論のよびかけをおこないます。
 
 第1に、「自分を大切にし、親やきょうだい、まわりの人を大切にする心やさしい子どもに育ってほしい」「平和な世の中で子どもを育てたい」という私たちの願いをすべて集めた「つどい」として、みんなの力でつくりあげましょう、と呼びかけたいと思います。
 
 子どもは大変な世の中を一生懸命生きています。
 「弱肉強食」の構造改革」路線が殺伐とした世の中をつくりだし、人を人として大切にしない社会的風潮が広がっています。子どもの幼いいのちがいとも簡単に奪われる事件が多発し、胸をしめつけられるような思いにかられますが、この背景にも、人の命を軽んずるこうした社会的風潮の広がりがあるのではないでしょうか。
 また、格差社会が大きな問題となっており、子どもたちの学習や生活にも深刻な影響を与えています。このような中で、100円ショップで文房具や学用品をそろえる子や修学旅行費が払えなくて、修学旅行に行くのをあきらめなければならない子が増えてきています。とても悲しい話です。高校卒業生や若者の就職難も大きな問題です。また、就職できても2人に1人は非正規雇用であり、大変不安定な身分におかれています。
 このように、貧困と格差が大きな社会問題となり、子どもの安心のよりどころである家庭を直撃し、やわらかい子どもの心を押しつぶしています。
 教育は、人間を人間として大切にし、育てることをその本質とするいとなみであり、教育基本法は、それを「人格の完成」(第1条)をめざす、という言葉で定めています。人間を粗末に扱い、人と人との関係を崩す「構造改革」路線は、絶対に教育のいとなみとあいいれません。大人でさえ生きづらい世の中を一生懸命生きている子どもたちをみんなの力ではげまし、ささえようではありませんか。
 成長・発達の主体は子どもです。子どもの意見、願いや考えに耳を傾け、子どもの実際の姿をとおして、その成長・発達の力をたしかめあいましょう。子どものすこやかな成長を、という私たちの願いをむすびあわせ、あたたかい人間的なやさしさと、平和が大事というみんなの願いで子どもを包みこみましょう。このことを共有した研究、討論をすすめましょう。
 子どもは宝です。憲法9条改悪や教育基本法改悪で、子どもと教育の未来を閉ざすのではなく、文字どおり「子どもと教育の未来をひらく教育のつどい」として、みんなの力でつくりあげようではありませんか。
 
 私たちは、教育基本法改悪法案が国会に提出されるという、戦後はじめての重大な事態に直面しました。しかし、国民の世論と運動の力は、先の通常国会での改悪法案強行をゆるさないという大きな到達点を築きました。
 国会でも、教育の問題がこれほど議論されたことははじめてのことです。そして議論がすすめば、すすむほど教育基本法を変えてしまおうという人々の教育観と、私たち父母・国民が日常あたりまえに考えている教育観との大きなへだたりが明らかになりました。戦前、教育が侵略戦争遂行の道具として使われたという痛苦の歴史を私たちは知っていますが、改悪を主張する人たちからは、侵略戦争遂行に子どもと学校を動員するためにおしつけられた教育勅語を礼賛する発言、教育は強制、という発言などが相次ぎ、「まるで戦前の帝国議会を見ているようだ」という厳しい批判が寄せられました。同時に、私たち父母・国民の常識的な教育観の大切さがあらためてうきぼりにされました。
 
 私たちが日常普通に考える子ども観、教育観は、子どもは人間として大切に育てられるべきもの、一人ひとりの子どもたちはそれぞれかけがえのない人間としてのねうちをもった存在、だからみんなで子どもをいつくしみ育てよう、というものです。これは、個人の尊厳と基本的人権の尊重という、まさに、憲法・教育基本法の理念そのものです。戦後59年間平和憲法のもとで生活し、同じく59年間、教育基本法が教育のいとなみをはげましてきたことが、国民のなかにそうした子ども観、教育観をつちかってきました。
 このこと自体が、平和・人権・民主主義という憲法の「理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」という、教育基本法の真髄が生きて働いていることをあらわしています。
 「教育のつどい2006」は、憲法・教育基本法改悪がねらわれるもとで、憲法・教育基本法・子どもの権利条約にもとづく教育の前進を、というテーマを正面からかかげた重要な集会であり、代表委員あいさつにあったように、「教育基本法教研」と呼ぶべき重要な意義を持っています。このことをお互いに確認しあいながら、教育基本法の理念をふまえた研究、討論、交流をすすめる「つどい」として、みんなの力でつくりあげましょう。
 
 第2に、半世紀以上にわたる教育研究のつみ上げを大切に、みんなの手でもっと前進させましょう、と呼びかけます。
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 「教育のつどい」は、1951年に日光でおこなわれた教育研究大会を出発点として、教職員組合がおこなう世界でもまれな教育研究集会としてスタートしました。それは、当初から「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンをかかげて開催されました。そして、半世紀をこえる研究、討論の蓄積をへて、ここ数年、「いっそう父母・国民にひらかれた教研」へと、教研改革の議論をすすめ、昨年8月には、幅広い実行委員会が主催する「教育のつどい」として、新たな前進と発展をとげてきました。
 子どもたちへのいっそうの競争強化と教育の新たな格差づくりをすすめる動きのもとで、教育研究活動を国民的に前進させることがますます重要になってきています。
 文部科学省は、2007年に、日本でも世界でもすでに破綻が証明済みの「全国いっせい学力テスト」を実施するとしています。過去に大失敗しているにもかかわらず、それを子どもと学校に押しつけようとすることそのものが、教育についての見識のなさをあらわしていますが、それほどにしてまでやろうとするのは、子どもたちをもっと競争させ、子どもと学校にランク付けをしようという、よこしまなねらいがあるからにほかなりません。
 また、文部科学省は、「学力テスト」押しつけと一体に、学習指導要領を2006年度中にも改訂しようとしています。改訂学習指導要領の姿は、現時点で全面的に明らかになっているわけではありませんが、教育基本法改悪法案と照らし合わせれば、競争強化と格差づくりという方向は、いっそう鮮明に見えてきます。
 このもとで、学問研究の成果にたち、教科の本質をふまえ、子どもたちの発達段階に即し、現代的課題ときりむすぶ教育課程づくりと教育を、一つひとつの学校から前進させることは、あらためて重要課題となっています。子どもたちのリアルな姿を明らかにするとともに、これらの課題について、父母・国民、教職員がいっしょになって研究、討論をふかめ、教育を発展させる討論をさらにすすめましょう。
 このとりくみは、子どもが参加し、父母と教職員が力をあわせてすすめる学校づくりの中身をつくるものです。「参加と共同の学校づくり」とむすびあわせて、研究、討論を深めましょう。
 
 第3に、時の政府による教育のコントロールではなく、父母・国民、教職員、みんなの手で教育をつくりあげましょう、と呼びかけたいと思います。
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 先の国会論戦をとおして、教育基本法改悪法案には、国家による教育介入への歯止め規定がまったくなく、時の政府による教育のコントロールが、教育基本法改悪の最大のねらいであることが明らかになりました。
 しかし、重要なことは、だれであっても、また、金力、権力、暴力などのどのような力をもってしても、人の心を完全にコントロールすることはできない、という厳粛な事実です。内心の自由の保障は、人類が到達した近代民主主義の大原則です。そして、教育とは、内心の自由をお互いに承認しあうことによってしかなりたたないいとなみです。
 教育は命令や強制になじまず、理解と納得ですすめられるべきものであるという、私たちがもっている常識的な教育観は、本質的には、「内心の自由」という、この近代民主主義の大原則に由来するものです。
 ですから、教育のいとなみを、時の政府の力で完全にコントロールしきることは絶対にできないのです。これは、教育のいとなみの本質、教育の条理にもとづくものです。
 日本国憲法および教育基本法は、こうした近代民主主義の原則に立脚して打ちたてられたものです。したがって、教育に対する国家の介入の排除は、憲法的要請であり、教育基本法の立法思想が要請するものにほかなりません。
 これにそむくやり方は、もはや教育とはいえないものであり、これを無理やり押しつけようとしても必ず破綻せざるをえない必然性をもつものです。
 ですから、一人ひとりの子どもを人間として大切にする、みんなの手による教育・学校づくりこそ、教育のいとなみの本質にのっとったものなのです。「教育のつどい2006」においても、昨年度同様に、子どもと教育にかかわる焦眉の課題について国民的な討論を展開する場として、「教育フォーラム」を企画しました。ここでの討論も積極的に展開しましょう。これもふまえて、子ども、父母・国民、教職員、みんなの手で教育と学校をつくりあげるとりくみと、教育研究の国民的前進をむすびあわせて、とりくみを前進させましょう。
 教育は国民のもの、という確信にたった研究、討論、交流をみんなの力で、大いにすすめようではありませんか。
 本日から4日間の熱い討論を心から期待し、討論のよびかけとします。よろしくお願いいたします。



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