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東京都障害児学校教職員組合:『政府提出の教育基本法案の採決強行に断固抗議する』

2006年12月15日 東京都障害児学校教職員組合(都障教組) 執行委員長 白瀬美弘

 12月15日、午後5時52分、参議院本会議において、自民、公明両党は慎重審議を求める多くの国民世論を無視して政府提出の教育基本法案の採決を強行した。国会ルールをも無視した衆議院での与党単独での強行採決、参議院特別委員会での強行採決に引き続く、歴史的暴挙であり、都障教組は、満身の怒りをこめて抗議する。
 
 この法案には、重大な問題がある。第1に、なぜ、教育基本法を「改正」しなければならないのかが何ら明らかにされていない。第2に、愛国心を法律で押しつけるのは憲法違反である。第3に、教育に対する国家の歯止めなき介入に道を開くものである。「改正」の理由も明確でなく、しかも憲法に違反する法案を数の力で押し切った暴挙を我々は認めるわけにはいかない。
 
 手続き的にみても重大な問題がある。法案提出の責任者である文部科学省が「改正」世論をつくり出すために「教育改革タウンミーティング」での「やらせ」発言、「サクラ」動員など驚くべき事件が次々と明らかになった。しかも、その問題を政府自身が認めて、当時、官房長官であった安倍首相が自らを処分する事態に至った。法案提出のやり直しがされなければならない問題である。にもかかわらず、採決を強行した与党の責任は重大である。
 
 国民世論も、NHKをはじめ各種の世論調査で反対ないし慎重審議が多数を占めていた。日本教育学会歴代会長をはじめとする多数の教育研究者や日本弁護士連合会の反対声明、さらに現職の校長の66パーセントが政府案に反対、ないし慎重審議を求めているという東大のアンケート結果も出された。公述人・参考人の多数も慎重審議を求めるアピールを出した。強行採決は、こうした国民世論に対する挑戦であり、断じて許すことはできない。
 
 大多数の父母、教職員、国民が求めているのは、今、教育現場で起きている悲惨ないじめ自殺や未履修問題などの解決策である。教育基本法を変えることでこの問題の解決ができるのか、政府は何一つ根本的解決の方向を示すことができず、むしろ、さらに激しい競争と格差による教育破壊を子どもと学校に押しつけようとしている。
 
 現行の教育基本法第3条「教育の機会均等」は「能力に応ずる教育」の保障の理念に基づいて、どんなに害の重い子どもたちにも発達の可能性を求める障害児教育を発展させてきた。また、教育基本法第10条1項は、東京地裁で石原都政による「日の丸」「君が代」の学校現場への押しつけを「不当な支配にあたる」と断罪した。七生養護学校の性教育に対する都教委の乱暴な介入に対しても、教育基本法違反として東京地裁に提訴している。
 
 しかし、「改正」法案は、「能力に応ずる教育」から「能力に応じた教育」に変え、障害児教育をも、できる子どもには手をかけ、できない子どもは切り捨てる教育へと変質させようとしている。また、現行10条の改変は、国家権力が無制限に教育内容に介入できるようにするものであり、これまで、私たちが積み上げてきた教育が根こそぎ破壊されていく危険をはらんでいる。
 
 都障教組は、改悪基本法の具体化を許さず、憲法に立脚して、子どもと教育を守るため、すべての教職員、父母・国民と力をあわせて奮闘するものである。
 
以上
 
 
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