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新潟県公立高等学校教職員組合:『父母、県民、教職員のみなさんへ 教育基本法改悪法案成立にあたって――改悪教育基本法の具体化をゆるさず、教職員、父母、地域との共同、子ども参加の学校づくりをすすめ、教育を国民的につくりあげるたたかいに全力をあげましょう――』(声明)

2006年12月16日 新潟県公立高等学校教職員組合(新潟公立高教組) 本部執行委員会

1 政府、与党は、教育基本法改悪法案の廃案、慎重審議を求める圧倒的な父母・国民の声、教育現場の声を無視して、衆議院に続き参議院でも採決を強行し、教育基本法改悪法を成立させました。私たちは、「教育の憲法」たる教育基本法を数の力で蹂躙し、改悪法案を強行した歴史的暴挙に対し満身の怒りをこめて抗議するものです。
 
2 教育基本法改悪法は、子どもたちと国民の内心の自由の侵害や、時の政府の教育への歯止めなき介入など、日本国憲法の諸原則に反する重大な問題点を持っていることが、春以来の国会審議を通してあきらかにされました。そのねらいは、憲法改悪を教育の分野で先取りしてすすめ、9条改悪と一体の「戦争する国の人づくり」、財界の求めに応じて競争と格差の教育づくりをすすめるためのものであることは明らかです。
 
3 教育基本法改悪法を審議する国会も異常な事態の連続でした。政府・文部科学省がタウンミーティングなどで「さくら」を集めて「やらせ質問」をくりかえし、「世論」の偽造が明らかになりました。このこと自体、政府の法案提出資格を根本から問う大問題です。
 これに加えて、臨時国会開会後に重大化した「いじめ」問題や、必修科目の未履修問題は、教育のあり方の根本にさかのぼって検討すべき重大問題でした。
 これらの重大問題を、未解明あるいはおざなりにしたまま、衆議院に続いて参議院においても採決が強行されたのです。
 
4 私たちの教育基本法改悪反対のたたかいは、「教育とは何か」を父母、市民に問いかけ、ともに考える創造的な取り組みでした。公立高教組は、市町村教育長との懇談を報じた教職員向け新聞の発行をはじめ、臨時国会中だけでも県内にのべ7万枚を超える宣伝リーフ、新聞を配布し、ほぼ毎週にあたる街頭での宣伝行動、宣伝カー行動を県内諸団体と共同で行ってきました。
 また、県下全35市長村教育長と懇談した教育基本法キャラバン(10/2〜6)をはじ、「高校一学区を考えるシンポジウム−教育基本法『改正』とかかわって」(12/3)、無言館館主窪島誠一郎さんをお招きした「教育基本法『改正』問題を考える講演とシンポジウム」(9/25)、立命館大学国際平和ミュージアム館長、安斎育郎さんの教育・平和講演会(8/26)など、教育基本法改悪の危険を父母、市民とともに考える共同のとりくみに積極的に運営、参加してきました。
 
5 これら教育基本法改悪反対のたたかいの中で訴えたことは、多くの父母、市民のみなさんから共感していただいたと確信しています。
 街頭宣伝を通じて、改悪法が持つ「国家のための人材づくり」に終始し、教育の営みを根本から破壊する内容に対して、父母、市民から強い批判が寄せられました。
 「戦争する教育にしてほしくない」と大勢の中学生、高校生が署名をし、近所で配布したいと宣伝ビラを持ち帰った学生や飛び込みでマイクを握った若者とも出会いました。
 
6 教育基本法が改悪された今でも「教育は不当な支配に服することなく、直接国民に責任を負って行われる」という1947年教育基本法の文言は、わたしたち教職員が教育実践を行ううえでの根底を流れるものに変わりありません。それは、文部科学省や教育再生会議が、いじめ自殺などさまざまな問題に対して無力な政策提言しか出せないことからも明らかです。さまざまな教育の課題は、現場の教職員のたえまない日々の努力と自主的、自律的で、集団的な討議と実践があって、はじめて解決に向かうものだからです。そのことは日本国憲法が要請するところでもあります。
 
7 改悪教育基本法は憲法違反の悪法であり、この強行にともない、現場への圧力は増加し、ますます子どもたちは競争と管理の教育のため、ストレスにさらされることになります。
 全国一斉学力テストや新潟県でも高校全県一学区制が導入され、競争教育にいっそう拍車がかかることが予想されます。国旗・国歌の強制で心まで子ども、父母、教職員を縛り付ける教育はすでにはじまっています。数字がすべであるかのように教育の数値目標が設定され、その目標だけに邁進する学校がつくられようとしています。
 
8 私たちは、改悪教育基本法の廃棄を展望しつつ、改悪教育基本法の具体化をゆるさぬたたかいに全力をあげます。とりわけ、改悪教育基本法の成立後に予定されている33法案とも言われている教育関係法案の改悪をゆるさぬとりくみ、「教育再生会議」を中心としてねらわれる安倍内閣の教育改悪プランの具体化をゆるさぬとりくみを、日本国憲法に立脚し、旺盛に展開するものです。
 
9 私たちは、教育基本法のたたかいをとおして、日本国憲法を守るたたかいの前進と飛躍の展望をも大きくきりひらいてきました。私たちが依拠するべき日本国憲法を断じて変えさせてはなりません。子どもたちの未来を、戦争する国にしないために、民主主義をまもり、一人ひとりの基本的人権が保障される社会を発展させるために、日本国憲法改悪を  許さないとりくみに全力をあげようではありませんか。
 
10 私たちは、教育基本法改悪反対の運動の中でつくりあげた「教育とは子どものためにある」という国民世論をさらにひろげることで、改悪教育基本法を具体化させない、学校に持ち込ませない、豊かな教育実践の可能性が広がったことを確信しています。
 私たちは、「子ども参加と父母共同の学校づくり」を軸に教育実践をつくりあげ、子どもと教育を守るため、教育を国民の手に取り戻す取り組みに全力をあげることを、すべての教職員、父母、子どもたちに呼びかけ、全力で改悪教育基本法の具体化を許さないたたかいをすすめることを表明します。
 
 
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