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【行動】2006/12/13 
教育基本法改悪法案の強行を許すな12・13緊急集会に4500人!【連帯あいさつ】

【連帯あいさつ】世取山 洋介 教育基本法「改正」情報センター、新潟大学助教授 
 
 紹介いただきました新潟大学の世取山です。
 2年前の2004年。教育基本法全国ネットワーク主催のこの場の集会で、DCI日本支部の事務局長として教育基本法「改正」反対のあいさつをしました。その時は、「自分たちの声を国連に届けよう」という子どもたちと一緒にこの壇上に立っていました。彼女たち、あるいは彼らは、口々に受験競争についての疑問を述べ、校則についての疑問を述べ、体罰についての疑問を述べました。彼らが共通して言っていたのは、「自分たちの声を大人は聞いて欲しい」「自分たちの声を教師は聞いて欲しい」「そこから教育を実行していって欲しい」ということでした。
 それを受けて私は2年前。彼ら、彼女たち、子どもたちが求めているのは、教育基本法10条に規定された「教育の直接責任性なのだ」ということを指摘させていただきました。
 そして、みなさんが教師として心から実現したいのは、実はそういった小さな子どもたちの疑問から自分の教育実践を再構成し、より優れた教育実践をしていきたいという気持ちではなかったのか、ということも訴えました。
 もう一つ訴えたことは、教育基本法10条に規定されている「教育の直接責任性」は、1989年に国連総会で採択された国連子どもの権利条約においては、子どもの意見表明権として訴えられていることだ、ということでした。
 そして最後に述べましたのは、みなさんは子どもの権利の守り手として、子どもに直接責任を負って教育を実行していきたい、それを押しつぶす教育基本法「改正」には反対なのだ、それがみなさんの本当の気持ちなのではないか、と訴えさせていただきました。
 
 そして2年間、「改正」問題と付き合いましたけれども、みなさんの気持ちが本当にそこにあるということがよく分かりました。
 先日、12月1日に国会で参考人として私が述べたのは、まさにこのことでした。
そして政府が教育基本法と子どもの権利条約を本当に真面目に受けとるのであれば、次の3つのことは最低やるべきだと陳述しました。
 1つは、「自由な意見表明を難しくするプレッシャーを子どもに与えるな。むしろそういったプレッシャーを減ずるべきだ」。すなわち高度に競争主義的な教育制度の改善です。2番目、「子どもの意見に応対しやすい条件をつくること」。すなわち少人数学級の実現です。3番目、「教師に子どもの声に応答する自由と責任を委譲すべきである」、このことを私は述べました。
 
 もし教育基本法を、そして60年後にできた子どもの権利条約を発展させようとすれば、すべきことは明白だと私は思います。にもかかわらず先ほど述べた3つのこととは、逆のことをしようとしているのが教育基本法改悪法案だと私は思います。
 この間、これに反対するために研究者として、市民として、そして青年期教育にあたる者としてできる限りのことはしてきたつもりです。その際、私が行動基準としたのは教育基本法2条に規定されている「自他の敬愛と協力」という言葉です。�狄祐屬呂△蕕罎詈匹鯆兇┐洞ζ韻任�る。それにより普遍的な事柄を実現することができるのだ�瓩海里海箸鮗┐修Δ箸海糧焦�間、全力をつくしてきました。
 先ほど紹介のあった公述人と参考人のアピールに名を連ねると同時に、教育基本法「改正」情報センターで市民に対しても、このアピールの賛同署名を呼びかけました。9日から約3日間でしたけれども、なんと1万8000名もの方が我々のアピールに賛同していただきました。また、教育基本法「改正」情報センターを立ちあげて、国会と市民と研究者の間を繋ごうとしてきました。さらに昨日は、研究者が参議院の議員会館前でハンドマイクを握って、みなさんの前で集会もしました。
 
 正直に白状しますと、私は研究をはじめた頃は、みなさん方教師にあまり信頼を置いていませんでした。私は管理教育とか、偏差値とか、体罰とかそういう問題の中で育った世代だからです。しかし、みなさん方教師を信頼できるようになったのは、あるいは信頼すべきだと教えてくれたのは、東京民研で出会った足立区の教師でした。また調査で行った奥丹後の校長たちや教師たちでした。そしてその後、現在の足立区の教師たちが、非常に厳しい条件の中にあってもなお、子どもたちと毎日向き合いながら教育実践をしていっていることを知っています。その中で、この数年間、毎年現職死をされる先生がいるということも存知あげております。また、高校では受験競争でズタズタになった子どもたちを目の前にして、「自分たちはそういった政府の手先ではない、人間として君たちと付き合う」というふうに決意して、日々を過ごしている先生たちが、「『日の丸・君が代』に忠誠を誓うわけにはいかない」と言って処分されたことも知っております。
 
 私は、こういう厳しい条件の中にあっても、なお「直接責任」、子どもの権利を守るために最善の努力をしている日本の教師に誇りを持っています。それは1947年に生まれた立憲主義国家・日本の60年間の優れた伝統だと私は確信しています。
 しかし、政府はこの優れた伝統を「現場における規範意識の欠如」といったふざけた理由によって捨て去ろうとしています。これには、私は同意をいたしません。
 みなさんの培ってきた60年間の優れた伝統は、まだ国会にはきちんと伝わっていません。公述人と参考人の中で、現職の教師として出たのはたったの1人です。このことだけをもってしても、この法案は採決に値しない。私はそう思います。
 
 教育基本法を守る運動は、同時に教育基本法の精神を実現するものでなければいけないと思っています。教育基本法の精神とは、子どもの人間としての成長と発達を現場における共同、すなわち教師と子どもとの間の優れた人間関係によって実現するという、このことにつきると私は考えています。
 しかし「改正」勢力は、あるいは「改正」しようとしている人たちは、テストで人間をバラバラにできると確信し、バラバラになった人間たちの心を「愛国心」と少年法「改正」によって刻み込める、あるいは非常に狭い範囲の中に押し込めることができるという、極めて貧困な人間観に基づいていることは間違いありません。
 こういう貧困な人間観に対して、私たちが示すべきことは、我々はどんな壁を越えても人間観の優れた共同を実現できるのだ、ということだと思います。
 この数日間、私たちのすべきことはもっとも基本的なことは、こういう人間の優れた共同性を連中に見せつけてやることだと思います。彼らの身勝手な人間観が通用しないものだと、このことを数日間見せつけようではありませんか。
 
 実は研究者が1人でできることは非常に少ないと言わざるを得ません。従って、本当は私の方からみなさんに「いっしょにがんばろう」「いっしょにやってくれ」とお願いしなければなりません。その意味では、「連帯のあいさつ」というよりは、「連帯のお願い」をしたいと思います。
 最後に、一言だけ言います。
 我々はあの人間観には屈しない。絶対屈しない。60年間、屈してこなかった。この伝統は絶対に守って引き継ぐ。そういうつもりでがんばりましょう。どうもありがとうございました。

 
 
 
 




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