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【意見】2005/06/23 
『「教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議」における意見』

2005年 6月23日 全日本教職員組合

 まず、中山文部科学大臣が、歴代文部科学大臣としては、はじめて少人数学級の実施について言及され、中教審における少人数学級実施は必要、というすべての委員の一致した意見をうけて、調査研究協力者会議を立ち上げ、検討をおこなっておられることを評価するものです。
 いまや、30人以下学級をはじめとする少人数学級実現は、父母・国民の大変強い要求となってきているところです。 私たちは、これまで、父母、地域住民のみなさんとともに16年間にわたって累計3億4000万筆に及ぶ「30人以下学級の実現を求める署名」を国会に提出してきたところです。こうした父母・国民、教職員の運動と地方自治体の努力によって、2005年度では45道府県で何らかの形で少人数学級が実施されていることは、ご案内のとおりです。こうした国民の願いにこたえる教育条件整備こそが教育行政の責務であり、その充実を心から望むものです。
 すでに、調査研究協力者会議としても真剣な研究、討議を重ねられてきておられるところですが、ぜひ、国の責任での30人学級実現へ向けた結論を導き出していただくよう、最初に強くお願いします。
 このことをふまえ、いくつかの点について意見を申し上げます。
 
 第1は、30人以下学級は、いまの子どもたちを困難から救い出し、子どもたちのすこやかな成長・発達を保障する教育を実現するための条件整備であるということです。
 この調査研究協力者会議でも議論されていますように、登校拒否・不登校は減少したとはいえ12万6000人と、引き続き社会問題ともなっています。また、「学級崩壊」と呼ばれる事態も依然として指摘され、子どもたちの指導困難の問題が、大きく浮上してきています。これは、子どもたちが悪くなったからなのでしょうか。私たちはそうは考えていません。子どもたちは、大人でさえ生きづらい世の中を必死になって生きています。そのなかで、学ぶことの意味や生きることの意味を一生懸命探そうとしています。いいかえれば、本当はしっかりと学びたい、人間らしく生きたいという願いを相当強めながら、生きているといってよいと思います。しかし、それがなかなかつかめないもどかしさといらだちのなかで、時にはそれが屈折的に表現されたり、ゆがんであらわれたりという場合があります。その一つのあらわれが、子どもたちへの指導困難という現象であるととらえます。日本の子どもたちは自己肯定感が低いという国際調査の結果もあり、なかなか自分が自分であってよい、という感覚を持ちえなくさせられています。
 いま求められることは、大人たちが、そうした子どもたちを受け止め、子どもの苦悩に共感し、願いを共有し、ともに考えることができる共感的他者となることではないでしょうか。この点で、子どもの成長発達に直接携わっている教職員の果たす役割はきわめて重要であると考えます。指導方法の工夫改善は、当然必要であり、教職員の研修と努力が求められるところですが、同時に、自分を受け止めてほしい、と願っている子どもたちを受け止めることができる教育条件をととのえることが、なんとしても求められます。30人以下学級をはじめ、少人数学級にしてこそ、指導方法の工夫改善もすすむと考えます。
 
 第2に、学力保障の観点からも「習熟度別学習」の方向を転換し、少人数学級実現の方向にすすむことが必要であるということです。
 子どもの学力と1学級あたりの人数の関係についても、グラス・スミスの研究をはじめ、かなり以前から少人数のほうが効果的という、その相関が指摘されているところです。また、OECD、IEA調査の結果、トップレベルの学力が指摘されているフィンランドでは、成績によるトラッキング(コース別編成)をやめ、学力の遅れを持つ子に対する手厚い手立てをとっていることが知られています。これまで文部科学省は、少人数学級よりも少人数学習を強調し、しかも「習熟度別学習」を政策としてすすめてきましたが、フィンランドの例を見ても、「習熟度別学習」は国際的にも遅れたやりかたであると指摘されているところです。この点からも「習熟度別学習」の方向を転換し、少人数学級の一日も早い実施が求められると考えます。
 
 第3は、地方の財源では限界があり、どうしても国の責任での30人学級が必要であるということです。東京、香川を除いて少人数学級が地方の努力ですすめられていますが、それは、財政が潤沢であるから実施しているのではありません。たとえば山形でも、橋1本より教育にお金をかけるほうが重要ということで、厳しい財政状況の下でも、予算を教育に振り向け、やりくりを凝らして実施しているのが実情ではないでしょうか。しかし、地方の財源では限界があることも事実です。現にいますすめられている地方の少人数学級の約7割は、国の定数を使って実施されています。とりわけ、「三位一体の改革」の推進のもとでの義務教育費国庫負担制度をはじめとする国庫負担金の削減、地方交付税の削減は地方財政をさらに圧迫しています。こうした時だからこそ国の支援が求められます。そのもっとも重要な支援が、義務教育費国庫負担制度を活用した国の責任による30人以下学級の実施であると考えます。財政当局の動向もあるとは思いますが、ぜひ教育論をしっかりとたてた真摯なご検討をお願いしたいと思います。
 
 第4に、ぜひ、第8次定数改善計画をはじめ、年次計画を立てて、正規職員の配置による小中高校の30人学級実現へふみだしていただきたいということです。上記の問題とも関係して、限りある予算のなかでの地方自治体の施策では、人件費を抑えるために、定数内講師あるいは非常勤講師によって教職員を配置するということになってしまいます。とりわけ非常勤講師の増大は、打ち合わせをおこなおうとしても、いっしょに打ち合わせをする時間がとれない、中学校では生活指導がうまくいかず、子どもたちの諸問題に適切に対応できないなど、教職員集団としてのとりくみに困難を広げており、正規職員の配置を、は現場の切実な要求となっています。これには、文部科学省がこの間おこなってきた「定数崩し」も大きな影響を与えています。正規職員の増員と正規職員の配置による計画的な30人以下学級の実現を望みます。同時に、少人数学級の検討にあたっては、高校での実施、私学での実施も視野に入れた検討を望むものです。
 なお、30人以下学級の実施とともに、小規模校に対する必要な加配、複式学級解消のための教職員配置についても、あわせてご検討いただきたいと考えます。
 第5に、最近大きな問題となっている通常学級に在籍するLDなど特別な手立てを必要とする子どもたちの教育を充実するためにも、30人以下学級が重要であるということです。そのことをはじめ、「特別支援教育」にかかわる教職員配置等についての私たちの考えを別紙資料�,納┐靴討い泙后�ぜひ、積極的検討をお願いします。
 
 最後に、この調査研究協力者会議では、当然、教職員配置全体が議論の対象となります。私たちとしましては、教諭以外のさまざまな職種につきましても、現場の要求をもとに、2004年度には、別紙資料�△里茲Δ僕弋瓩鬚泙箸瓠∧孤�科学大臣に要請しているところです。また、近く概算要求にむけて要求書を提出する予定も致しております。ぜひ、これらも検討対象としていただき、もっとも子どもに密着して毎日の教育活動をおこなっている現場の願いに即した結論を導き出していただくことを強く要望し、意見表明といたします。




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