【行動】2006/12/07
教育基本法改悪法案の強行を許すな12・7中央総決起集会に4800人!【発言(2)】
【発言】出口 治男 日本弁護士連合会 教育基本法改正問題対策会議 議長
いまご紹介いただきました日弁連の教育基本法改正問題対策会議の議長をやっております出口です。今日は、日弁連の立場ということで、お話をしようかと思って参ったんですけれども、これまで志位議員と堀尾先生のお話がありました。日弁連もほぼ同じことを考えておりますので、全部援用させていただきます。私はしたがって若干個人的な意見を交えながらお話したいと思います。
ご承知のとおり、教育基本法というのは非常に条文の数も少ない法律なんですね。あまりみなさん、条文の文字を数えたことはないと思います。約1300字余です。しかし、そこに盛り込まれている思想だとか表現は、まさに珠玉の法律だと思っています。
私自身は法律家になって36年。最初は11年間裁判官をやっておりました。その間、8年間少年事件をもっぱらやりました。その後、弁護士に転じてから現在まで25、6年経つのですが、少年事件やあるいは子どもの権利の問題ということにずっとかかわって、現在に至っているわけです。
現場で、実際に子どもたちと話し、あるいは子どもたちの事件を扱う場合に、この教育基本法というのは、実務家の私にとってはまさに「導きの星」、あるいは「灯火」です。さらに言えば、「励ましの言葉」であり、あるいはお叱りを受ける法律だったわけです。つまり私どもが実際に子どもたちと一緒に悩み、事件をやっていこうという時の指導の法律というものであると。
これは教育基本法に書いてありますように、「個人の価値」あるいは「子どもの尊厳」、これを持とうそうそういうふうに書いてある。あるいは「人格を実現していく」と。私はやはりそこにこの法律の本当の意味があると、この30年間ずっと思ってまいりました。
ところが今回の政府案を見ますと、確かになるほどいろいろ言葉のうえでは、いろんなことが散りばめられてはいます。現行法の言葉をあちらこちら散りばめてはおりますが、根本の精神において、まったく違ったものをつくろうとしている。そういう意味で、これは例えば子どもたちの問題を考える場合に、「規律」であるとか、あるいは「公共の精神」であるとか、「愛国心」だとか、そういうものが私の30数年の経験に照らして本当に必要だったと思われる場面はない。ないのであります。
本当に必要だったら子どもたちの価値を大事にしていこう、子どもたちの人格の実現をはかっていこう、現在の教育基本法の理想と理念、これがやっぱり必要だといまでも思うんです。
そういう意味で今回、私もあえてこの場で個人的な思いも込めて、教育基本法の改悪と申しますけれども、やはりいまこれを許してはならないと思います。子どもたちが本当にいま追い詰められている。現場では、追い詰められているわけですよね。そういう現場の中で、本当に子どもたちを守ろうとすれば、子どもたちの未来を大事にしようとすれば、いまやるべきことは現行の教育基本法の理念を本当に実現しつくすことであって、政府案を認めることではないと思っています。
日弁連は9月15日、この問題についての意見を発表しました。これは先ほども申しましたように、現在の教育基本法の非常に大事な10条を骨抜きにして、教育に対する国家の介入を全面的にはかり、そして子どもの良心の自由、精神の自由を奪おうとする、そういう内容であるという立場から、教育基本法の改悪については認められない、という意見であります。この意見については、理事会においてほとんど全委員一致で議決しました。さらに、各単位弁護士会においても現在52単位会の中の47単位会がこの教育基本法の改悪に反対しています。
先ほど来、国会の情況についてご紹介がありました。本当に後残された会期はわずかですけれども、私ども日弁連も「この改悪を絶対に許せない」との立場から最後までがんばりたい、そういうふうに思います。
みなさん方といっしょにがんばりたいと思いますので、どうか、がんばりましょう。どうもありがとうございました。
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