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『未来をひらく教育のつどい2006』 第 1〜 3分科会


◆第 1分科会  国語教育  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
1 今回のレポートの内容と傾向
 
(1) 共通にみられる内容と傾向
 現場への国語教育の空洞化につながる押しつけ、学力低下をもたらす状況を克服し、子どもたちの「ことばの力」を伸ばすことをめざす実践が、さまざまな現場の実態をふまえて報告されています。
 
 また、その内容が具体性をもたない「ことばの力」という語が、本質的な問題をふまえずに無原則に現場を覆う状況の中で、国語教育の構造をふまえ、私たちの考える「ことばの力」をどうとらえ、どのような実践をとおして伸ばしていくのかを、今までの提起や実践をふまえて、さらに深めていくことが課題です。
 
(2) 子ども・教材・授業・学力
 学習指導要領・国語の「伝え合う力」の強調による活動主義や、形式的なことばの操作や習熟のための技術主義の徹底が現場に広がり、現場の困難が多くの報告に表われています。今こそ「何のために」「何を」「いつ」「どのように」教えるのかをふまえた自主教材づくりが望まれます。子どもの主体性を保障した授業づくりと、何よりも子どもの人間的発達と同義語の生きてはたらくことばの力を育てる国語の教科構造を深める討論を期待します。
 
(3)言語の教育
 一面的な言語技術を前面に出した「ことばの力」政策の押しつけが強まっています。この政策が前提としている言語観、子ども観、授業観を批判的に考察することが求められています。
 
 言語と思考、認識との関係をめぐる議論を深め、音声、文字、文法などについての「とりたて」による科学的で体系的な言語教育のあり方についての到達点と課題を明らかにします。
 
(4)つづり方(作文)・「表現」の指導
�‐�学校:子どもたちの「生活に根ざしたことば」が「自分」を表現し、書く力を伸ばすとともに、人間的に成長していく実践が報告されます。単に表現技術の指導だけでなく、ことばに生活をこめることを追求していくことの意味、さらに低学年だけでなく、中・高学年にどう実践をつなげていくかを討論したいと考えます。
��中学・高校:人間的発達を保障し、世界を読み解くための作文・「表現」教育の意味と役割、「国語表現」の可能性を探り、一人ひとりの表現意欲、論理的思考、現実認識の力を育て、表現する力をどうつけていくかを考えます。
 
(5)科学説明文・評論の読み方指導とメディア・リテラシーの教育
�‐�学校:事実とことばをつなげてていねいに指導し、科学的に認識し論理的思考力を育てる指導をどうすすめるのか。低学年の説明文指導の報告をもとに深め合いたいと思います。
��中学・高校:新聞記事を教材に切り抜き帖を作ったり、それらを媒介に関連書籍まで子ども自らが発展させる報告が特徴的でした。それをもとに考えを発表し合うことで、メディア・リテラシーともかかわる表現活動の新しい分野での討論を深めたいと思い
ます。
 
(6)文学作品の読み方指導・文学教育
�‐�学校:ことば表現をふまえ、形象の相関をイメージ豊かに読む過程が軽視されている現状のなか、文学体験を成立させ、子どもたちの主体的な読みを保障し、現実とどう切り結ぶかをめざした報告が目立ちます。改めて文学を文学として読むことの意義、多様な指導方法の交流、自主教材の発掘、詩の鑑賞指導についても議論を深めたいと思います。
��中学・高校:人間認識や現実認識を深めるための文学教育の価値について教材論を軸に討論したいと考えます。また、文学教育としての古典教育の可能性について検討を深めます。
 
 
2 予想される討論の柱
(1)課題提起「子どもの成長発達とことばの力」
 
(2)教科書問題
 
(3)言語の教育
 
(4)つづり方(作文)・表現教育〈小学校小分科会〉
�/祐崚�発達を保障するためのつづり方(作文)の教育の意味と役割。「学級・学校づくり」とつづり方(作文)。「家庭・家族のくらし」とつづり方(作文)。「社会・自然の中」でのつづり方(作文)。
��日常的・継続的なつづり方(作文)指導、文集作り。
�F睛董Ψ措阿箸發乏里�で豊かなひとまとまりの文章表現力を身につけさせるためのつづり方(作文)の指導過程・授業はどうあるべきか(入門期の指導、表現意欲・取材の指導、構想・記述・推敲の指導)。
�せ蹐了愼海呂匹Δ△襪戮�か。
 
(5)作文・「表現」教育〈中学・高校小分科会〉
�/祐崚�発達を保障するための作文・「表現」の教育の意味と役割。
�◆峭餮貮集宗廚硫椎柔�を探り、一人ひとりの表現意欲、論理的な思考、現実認識の力を育て、表現する力をどう保障していくか。
 
(6)文学作品の読み方指導・文学教育
�,海箸个鬚討い佑い忙愼海掘�形象を豊かに読み、文学体験を成立させる指導。
��形象を総合して作品を深く読みとり、性格・葛藤、主題・思想をつかみ、文学体験を意味づけたり、批評を成立させたりする実践の確立と指導(学習)過程の創造。
��詩の授業。
�じ電偽軌蕁�
 
(7)科学説明文・評論の読み方指導・メディア・リテラシー
 
(8)子ども・教材・授業・学力を考える
 
(9)全体総括
 

分科会決議 国語教育の創造的実践を阻む全国一斉学力テストに反対する 
 
<参加者の感想> ○広島のパイロット校からの「ことばの教育」の報告がとても印象に残りました。平和教材が国語教科書から、なくなりつつあるその中で、広島の県教委がこれからの国語教育としてパイロット校を決定し、つくば言語技術研所長・三森ゆかり氏の指導のもと、現場に貫徹していくということが行われている。今までの言語教育は、生活経験を通してのものであったが、それとは全く違う言語教育であると思った。言語を子どもに、技術として身につけるとなっている。作文教育、文学教育の軽視につながっていくものとしてあると思い、危機感を持った。(速報「たまっこ」より)
 

◆第 2分科会  外国語教育
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
第1日目
1 討論の柱と日程
 
(1)外国語教育の現状とあり方
 憲法・教育基本法の改定の動きが急を告げています。外国語教育は平和教育であり、国際交流、国際連帯を重視していますが、この観点からいっても、最近の一連の動きに無関心ではいられません。外国語教育をとおして、世界の人びととの交流、連帯をすすめ、平和教育を充実・発展させる実践が求められます。
 
 新しい荒れによる「授業崩壊」、英語教育の多様化の中で、学力の二極化の傾向がますます強められていますが、学校現場における生徒の実態を明らかにし、すべての生徒に真の学力を保障する授業実践を創意工夫する必要があります。さらに「クラス解体」につながる「少人数」授業の導入、習熟度別授業の実施、観点別絶対評価の実態と問題点、中学校の新英語教科書の検討と教科書の採択をめぐる問題、英語の教員の現状と問題点を明らかにし、実践の相互交流を深めます。
 
 小学校で英語を必修化する動きが強められています。これまでも英語の授業を国際理解教育の一環として「総合的な学習の時間」に組み込んで実施してきましたが、さらに教育特区の構想にもとづいて、「コミュニケーション能力の育成を図る」ことを目的とした科目としての「英語」を新設する動きが全国的に顕著になってきています。このような上からの一方的な押しつけで全国的に実施されつつある小学校の英語教育の実態と問題点を明らかにし、真の国際化にふさわしい外国語教育はどうあるべきか、討論を深めます。
 
(2)教材の創造的な扱いと自主編成
 豊かな自主教材の開発と自主編成の道を追求し、自主教材を使用した充実した教育実践をすすめ、教材をどう扱うかについて討論を深めます。
�ゞ戯爐料和づ�な扱い(7,3)
 自主教材の開発がすすめられ、多くのすぐれた教材が教科書などに取り入れられるようになりました。よくわかり、楽しく学び、力をつけるための授業の工夫、教材の扱い方が大切になってきています。また、すぐれた教材を扱う授業の展開にはさまざまな方法がありますが、子どもを中心にした授業を創るあり方について考えます。
�⊇颪�力・自己表現(4,2)
 外国語教育で重視すべき学習活動の一つに自己表現があります。やる気を失っていく子どもたちを、授業をとおして、自分の考えや意見を持たせ、相手の主張を理解できる人間に育て上げ、自己表現の意欲をかきたてる指導の手立てについて討論します。
 
第2日目(午前)
�F匹濕茲蝓�11,8)
 教科書教材や自主教材のねらいを明らかにし、平和や人権の大切さを読み取る力を育てる授業、即読即解など具体的な読み取りの手立てについて討論を深めます。
�ど集蹴萋亜�5,6)
 学習指導要領では「実践的コミュニケーション能力」が強調されています。ダイアローグ作りや英語劇のとりくみなどによって、生徒が感情や思いを表現し、伝える方法を身につける実践について討論を深め、真のコミュニケーションとは何かを考えます。
 
(3)平和と人権教育、国際交流(8,1)
 戦後60年、日本国憲法の下で平和を守ってきた日本も、自衛隊のイラク派遣、自衛隊を自衛軍に変える改憲案が出されるなど、「戦争をする国」への転換が急速に図られています。海外の人たちとの交流、親善をめざし、平和な中で共存を実現するのが、外国語教育の第一義的な目的であるとするなら、このような動きに無関心ではいられません。過去の悲惨な戦争の実態を直視し、真実にもとづく歴史認識を育む授業のあり方を考え、「世界の人びととの理解、交流、連帯を進める」(「外国語教育の4目的」)ための具体的な授業実践を交流します。
 
第2日目(午後)
(4)学力保障と評価(10,9,12)
 すべての子どもたちに外国語を学ぶ権利と喜びを保障するために、一人ひとりを大切にしながら、興味を持って学習に参加するような手立てをつくり出さなければなりません。英語が苦手な生徒たちをどのように生き生きさせるかをめぐって討論します。さらに、真の学力とは何か、子どもを励ます評価のあり方などについて考えます。
 
(5)総合討論
 2日間にわたる分科会の報告を踏まえ、その成果を確認し、問題点を明らかにして今後の展望について討論を深めます。
 
(6)次年度への課題
 2日間の討論の中で出てきた課題を持ち帰り、各職場・地域で討論を深め、授業の実践をとおして今後の展望を明らかにします。
 
 
2 参加者への要望
 
�.譽檗璽拭爾亙鷙陲陵彭世鬚靴椶蝓■隠以�以内で報告してください。なお、司会や共同研究者より報告の内容について要望を出すこともあります。
��発言者は討論の流れに沿って3分以内にまとめてください。
�A闇�度教研のまとめ「日本の民主教育2005」の分科会の部分を読んでおいてください。
 
<参考>[外国語教育の4目的]
�ヽ姐餮譴粒惱�を通して、世界平和、民族共生、民主主義、人権擁護、環境保護のために、世界の人びととの理解、交流、連帯を進める。
�∀�働と生活を基礎として、外国語の学習で養うことができる思考や感性を育てる。
�3姐餮譴汎�本語とを比較して、日本語への認識を深める。
�ぐ幣紊鬚佞泙┐覆�ら、外国語を使う能力の基礎を養う。
 

◎受け身になりがちな現代っ子たちに  約30人の参加で行われました。「教材の創造的な扱いと自主編成」の柱の中から、東京の中学校の先生のレポート「ばらばらな心を結びつける継続的な自己表現活動」の発表中にお邪魔しました。
 授業を通して心がけていることの一つは「自学自習の習慣を大切に」していること。とかく受け身になりがちな現代っ子たちに対して、1年生からメモをとる習慣をつけてのノート作りや辞書引きを通じて発展的な学びにつなげていく。必修の週3時間に加え、選択の授業での深化・補充が大きな役割を果たす。また、NIE(新聞に教育を)へのとりくみや、5行詩・絵本作成などを通じ、子どもたちが自分の好きなものはていねいに表現することもわかりました。その心の柔らかさが学ぼうとする力の基になることを、自己表現を通じて生徒から学ばせてもらいました。(速報「たまっこ」より)
 

◆第 3分科会  社会科教育 
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
1 社会科教育の課題と実践(全体会�機�
 
 憲法9条改悪の動きが急速にすすむ状況のもとでの社会科教育の課題について、共同研究者の問題提起と6本のレポートにもとづいて討論を深めます。
 
(1)社会科教育の当面する課題
 共同研究者の提起にもとづき、分科会で深めるべき課題を確認します。
 
(2)憲法学習と教科書問題
 世界に誇るべき日本国憲法をどう教えるか、小6での憲法前文の学習と、憲法「改正」問題に向き合う高校生をとりあげ深めます。
 そして、教科書制度の歴史的転換に対する私たちの運動について論議します。(15,7,17)
 
(3)憲法を生かした授業を
 現行の憲法と教育基本法は、学習における生徒の主体性と教授における教師の主体性を、しっかりと保障しています。その法体系を生かした社会科の授業をどのようにつくっていくのか、具体的な授業実践を踏まえて、論議を深めます。(5,10,2)
 
 
2 歴史認識小分科会
 
(1)アジア太平洋戦争の学習
 「自衛」のため、「国際貢献」のための戦争を是とする動きが強まる中、子どもたちを「平和的な国家及び社会の形成者」に育てることはますます重要です。戦没者名簿の調査や聞きとり、討論などを取り入れた授業を取り上げ、子どもたちが自分の問題として戦争の実相にせまる学習のあり方について論議します。(1,15,14)
(2)生徒と学ぶ地域史学習
 多くの子どもたちは「歴史は暗記」と思っています。生徒と一緒に地域史料を読む授業を手がかりに、受け身でない歴史学習のあり方について論議します。(9)
 
(3)パレスチナ問題を考える
 子どもたちにとって「遠い国の難しい問題」に興味を持たせ理解させるにはどうすれば良いか。VTRやミニレポートなど、授業方法を工夫した報告をもとに考えます。あわせて武力による紛争解決を否定した日本国憲法の持つ意味についても論議します。(11)
 
 
3 現状認識�犠�分科会
 
(1)小学校社会科「地域学習」
 子どもの学ぶ意欲を引き出し、自分たちの住んでいる地域に根ざした学習をどのように展開すればよいか。「総合的な学習の時間」をどのように生かすか。これらの課題を深めます。(4)
(2)中学校社会科「世界地理学習」
 中学校社会科全体像の基底に「労働」をすえ、入り口としての「世界地理学習」で、児童労働を教材化した実践から「労働」についての検討をすすめ、中学校社会科学習のあり方を論議します。(8,18)
 
(3)小学校5年での課題解決学習
 公害・環境問題を学ぶ典型教材としての「水俣病」による環境問題総合学習を通して、子どもが課題を持ち、意欲的に課題を深めていく「学び」についての検討をすすめます。(12)
 
 
4 現状認識�蕎�分科会
 
(1)政治参加の大切さを学ぶ
 各種選挙の投票率の低下、政治に対する無関心、こうした議会制民主主義の危機が言われてから久しい今日、住民(国民)の願いや要求を議会をとおしてどう実現するのか、そのことがはっきりみえてくるような政治教育をどうつくるか、模擬選挙・模擬議会をとりいれた授業実践をふまえ論議を深めます。(6,16,3)
 
(2)今こそ憲法学習を
 自民党の改憲案のねらいや内容を検討することは、現行の日本国憲法を学習し、平和を創る力を育てることになります。改憲の動きとともに靖国・教科書問題をとりあげた実践をもとに、憲法学習のあり方について論議を深めます。(19,13)
 
 
5 主権者を育てる社会科を(全体会�供�
 
 小分科会の研究成果を報告し合い、それを参加者全員の共有財産にします。さらに全体会�気慮Φ羸�果をも踏まえ、主権者を育てる社会科のあり方について話し合い、今後の課題を明確にします。
 

◎改憲論に対置する子どもの 認識をどうつくるか?  憲法改悪、教科書問題等の厳しい情勢の中で、子ども・生徒の認識に立った授業づくり、学校づくりが今こそ求められているようです。
 埼玉の私学のレポートでは、中高生が「ニュース23」でカットされた彼らの「護憲発言」から社会の断面を見、一方で政治家たちとの討論から「護憲」の認識を深めていることが報告されました。
 改憲論は単純だから説得力を持つのですが、単純さは多くの弱点を持ち、追及すれば壊れていくからです。子ども・生徒に向かって「これは考えてみるに値する」と思わせる教師の問題提起の能力や、子どもが自分の考えを率直に語ってつながる力を伸ばすことが私たちに求められているのです。
 憲法を生かすための議論を2日目も継続する予定です。(速報「たまっこ」より)
 

 
※本稿は、「教育のつどい2006」要綱からレポートの特徴と討論の組み立てについて紹介しています。また、合わせて速報「たまっこ」で取り上げられた当日の分科会の様子を紹介しています。速報の内容は、全日程を通じて取材したものではありませんのであらかじめご了承ください。



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