岡山県高等学校教職員組合:『政府・与党による教育基本法改悪法案強行採決に抗議する――改悪教育基本法の具体化を許さず、教育を再び国民の手に取り戻すために――』
2006年12月15日 岡山県高等学校教職員組合(岡山高教組)
(1) 自民・公明の与党は、2006年12月15日、改悪法案の廃案、慎重審議を求める圧倒的多数の父母・国民の声および教育現場の声を無視して、政府提出教育基本法案(改悪教育基本法)を強行採決しました。
今年で50周年を迎えた岡山高教組の歴史は、「人格の完成」を教育の目的としてかかげる、現行教育基本法の理念を具現化するとりくみの歴史でもありました。この記念すべき年に、国民世論を踏みにじり、教育を国民の手から卑劣にも奪い取った歴史的暴挙に対し、満身の怒りをこめて糾弾し、強く抗議するものです。
(2) 改悪教育基本法は、すでに通常国会の審議を通して明らかにされたとおり、「教育の目標」において子どもと国民に「国を愛する態度」を強制するという、憲法第19条に定める「内心の自由」を乱暴に侵す内容を含んでいます。さらに政府・行政による教育への介入を無制限に可能とする点でも、重大な憲法違反の内容を持つものです。つまり、改悪教育基本法は、憲法との関係を断ち切り、現行教育基本法が持っていた魂をすべて抜き去る憲法違反の法律です。憲法違反の法律など、その存在自体、許されないことが明らかです。
(3) この臨時国会では、「教育改革タウンミーティング」での「やらせ」「サクラ」問題にかかわって、法案提出者としての文部科学省の姿勢そのものが厳しく問われました。そのうえ、「いじめ」自殺問題や未履修問題など、子どもと教育にかかわって解決しなければならない重大な社会問題が山積しています。
現行教育基本法を軽視しておこなわれてきた、これまでの教育政策の根本にさかのぼった総点検が求められているまさにこの時期に、政府・与党が、それらを置き去りにしたまま教育基本法改悪法案を強行するなど、断じて許されません。
(4) 岡山高教組はこの間,県内各地で集会を開催し、連日の署名・宣伝行動にとりくむなど、教育基本法改悪を許さぬたたかいに総力を挙げてきました。
5月から県内で開催した「教育基本法学習会」は87回を数え、父母・地域住民・教職員などのべ2680人の県民が参加し、現行教育基本法の理念とその実現に向けて、さまざまな立場から意見を交流しました。こうした共同が全国で広がった結果、「今国会での成立にこだわらず」「国民的な論議をふまえて」「慎重な審議を」の声が、圧倒的多数の世論となりました。
(5) 私たちは今こそ、現行教育基本法にうたわれた「人格の完成」を、教育の真の目的として高くかかげます。岡山高教組は、この間の教育基本法改悪を許さぬたたかいのなかで、子どもたちのたしかな未来を切り拓こうとたちあがった全国の教職員、父母、労働者、市民そして各分野の人々との共同の力をさらに発展させ、改悪教育基本法の具体化を許さず、厳然として存在する日本国憲法に立脚し、教育を国民の手に取り戻すたたかいに、全力をあげるものです。
以上
【添付ファイル】 声明及び抗議ビラ
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