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『未来をひらく教育のつどい2006』 第22〜24分科会

 


◆第22分科会  環境・公害問題と教育  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
1 環境・公害問題と教育:今年度の課題
 
 今年は、1956年5月に水俣病が公式発見されて以来、50年目の年となりました。各種メディアによって報道されているように、半世紀という気の遠くなるほど長い年月が経過したにもかかわらず、患者を取り巻く状況はいっこうに改善されておらず、しかもいまなお、あらたに数千人もの人々が患者としての認定を求めているという実態は、まさに驚くべきものではないでしょうか。こうした公害・環境問題をめぐる重い現実と、一方で教育基本法「改正」の動向に見られる戦後教育全体を総決算しようとする動きとの双方に向き合うなかで、今回の教研集会は開かれることになります。
 戦後日本の公害・環境教育運動は何を積み重ねてきて、いまどのような実践・運動を組み立てていくことを求められているのか…。今年の分科会では、ぜひこのことをめぐって徹底的に議論してみたいと考えます。
 
 
2 レポートの概要と討論の柱
 
第1日目
 午前中は、まず参加者全員の自己紹介をおこない、ひきつづいて共同研究者から今回の分科会討論に向けた問題提起をおこないます。
 その後、午前中から午後にかけて「学校における環境教育実践」というテーマで4本の報告をいただき、議論を重ねていきます。
 (6)は、小学校4年生における理科の時間を用いての環境教育実践の報告です。報告者は、高槻市内を流れる芥川をフィールドとし、子どもたちと水質調査をおこなうなかで、学習を深めていきました。理科における環境教育カリキュラムづくりという点はもちろんのこと、市教育研究センターの委嘱を受けた研究である、という点でも大いに注目される実践でしょう。
 (2)は、同じく小学校4年生における社会科の時間における環境教育実践の報告です。報告者は、長くダム問題をとおして子どもたちと環境問題を考える授業を模索してきましたが、この報告では、報告者の個人的経験をふまえて、その水循環の問題が体内の血液循環の問題へと展開されていきます。「循環」という環境問題を考えるうえでのキー概念に迫る実践として、多角的に議論してみたい実践です。
 (3)は、東京都のなかで準僻地指定を受けている山間の小学校における4人の4年生の子どもたちとの自然学習の報告です。長い環境教育実践の蓄積を有する報告者が山間の子どもたちとのかかわりのなかで見いだしたものは何であったのか。ぜひじっくりうかがってみたいものです。
 第1日目最後の(4)も、高校にあって長く環境教育実践を模索してこられた報告者によるレポートです。ここでは、選択科目「環境」を履修した生徒たちが、施設訪問、演劇、調理など、きわめて多様なスタイルをとおして環境問題を学んでいった過程をいっしょにふりかえってみたいと思います。
 
第2日目
 午前中は、2本の報告をいただきます。
 (7)は、これまで環境調査の一手法として頻繁に用いられてきたタンポポ調査の方法を問い直す実践。カンサイタンポポとセイヨウタンポポとを外総ほう片形態で見分ける従来の手法では、雑種タンポポを正確に分類できないという現実から出発して、独自の調査方法の開拓が試みられました。ますます進行するグローバル化の地域生物相へのインパクトを生徒とともにいかに明らかにしていくか。調査をめぐるネットワークの問題とともに、大いに議論してみたいものです。
 (1)は、PCB、ダイオキシン、アスベストという学校施設が発生源のひとつとなっている問題についての報告です。子どもと教職員が日々過ごしている学校環境をどのように環境共生型に転換していくかは、日本の学校の大きな課題のひとつです。ぜひこの報告をもとにして、参加者で議論しあってみたいと思います。
 最後の(5)は、地域の環境保全運動のなかでとりくまれてきた子どもの自然体験活動の報告です。地域の社会教育や学校外教育における環境教育の意義や、そこに教師が参加することの意味などめぐって、議論を深めてみたいと思います。
 分科会を終了するにあたって、以上の7本の報告をふまえたうえで、都道府県教研における「環境・公害問題と教育」をめぐる議論の状況と、今後の実践・運動のすすめ方を中心として、総合討論をおこなっていきます。
 

◎蛇口から出た水はそのあとどうなる!?  参加17人。埼玉(小)のレポート、「わが町の土調べから町づくりプランへ 雨水から地下水への水循環の追及」では、蛇口に水が届くまでの長い旅を絵地図にまとめて考える授業実践が紹介されました。
 共同研究者からゴールの蛇口から出た水が、そのあとどうなるか。使われたり飲まれたりしたそのあとも含め、水循環の大きなシステムを学んでゆく過程の、入り口として大切な一つのとりくみとの指摘がありました。(速報「たまっこ」より)
 
 

◆第23分科会  文化創造と教育
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
本分科会の内容と課題
 
 子どもたちは多様な価値観や他者との出会い・関係性を通じて大きく成長していきます。
 文化活動や読書・図書館活動もそうした出会いや関係性を育む場として、さまざまな実践が積み重ねられてきています。
 子どもたちをとりまく文化状況を読み解き、文化創造とゆたかな文化環境の実現に向けて求められる力とその可能性を、報告と討論を通じて深めたいと思います。
 
 
討論と交流の柱
 
�〆F�の文化状況・文化環境と子どもの実態について深め合います。
��学校内外におけるとりくみを交流し学び合います。
��「文化活動」「読書・図書館活動」の小分科会に分かれ討論を深めます。
 
第1日目全体会
 午前は、参加者で自己紹介をおこない、各自の問題意識などについて交流します。つづいて、共同研究者から本分科会の基調と課題を提起し、全体の討論へつなげたいと考えています。
 午後は、(5,6)の報告を受けて、今の子どもたちの実態や人間関係をめぐる課題をとりあげ、それらを乗り越える基盤としての「文化の力」について討論を深めたいと思います。
 (5)は、中学生の「希薄な人間関係の下で起こるさまざまなトラブルを解消し、円滑な人間関係を築く力を高める必要」から学年集団でコミュニケーション能力の向上にとりくむ実践報告です。
 (6)は、「ここ2・3年精神的に不安定な生徒が増えているように思われる」状況の下で、高校での図書館改革が、多感な子どもたちを受けとめ寄り添う場へとつながっていく報告です。
 
第2日目 文化活動小分科会
 (1,2,9,10)の報告を受けて、午前・午後を通じて、地域の文化について学校内外のとりくみを交流し、討論を深めたいと思います。
 (1)は地域の伝統芸能「田沢鹿子舞」にとりくむ小学校の実践です。教職員・父母・地域住民が連携・協力して子どもたちを励まし支えていくとりくみが、「感動的で多くの観客から泪が出た」との感想を生みだす発表会へと結実していきます。
 (10)は、運動会における「エイサー」発表のとりくみです。小学校4年生の子どもたちに意欲と充実感を育むための表現活動が報告されます。
 (2)は、地域社会の文化活動としての「地域寄席」のとりくみについての報告です。地理的にも金銭的にも「かなりのリスクを背負わなくてはならない」地方都市での文化活動を創造し継続させていく方策が、具体的なエピソードを交えて報告されます。
 (9)は、小学3年生の福祉体験学習です。視覚障害者と盲導犬に出会い、相互の信頼やたくさんの人々との出会いや、盲導犬の誕生からその役目が終わるまでを学び、「命のバトンタッチ」を実感します。総合的な学習としての位置づけにより、学んだことを地域の中で生かすとりくみへと発展していきます。さらに学習したことを劇にして発展することもめざしており、子どもたちが体験をとおしてじっくり学び育っていく姿が報告されます。
 
第2日目読書・図書館活動小分科会
 午前は、(3,7,8)の報告を受けて、学校と図書館の役割について討論を深めたいと思います。
 (3)は、高校図書館職員がすべて臨時職員とされ、身分が不安定な中で、学校司書の仕事を知ってほしいとひらいた図書館フェスティバルの報告です。
 (7)は、高校での「図書館まつり」のとりくみをとおして「文化の発信地としての図書館を全校生徒にPRしよう」というものです。とりくみは、「生徒の文化状況も変わりつつある」中で、行事をやりとげる達成感やものごとを深く考えるきっかけにもつながっています。
 (8)は、「パスファインダー(あるトピックを調べるために役に立つ資料をわかりやすく紹介した1枚のちらしの意味)」の作成・活用を通して、生徒の情報支援に向けて、図書館が積極的な役割を果たそうとするものです。「単なる情報提供ではない情報支援は、図書館の利用者を知り、図書館資料を知り尽くした学校司書だからこそできること」だと報告されています。
 (4)は高校の統廃合を学校司書の立場で経験し、「最後の年まで生徒たちに充実した学校生活を送ってほしい」とのねがいをこめて活動する図書館と図書委員の姿が報告されます。
 

◎文化は教育の重要ポイント  参加者は31人。高校図書館の司書や小学校から大学までの教員(OB含む)の方々が多く参加しています。はじめに、参加動機やこの分科会に寄せる思いなど、時間をかけて語られ、「自己紹介を聞いただけでもたいへん参考になる」との発言が出るほどでした。
共同研究者の増山教授から「文化」について考える場合の視点を2つ。
� 嵎顕宗廚侶兢機θ�展
 祖父母・父母・子の3世代それぞれが体験する時代背景の違いや急変とともに、産業構造の転換、生活文化の変化、子育て文化の激変などにより、文化継承の危機・断絶が激しく矛盾と確執を伴いつつ進んでいるのではないか?
�◆嵎顕宗廚竜�受
携帯電話に象徴される消費文化の拡大とその光と影の克服課題。テレビの普及とは比較にならないスピードで携帯電話は進化している。このような状況の中で、文化の問題を考えることは教育が関わる重要なポイントである。
 2日目は、レポーターの発表の中で、講談の披露や各種パフォーマンスが予定されています。(速報「たまっこ」より)
 

◆第24分科会  教育課程・教科書
  ※文中の括弧半角数字は分会ごとのレポート番号 
 
課題提起「私たちの教育課程づくりの今日的課題」
 
 まず山崎雄介共同研究者から、総括的な課題提起があります。前回教研以降、憲法・教育基本法改悪の動きの急展開(後出)、教育課程関連の重要答申・報告が相つぎました。ここでは、教育課程を直接的に左右する、中教審答申「新しい時代の義務教育を創造する」(2005年10月)、中教審初等中等教育分科会教育課程部会「審議経過報告」を中心に、その問題点の分析と、私たちのとりくみの課題について提起したいと考えています。
 とくに、中教審「審議経過報告」でいう「教育課程編成に関する現場主義」を、文科省のいう意味―教育目標設定、成果の検証という、教育課程づくりの根幹を「国」が独占管理した上での、限定的な方法論についての「地方分権」「現場の自主性」―でなく、本当に子どものためになる実質的なものに改めていく手がかりとするための課題をともに考えたいと思います。
 
 
1 教育をめぐる情勢と教科書問題
 
 「教育の構造改革」の名のもとに着々と公教育の変容がすすめられ、著しい公教育のスリム化・切り下げや教育制度の変更がおこなわれています。そして、いよいよその総集編ともいうべき教育基本法の「改正」に手がつけられようとしています。
 政府が提出した教育基本法案が現場の教育や学校をどう変えるのかについて、共同研究者(植田健男)からの報告をもとにして検討をおこない、レポート(7)をもとに日韓交流も含めた香川県におけるとりくみに学び、民主的な教科書採択を求める運動について考えたいと思います。
 また、(8)の子どもと教科書全国ネットからは2005年度の教科書採択の実態や問題点について報告を受けます。
 
 
2 困難ななかで学校づくり・教育課程づくりをどうすすめるか
 
 「学力低下」を懸念する世論を煽りつつ、それを口実として強引な2期制の導入などの施策が強引にすすめられ、学校における本来の教育課程づくりは大きな困難に直面しています。子どもの実態から出発しない「学校づくり」が、行く先の見えない迷路に日本の教育を連れ込もうとしています。
 (5)は、地域や父母の理解、教職員の相互理解をもとにしてすすめられている学校づくりの中で、子ども参加の授業づくりにとりくんでいます。学校づくり・教育課程づくりと授業づくりとのかかわりを検討したいと思います。
 (1)は、県から与えられた「教育に関する3つの達成目標」を批判的に分析・検討し、それとの対置において私たちがめざす教育実践のあり方を見い出そうとするものです。
 (2)は、東京における学力・評価・教育課程づくりへの熾烈な攻撃のもとでの、学力保障のとりくみです。困難なもとでどこに活路を見出すことができるのかを学び合いたいと思います。
 
 
3 教科と総合学習をつくる
 
 (3)は、地元の進学熱をうけて23年前に創立された普通科・英語科2学科の高校での「総合的な学習」のとりくみです。2年生1単位、3年生2単位が置かれていますが、2年生は正面から「総合的な学習」を全員対象に課し、3年生は教科横断型の「総学A」、生徒自身が課題を有する教科の内容と関連させた「総学B」に分かれます。生徒・保護者の進学要求=「学力」要求と、教師としてつけさせたい力、考えさせたいこととをいかに両立させるかを考えさせられるとりくみです。
 (4)は、名古屋市・周辺地区から上位層の受験生が集中する進学校での「総合」のとりくみ「明和コンパスタイム」の4年目の状況と課題についてです。教職員間に消極論も強い中で「明和高校のコンパス=羅針盤に」「単なる進学校にはならない」との意気込みでスタートし、プレゼンテーションやディベートで生徒が自信をつけるなどの成果の一方で、教職員の負担の偏り、3年生での進路との関連での内容づくりの困難さなど、討論を通じてともに考えていきたい内容です。
 (6)は、憲法・教基法改悪に象徴される権力側からの「人づくり」「精神支配」を見すえながら、あらためて学校教育での社会認識・自己肯定感の育成を試みた生活科(2年生)の実践です。とくに、3学期の、国語「おへそって、なあに」とも連動しながら、「命の始まり」「誕生の様子」「1歳ごろ」「3歳ごろ」「5歳ごろ」「今」を「自分のものがたり」(自分史)としてたどっていく実践が重点的に報告されます。
 

◎子どもの願いを出発点に!  中教審の審議経過報告を受けて指導要領見直し問題がテーマになるなど、今後の教育政策の中心をなす分科会。30人の参加で始まりました。
 香川における教科書問題のとりくみレポートの冒頭、県教委主催の教員研修会における文科省視学官による不当な教基法「改正」案の説明について報告がありました。これについて、教科書ネットの俵氏より文科省追及の結果、近々全国状況の調査結果を公表させるとのお話がありました。(速報「たまっこ」より)
 

 
※本稿は、「教育のつどい2006」要綱からレポートの特徴と討論の組み立てについて紹介しています。また、合わせて速報「たまっこ」で取り上げられた当日の分科会の様子を紹介しています。速報の内容は、全日程を通じて取材したものではありませんのであらかじめご了承ください。



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