埼玉県教職員組合:『教育基本法改悪強行に断固抗議する』(声明)
2006年12月15日 埼玉県教職員組合(埼教組)中央執行委員会
自民・公明両党は12月14日夕刻、参議院教育基本法問題に関する特別委員会において国会のルールを無視し、政府提出の教育基本法改悪案を強行採決した。さらに本日午後6時前、特別委員会での採決は無効であり、審議をやり直せという世論を無視して本会議での採決を強行した。衆議院に続く二重、三重の暴挙に対して断固抗議する。
今回の改悪法案については、4月末の閣議で決定されて以降、2度の国会で審議されてきたが「改正」の必要性については最後まで国民に納得のいく説明がなされなかっ、た。また、内容についてもさまざまな疑問、批判が多くの識者、国民からなされた。特に「教育の目標」を条文化して、愛国心の強制など子どもを「国家が定める特定の人、間像」にはめ込むことの危険性及び教育行政の役割を180度転換させて国家が教育内容に介入・干渉し、学校や教師の自主性を奪う問題については意見が集中した。これについても、解明にはほど遠い状況であった。一方、政府が教育基本法「改定」に関する国民の意見を聴取するとしたタウンミーティングの場において、文部科学省が中心となって「やらせ質問「発言偽装」など不当・不法な行為を繰り返してきたことが暴露さ」れた。
内容や手続きなどあらゆる面で問題を含んだ改悪法案には、当然のことながら幅広い層から強い批判がなされた。教育学者、学校長、教職員、教育行政担当者などの教育関係者や弁護士会を中心とする法曹関係者の多数が「改正」反対の見解等を明らかにし、た。また、各種世論調査でも圧倒的多数が今国会での採決に反対していた。公聴会においても多くの公述人が反対ないしは今国会での「改正」反対を表明した。
このように教育関係者のみならず国民の多数が反対している状況の下で、今国会成立を至上命題とする安倍内閣が議席数だけを振りかざして強行成立させたところで、それは、国民的合意と納得を前提に進められるべき教育という行為にとって無益であることは論をまたない良識ある国民は係る暴挙を決して許さないであろうし今回の改正を根拠として行われる「教育改革」は実をあげることはできないと考える。権力を振りかざして力づくで「改革」を押しつけるのであれば、それは軍隊の論理であり、可能性を引き出すという教育本来の論理とは無縁のものであると言わなければならない。
われわれは、今回の改悪を受けて準備されている関連法規の改悪と格差・競争の教育に拍車をかける偽りの「教育改革」に反対する。同時に、従来の教育基本法がめざす民主的な教育の実現をめざして運動を強化する。
改悪法案は日本国憲法と矛盾する内容を含むことが指摘されている。それは、現行憲法が存在する以上、改悪された教育基本法が制約を余儀なくされることを証明するものでもある。安倍首相はその憲法改悪を5年以内に断行することを表明している。われわれは、改悪された教育基本法を機能させないためにも、憲法改悪反対のたたかいに全力をあげる決意を表明する。
【添付ファイル】
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