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『未来をひらく教育のつどい2006』 第19〜21分科会


◆第19分科会  平和と国際連帯の教育  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
子どもたちに平和を創る力を
 
 大義のない「ブッシュの戦争」は、イラクの自主的な再建の見通しをつくれず国際社会の批判を浴び、アメリカ国内での大統領への批判も増大しています。アメリカと同盟関係を結んでイラクに軍隊を出しているイギリスでも撤退を求める世論が高まり、ブレア首相の支持率も急減しています。
 一方、小泉首相は日米同盟重視の立場から、イラクに自衛隊を派兵し、「自衛隊のいるところは非戦闘地帯」と詭弁を使いながら未だに派兵を続けています。また、「2+2最終報告」が出され、地球規模のアメリカの軍事戦略に日本が一体化する動きと、それに伴う米軍基地の再編強化がはかられようとしています。そしてその動きは、米軍基地が強化される沖縄などの基地を抱える地方自治体の要望をまったく無視するかたちですすめられています。
 そのうえ、憲法九条を変えて「戦争できる国」にするために、政府・与党は今年の通常国会に教育基本法の「改正」案を提出しました。その中心的な課題は「愛国心」の教育でした。しかし、国会の審議で野党から「愛国心の評価」をやるのか問われたのに対して「評価になじまない」と首相が答弁するなど矛盾も露呈しています。にもかかわらず「日の丸・君が代」の学校現場への強制は激しくなっています。また、与党は憲法を変えることを前提とする国民投票法案も提出しました。これらの悪法は、通常国会では通過しませんでしたが、今後とも油断できない状況が続きます。
 さらに小泉首相が、靖国神社の参拝を続けているため、アジア諸国との外交関係は冷え切ったままです。
 こうした一連の動きは、ポツダム宣言を受諾し、戦争違法化をめざす平和的・民主的国家として出発する決意をもって日本国憲法体制をつくりあげてきた日本を、根底から崩そうとするものです。また、アジアの中での日本をめざし、アジアの人たちとの交流をすすめ連帯してきた市民的とりくみに逆行するものでもあります。
 しかし、日本国憲法と教育基本法に確信を持つことのできるとりくみもすすんでいます。その1つは昨年の中学校教科書の採択にあたって戦争を肯定する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書をほとんど採択させなかったことです。また、不安・不信・孤独な社会の中で安心・信頼・協力・連帯を求めて努力するとりくみも全国的に困難と向き合いながら地道にすすめられています。本分科会での報告レポートはそうした努力が実を結んだものです。大いに交流し、学びあい、広げましょう。
 
(1)子どもとともに考えた現代の戦争と教科書問題
 「テロと戦争の連鎖」をどう克服できるかはとてもむずかしい課題です。とりわけ市場原理主義のもとでの激しい競争が強いられる社会状況では、敵をつくり、暴力や軍事力を容認する考え方はより受け入れやすいといえます。意見の相違を暴力や戦争でなくどのようにして平和的に解決できるか、子どもたちの現実をふまえてその意義と方法を考えあいます。昨年の教科書問題へのとりくみも交流します。(4,6,24)
 
(2)戦争認識と戦争体験の継承
 戦後61年、歴史認識・戦争認識をめぐる攻撃をふまえ、いかにアジアの人たちとの「和解と共生」への道を切りひらくか。この課題を子どもたち自身の力で深めていく実践を交流し、学びあいます。(8,9,10,18,19)
 
(3)アジア・世界の人たちとの交流、グローバル認識
 アジアや世界の子ども・青年との交流をとおして相互の歴史認識の違いとともに共通認識を深め、友情の形成をすすめるとりくみが生まれています。また、世界の貧困と格差、環境破壊、エイズ、食糧問題、民族紛争など21世紀を平和で公正な社会にするために解決しなければいけない課題、日本の役割などを深めます。(2,11,21,22)
 
(4)生き方を探る総合学習
 総合学習というかたちですすめられている平和学習は、系統的に多方面の働きかけをとおしてこそ成果が上がります。生徒自身の力に依拠しつつ、教師や地域の援助のもとにすすめられている総合学習の成果と到達点を交流します。(7,13,17,23,26,27)
 
(5)豊かな平和の文化の創造と自主活動
 平和は、人間の認識、価値意識、感性など、人間の全面的な力量をとおして、豊かに把握され、また創造されていくものです。音楽・絵画・文学表現・パフォーマンスなど多様なとりくみを交流します。(3,5,14,16,20,25)
 
(6)教師・市民の良心と平和教育の創造
 現代における平和創造の課題を教師・市民の良心と知的力量を発揮し、子どもたちと一緒になって考える平和教育のとりくみを交流します。平和の危機を克服する課題も検討します。(1,12,15)
 
※今年度はレポート数が多いため(4)(5)については小分科会方式で深めます。
 

◎大学での学びに生かしたい  初めて教研集会に参加しました。大学のゼミのテーマが「和光・鶴川小学校の沖縄学習」です。様々な学校で平和教育がすすめられ、先生方の努力もあり、実践が社会的な困難、職場での困難がありながらも積み上げられていることにうれしくなりました。特に、公立学校に総合学習が導入され、積み上げが少ない中でのスタートという環境を考えると尚更です。総合学習、平和教育の中での取り組みや成果のエッセンスをうかがうことができたような気がします。大学での学び、研究に生かしたいと思います。こんなにも熱心な先生がたくさんいるのだとうれしくなります。(東京・学生)(速報「たまっこ」より)
 

◆第20分科会  学校づくりへの子どもの参加、父母・教職員・地域の共同
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
分科会の運営について
 
 第1日目午前中を全体会とし、特徴的な2本のレポートの報告をうけて、全体で学び交流します(28)(18)。その後、共同研究者より、2本のレポートをふまえて、分散会にむけた討論のよびかけをおこないます。
 第1日目午後から3つの分散会(A〜C)に分かれてレポート報告と討論をおこない、2日目の終盤に再び全体会を開き、全体討論とまとめをおこなう予定です。
 3つの分散会は、それぞれのレポートの内容、学校種別、都道府県別などを配慮し、参加者がどの分散会に参加しても、討論の柱に即して検討できるようにレポートを配置してあります。積極的な討論を期待します。
 
 
分科会の討論の柱
 
 「学校づくりへの子どもの参加、父母・教職員・地域の共同」という分科会名からも明らかなように、その時々の社会状況を色濃く映しだした実践が集まるのが、本分科会の特徴です。これまでも<1>子どもの「声」に耳を傾けること、<2>子どものもっている可能性に根ざすこと、<3>「学び」の意義の再認識と「学び」のプロセスに子どもが参加すること、<4>「学校を開く」ということの意味を考えること、の4点が基本的な研究課題とされてきました。
 本年度は、こうした内容をふまえながら、以下のような点を討論の柱として提起したいと思います。
 
(1)学校の中に「学び」を取り戻し、子どもを主人公にする実践の創造
 
(2)高校の統廃合や学校の再編など、地域破壊の攻撃の中での困難を、父母・地域住民とともにくいとめ、打開する実践の展開
 
(3)子どもをめぐるさまざまな事件と子育て不安の中で、父母・地域のネットワークづくりと学校の役割
 
 
討論のすすめ方
 
 提出されたレポートに学び討論する具体的なすすめ方として、校種別を基本に配置しました。各分散会とも、第1日目の午後は小学校、2日目午前に中学校、2日目の午後は高校と地域の運動というくくりにしてあります。このように校種のレポートをまとめて検討することで、それぞれの校種の課題の特質が浮かびあがることを期待します。
 
 
留意したいこと
 
 管理強化と多忙化が一層すすみ、教職員バッシングも強まる中で、精神疾患で休職に至る教職員が増えています。全国各地の学校と教職員・父母の状況を率直に出しあい、地域と子どもの問題を深く分析して、困難を打開する実践のあり方を検討しましょう。
 

教師・父母共同の大切さ  第20分科会「学校づくりへの子どもの参加、父母・教職員・地域の共同」には、34本のレポートが提出され、約100人が参加しました。第1日目の午前中は全体会として、2本の特別報告が行われました。1本目は、新日本婦人の会所沢支部の報告でした。「子どもたちに輝ける未来を保障していきたい」という思いから、子育て・教育ネットワーク「きらり」を共同で立ち上げ、所沢の教育の問題やフィンランドの教育について学んだそうです。そして、そのなかで、教育基本法のすばらしさを認識するとともに、それが生かされる学校づくりのために、教師と保護者が手をつなぐことの大切さを感じたとの報告でした。2本目は、「荒れ」た生徒集団の中学校3年間の軌跡についての大阪からの報告でした。3年間を見通した方針を持つことなどを基本に、生徒を信じ、生徒の可能性を引き出したことですばらしい生徒集団をつくっていった感動的なレポートでした。この2本の報告を受けて、午後からは分散会で論議を深めていきます。
 
<感想>新婦人の新鮮な実践 フィンランド教育に学ぶ  1本目のレポートは、所沢の新婦人の会から子育て・教育ネットワーク「きらり」のとりくみ。「きらり通信」の中で、フィンランドの教育について学んだ実践が目を引きました。また、所沢では小学校も、公立幼稚園も2学期制になっていることに驚かれました。大阪の中学校の荒れた中学生が、自分たちの学びや誇りを取りもどし、感動の卒業式に結びついた実践に共感と感動を受けました。「行動無くしてリーダーは育たない」という言葉や、生徒指導をめぐる教師の真摯な討論のあり方に心を動かされました。(埼玉・高校・教職員・男性)(速報「たまっこ」より)
 

◆第21分科会  教育条件確立の運動
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
1 教育条件をめぐる情勢と「教育改革」の動向
 
(1)教育条件をめぐる情勢
 2006年度の国の一般会計予算は、総額79.7兆円(前年度比△3.0%)、文科省予算は5.1兆円(同△10.5%)に削減されました。「三位一体改革」による義務教育費国庫負担金の2分の1から3分の1への減少がその主因です。第8次教職員定数改善計画の策定も見送られ、現行「40人学級」を下回る少人数学級(46道府県で実施)の全国的な計画的実現も阻まれています。
 また、�犢埓�改革推進法�瓩�今国会で成立しています。それは、公務員の削減(2010年度までに国5%、地方4.6%以上)、人確法の廃止、教職員給与見直し(06年度)など「総人件費改革」(対GDP比半減)を含む公共サービスの切り下げ・商品化を本質としています。
 5年間の小泉政権の構造改革の結果、教育財政は後退し、その対GDP比はOECD加盟国中最低水準まで低落しました。その下で、教育条件は劣化し、格差社会拡大で就学援助金受給者の急増、修学困難、学費不払い・退学など教育の機会均等が脅かされてます。
 それは、明白に教育基本法3条、10条違反です。
 
(2)「教育改革」と教育条件整備
 政府主導の「構造改革」路線による「教育改革」の推進により、教育への競争原理と管理強化の施策が具体化され、教育条件の格差と深刻な教育矛盾を引き起こしています。
 自民・公明両党の与党合意にもとづく「教育基本法改正案」が国会に提出され、国家による教育目標の決定、「愛国心」の強制、国家への「国民の責務」の強調など、憲法・教育基本法制は最大の危機に直面し、「教育改革」は新たな局面を迎えています。
 父母などの学力低下への不安を口実とした、学習指導要領の見直し、「義務教育の構造改革」提案や文部科学省による全国的な学力調査の実施により学校現場は大きく変化しようとしています。
 教育条件整備の点では、分権化の流れの下で、少人数学級編成が46道府県に拡大しています。教育基本法改悪反対の国民的運動と長年にわたる3000万署名運動、各地域の父母・市民の教育参加と共同の学校づくりの運動、「内心の自由」を侵害する「日の丸・君が代」の強制に抗する教育裁判、日本の子どもの権利に関する第3回NGO報告書の作成などの運動は、国民の求める教育改革と教育条件整備を励ます力となっています。
 
 
2 今年度の討論のすすめ方
 
(1)教育条件をめぐる情勢と教育改革の動向
 今日的な教育行政の構造的な問題点について、共同研究者から提起を受け、これまで蓄積した分科会の成果を確認して、以下のように分科会討論を深めます。
 
(2)学校教育の条件整備
�ヽ惺算楡濂�修のとりくみ
 自治体合併や国の予算の削減から子どもたちをとりまく施設設備の改善は立ち遅れています。中等教育学校や特別指定校では施設改善が政策的にすすむ中、多くの学校は施設の維持に大変な労力を強いられています。このような現実に対する、各地の父母・教職員・地域のとりくみと問題点を出し合います。(9,10,8)
��教育予算増額のとりくみ
 準要保護の就学援助金の国庫負担切り捨てなどの影響を受け、就学援助基準の引き上げが各地で相次いでいます。また、授業料減免基準の引き上げや授業料滞納による退学勧告など、子どもたちは厳しい状態に追いやられています。全国の状況を把握し、いかに教訓化するかを検討します。(4,11,13)
 
(3)教職員の労働条件
�〃鮃�をめぐる問題
 退職直前に死亡、50歳を過ぎて自信をなくし退職、多忙で医師に相談できず病状が悪化という事態が進行しています。教職員の健康が子どもたちに影響を与えます。職場でどのように教職員の健康が取り扱われているかを討論します。(5,3)
�⇔彁�教職員問題
 政策的に増やされる臨時教職員が学校と教育に与える問題点とその改善をゆきとどいた教育をすすめる観点から考えます。(1,12)
 
(4)学校づくりと教育条件整備
 教育の構造改革をねらって学校統廃合等が急速にすすんでいます。それは各種の制度改革とも連動し、教職員の労働条件を悪化させ、子どもたちに悪影響をあたえています。その攻撃の本質を明らかにし、私たちがすすむべき運動の方向を議論します。(6,7,14)
 
(5)分科会のまとめの討論
 

◎司書の適切な配置を!  30人が参加し、レポート一つひとつ丁寧に論議をすすめています。新日本婦人の会からの参加者もあり、教育条件を様々な立場から改善させていくとりくみについて論議されました。昨日の秋田県からのレポートに基づき、質疑討論から本日の分科会がスタートしました。
 秋田県のレポートでは、学校司書や図書館の充実について報告され、「学校によっては、予算が付いても図書が購入されず、学校によっては不足している。司書の待遇もまちまちで、事務職員のあまりの職員数として、配置されており…」。司書の適切な配置をなんとかしてほしい。(速報「たまっこ」より)
 

 
※本稿は、「教育のつどい2006」要綱からレポートの特徴と討論の組み立てについて紹介しています。また、合わせて速報「たまっこ」で取り上げられた当日の分科会の様子を紹介しています。速報の内容は、全日程を通じて取材したものではありませんのであらかじめご了承ください。



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