【行動】2006/05/24
教育基本法に関する特別委員会始まる 衆議院議面集会
全教は5月24日、教育基本法に関する特別委員会が開かれたことに伴い、傍聴行動を実施。北海道・東北ブロックや首都圏から40余人が参加しました。また「各界連」主催の衆議院議面集会には、傍聴行動の参加者と諸団体から60人以上が参加しました。この集会には、日本共産党から8人の国会議員がかけつけ連帯の意を表明するとともに、特別委員会での質疑を終えたばかりの志位和夫日本共産党委員長が連帯あいさつを兼ねた委員会報告を行いました。
◇◆◇教育基本法改悪阻止 衆議院儀面集会◇◆◇◎6・ 2中央行動
【主催あいさつ】長谷川 英俊 全教中央執行副委員長
いよいよ論戦の火蓋が落とされました。みなさんもそうだったかも知れませんが、私も今日は身の引き締まる思いで討論に聞き入りました。早速に自民党の2番目に質問された河村健夫議員は、全教のビラを示し「『戦争するための人づくりへ』と書いてあるがそうではないと総理は言明してほしい」と求めました。
しかし、みなさん。教育基本法改悪そのものが憲法9条改悪と一体で進行していること、さらには「愛国心」の強要がひたすら日本を戦争に走らせたという歴史的事実。このことを持って私たちのビラがいかに正しいかということが、見事に証明されていると思います。
それにしましても、私たちの日々の活動が国会の舞台の正面で論じられるというたいへんやりがいのある局面をようやく迎えることができました。
世論は圧倒的に毎日新聞の世論調査でも、NHKの世論調査でも、あるいは朝日新聞の世論調査でも73%、77%が今国会での成立はやらずに慎重に審議をという声が圧倒しているわけですから、今日を新たな契機に全力をあげたいと思います。
【連帯あいさつ(要旨)】志位 和夫 日本共産党委員長
今日から特別委員会の本格的な審議が始まりました。しかし、総理大臣の出席がたった4時間という異常な短時間で、最初の総括質疑がやられたこと自体、これは本当に許しがたい入り方です。この問題は国の進路にかかわる大問題。私は可能なあらゆる場面で、引き続き討論をやっていくつもりです。
今日の質疑を私はいくつかの点に絞って問題提起しました。
第1は、内心の自由への侵害という問題です。
いわゆる20の徳目を教育の目標として法制化し、子どもたちに義務づけ、それで評価するということは、これは正に特定の価値観の強制になる、と言いました。
これに対しては、ソ連の問題を持ち出したりしましたが、結局、「内心の自由は侵害しない」というようなことは言いました。「それならでは」ということで、東京の問題も指摘しながら、福岡県の「愛国心」通知表の問題を端的に聞きました。
ご覧になっていただけたと思うのですけども、非常に重大な答弁が返ってきました。
こういう通信簿で愛国心を評価することは強制になるわけですね。成績という圧力は強制になるわけです。内心の自由に立ち入った強制になるわけです。
「態度ではかる」と言うでしょう。しかし「態度ではかるから内心に立ち入らない」、そんなことは成り立ちません。内心というのはもともと分け入ってみることはできません。内心を見ようとすれば「態度」で評価するしかありません。
だから、キリシタンの評価をする時には、踏み絵を踏ましたのです。それと同じです。だから、「態度だから問題ない」「内心の評価じゃない」というのは通用しない。私は、それを予定していたんですけれど、小泉さんはそれを言わないで、「これは難しい」と言うんですね。これは非常に重要な答弁なんです。非常に重大な破綻を抱え込むことになります。
つまりですね、これは福岡が勝手にやったことではない。文科省が学習指導要領で、「国を愛する心情を培いなさい」と教育の目標に入れたわけです。教育の目標として入れたから、当然評価が出てくるということで、通信簿に入ったわけです。音頭を取ったのは文科省であり、そして学習指導要領だったわけですね。
今度の法律は、先ほど言ったようにその学習指導要領に書かれている徳目を法律に格上げするということになるわけですから、「難しい」と言うのだったら、なぜ法律に格上げするのかという非常に深刻な矛盾を今日の答弁は抱え込んだ。
ですからこれは法案の論拠をつき崩す一歩になったと私は思います。そういう点では、今度の法律がどんなに道理がないかってことを論じることができたと思います。
それからもう一つは、10条を改変して何を押しつけようとしているのか。まず、イの一番にやりたいのは全国一斉学力テストなんですね。
これはいかに競争を重視し、序列をつけ、ふるいわけをして、選別するか、その害悪を私は具体的に指摘しました。そして、その狙いが三浦朱門氏の発言にあるように、「�狆,疏鉢甅猊蕕荏鉢瓩寮こΔ魘軌蕕忙�ち込むものだ」ということも示しました。その答弁は、私はひどいものだったと思います。「学力テストがなんで悪いんだ。あたり前じゃないか」という答弁です。なんで悪いのかがまったく分かっていない。
あれは小泉さんの教育観が出たのだと思います。
つまり今度の法律というのは、愛国心を強制して戦争する国づくりを支えることをつくるということと、もう一つある。弱肉強食の経済社会に黙って従う人間をつくるということです。それが彼の教育観であり、経済・社会観であるということです。つまり教育にまで、いま経済でやっている�狆,疏鉢甅猊蕕荏鉢瓩箸いΧチ茲砲茲辰董△佞襪い錣韻鬚弔�るというのが、彼の教育観なんだということが明らかになったのが最後の答弁だと思います。
ですから、今日はさまざまな議論をしましたけれども、法案の核心部分で破綻が起こったということ。それから彼の教育観が赤裸々にむき出しの形で現れたということは、是非ですね、広く伝えて欲しいと思っています。
憲法に背反するだけじゃない。最高裁学テ判決にも違背する。ここでも法案の論議をつくしたい。「難しい」といったんだから、「難しい」法案なんか出しなさんな。これで一歩崩れると思います。しかし、もう一方で、国家の教育内容への介入問題と憲法問題は、今日は時間がなくてそこまでは言っておりません。ですからこれは次の課題として、攻めてみたいと思います。
私たちは全力をあげて、今回のたたかいは憲法に準ずる重大法案のたたかいですから、私も含めて、議員団あげて、党をあげて、なんとしても阻止するためにみなさんとともにがんばりぬく決意ですので、どうか一緒にたたかいましょう。
【各界からの決意表明】
【青森県教組】
特別委員会を傍聴して、教育基本法の持っている危険性を感じました。
「教育基本法を変えて、学習指導要領を変える」と小坂文科大臣が言いました。
日の丸を揚げる時には全員直立不動で見る、君が代を歌うときには声高らかに歌う、そういうことで態度をはかる、というようなことになっていく危険を強く感じました。
小泉首相は、曹洞宗の永平寺の僧の食事の仕方を「物も言わないで、音を立てないで食べる」と言いました。私たちは、学校で子どもたちに楽しく食べることを指導しているわけです。
学校現場を古い昔の道徳に戻そうという考えは明らかです。私たちは、連日青森で街宣しています。6月10日にも全県の集会を持って、教基法改悪阻止のためにがんばりたいと思っています。ともにがんばりましょう。
【日本私大教連】
本日、国会傍聴をして感じたことを話したいと思います。
教育基本法改正という法律論を教育論に摩り替えているところが非常に気にかかりました。「教育で心を教えることが何より大事だ」と池坊議員がしつこく言っていました。これは誰も否定しません。良い子どもを育てたい、仲間を大切にして、社会の平和を希求する人間を育てたいーーこれも心です。だからいま「改正が必要なんだ」こういう論理なんですね。ところが2条にあげられているさまざまな徳目。あれがすべてではないわけです。そういったことを法律で押しつける手法。それの是非はあえて言わずに、「いま心が欠けているんだから、心を言うのは当然でしょう」と教育基本法を変えようとしている。断じて許せないと強く憤りを覚えました。
あらためてこの法案は断固阻止する全ての単組の連名アピールと緊急の賛同署名をとりくむことを決定して、加盟組織に呼びかけているところです。
みなさんと連帯してがんばりたい。
【農民連】
いよいよ始まりました。
しかし、3年間の密室協議はまったく国民の前に出されていません。資料も出してきていません。先日の国会前の座り込み行動で米軍再編に反対している神奈川の代表は、「一体全体、日本の子どもたちに愛国心を説く資格があるのか?」と言いました。米軍再編計画に対してグアム移転を含む3兆円もの国民の税金をアメリカに差し出す、国民一人当たり2・5万円の負担――家族4人で10万円の負担。
また、私たちの関係で言うと、BSE問題があるにもかかわらずアメリカ産牛肉の輸入を昨年末に強行して、わずか1カ月足らずでBSEが発症する危険性のある背骨つきの牛肉が成田空港でゴロゴロ見つかりました。にもかかわらず、国民の圧倒的多数が反対している輸入を、6月中旬にも再開を強行しようとしている。こうしたアメリカいいなり、アメリカべったりの小泉首相に愛国心言う資格はないと思います。
ワールドカップが迫っています。ドイツ政府は、このワールドカップに向けて、あの第2次世界大戦でのヒトラーをはじめとするすべての犯罪を世界の人たちに伝える催しをおこなってきています。ドイツの首相はこの歴史に向き合うことが政治の責任だということを言っています。
私たちは、本当に岐路に立っていると思います。
いまアジアの農民の代表が日本に来ています。こういうアジアの仲間にも教育基本法改悪の狙いを伝えていきます。そして、圧倒的な国民に訴え、まやかしを突いて、教育基本法改悪をさせないために、みなさんと団結してがんばりたいと思います。
【行動提起】東森 英男 全教書記長
教育基本法の改悪を許すな各界連絡会の事務局の立場もかねて行動の提起をさせていただきます。いまもありましたように、教育基本法についてもっとも国民的な関心が高まっています。昨日の朝日新聞では、55%の人が教育基本法問題に関心を持っていると応えている。しかし、「何のために」「どのように変えられようとしているか」については、必ずしも国民の中に伝えられていないわけですから、全国でいま大きな運動が起こっていますけれど、職場・地域、草の根から宣伝対話のとりくみを大きく広げる。これが決定的なとりくみだと思います。まずそれを提起させていただきます。
26日に2回目の審議がされます。彼らは何を言い出すか分かりませんし、やはり傍聴席を満席にして彼らに「見られている」と思わせることは重要です。朝一番から傍聴席を埋めることを全力でやりたいと思います。
26日の夜には、各界連の主催で、6時15分から7時まで新宿西口で大宣伝行動をやります。全労連や新婦人のみなさんなど、各界から国民に訴えるとりくみです。みなさんのご参加をお願いします。
6月2日は、小森陽一さんら4氏の研究者の呼びかけによる全国連絡会の集会が夜6時から日比谷野外大音楽堂で開かれます。ぜひご参加をお願いしたいと思います。また、全教など4団体は、午後1時から傍聴と要請行動を展開しますので、参加をお願いします。
6月7日にも大きなとりくみをしたいと思います。たいへん審議が進行して教育基本法をめぐる事態がいっそう重大化する中で国民の声を集めようと各界連主催で6・7集会を夜6時30分から日比谷野外大音楽堂で開きます。この日は、全教と教組共闘、子ども全国センター、教育基本法全国ネットワークの4団体が午後1時から社会文化会館で行動を開始しますので、そこから参加できる方は、ぜひお願いします。
当面これらを成功させて、なんとしてもこの法案を廃案にするとりくみをすすめたいと思います。そうした点では、いま国会請願署名を大きく積み上げることが必要ですので、諸団体・全国からの署名の集中をお願いして、行動提起として行動提起とします。ともにがんばりましょう。
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