【アピール】2005/08/21
『父母・国民、教職員のみなさん、子どもたちがすこやかに成長・発達できる教育と世の中を、力をあわせてつくりましょう』
アピール
父母・国民、教職員のみなさん、子どもたちがすこやかに成長・発達できる教育と世の中を、力をあわせてつくりましょう
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい2005」は、子どもたちをふくむ1万人をこえる父母・国民、教職員のみなさんの参加で大きく成功しました。参加された全国のみなさん、とりわけ、この「つどい」開催のために、大きな力を寄せていただいた地元大阪のみなさんに、心から感謝の気持ちを表明します。
「未来をひらく教育のつどい2005」は、3つの課題をもって開催されました。
第1は、教育にかかわる国民的討論の展開です。第2は、教育研究の蓄積を大切にしつつ、教育研究を国民的に前進させる課題です。第3は、憲法・教育基本法のねうちを確かめ合い、これを改悪してはならないという気持ちを一つに結び合うことです。
「未来をひらく教育のつどい2005」では、この3つの課題をしっかり結び合わせつつ、それぞれの課題を深める研究、討論をすすめることができました。そして、何よりも実際の子どもたちの姿を通して、未来への確信を共有することができました。
開会全体集会ですばらしいコーラスを披露した高校生、学校づくりにとりくむ高校生徒会役員の意見表明、「体罰も校則もなく、先生が話を聞いてくれる学校は本当に楽しい」と語った「憲法・教育基本法・子どもの権利条約シンポジウム」にシンポジストとして参加した高校生、特設第2「子ども参加」の分科会での子どもたちの真剣な討論、「教育フォーラム」に父母、教職員といっしょに参加し、しっかりと意見表明した小学生、それぞれが輝いていました。私たちは、そんな子どもたちの姿に、この子どもたちといっしょに、未来をひらこうという確信と展望を共有することができました。
相次ぐ「少年事件」など胸を痛める問題はたくさんあるけれど、子どもたちは、人間として生きたいという願いをふくらませ、大人たちに問いを発しながら懸命に生きている、このことを確かめることができました。同時に、子どもたちは、大人たちの果たすべき役割と大人社会のあり方を根本から問うており、大人たちに、これにこたえる教育と社会をつくる課題を提起しています。
子どもの声にしっかりと耳を傾けましょう。そして、子どもたちがすこやかに成長できるよう、大人たちがしっかりと力をあわせようではありませんか。
大阪の青年教職員の実際のとりくみをもとにつくられた開会全体集会の構成劇は、大変な教育現場の中でがんばっている青年教職員の姿をうきぼりにしました。若さゆえの未熟さを自覚しつつ、しかし、職場の同僚や父母に体全体でぶつかり、仲間にはげまされながら、教育実践をつくりあげる姿は、参加者に大きな感動と共感を与えました。また、「青年教職員大集合」では、教育実践、平和へのとりくみなどの青年どうしの豊かな交流が展開されました。青年教職員は21世紀の教育の中心的な担い手です。その力を確認できたことは、とても大切であり、文字どおり「21世紀の未来をひらく」つどいにふさわしい成果をあげることができました。
教育は国民のものであることを確かめ合うことができました。分科会には、これまでになく父母のレポートがたくさん寄せられ、父母と教職員が力をあわせて学校づくりをすすめるとりくみが大いに交流されました。「先生、保護者が協力すれば、子どもの成長をやさしく見守れる」と「憲法・教育基本法・子どもの権利条約シンポジウム」で実感をこめて語った父母の言葉は、「参加と共同の学校づくり」をすすめる父母、教職員の子どもに対するまなざしが、子どもの自立と成長をはぐくみ、権利としての教育を確立することであることを示唆しています。また、「教育フォーラム」での討論は、父母・国民、教職員がいっしょになって、子どものこと、教育のこと、世の中のことについて考えあうものとなりました。そのことをとおして、学校づくり、教育づくりと、子どもたちがすこやかに育つ社会をつくっていく営みとをしっかりと結びつけることの重要性が確かめ合われました。
「未来をひらく教育のつどい」の全体をとおして、憲法・教育基本法のねうちを確かめ合うことができました。いま、憲法9条を変えて日本を「戦争する国」にしてしまおうという動きが強まっています。そして、これと一体に、教育基本法を変えて「戦争する人づくり」をすすめようという動きも強められています。このようななかで、とりわけ、開会全体集会での対談では、私たちと子どもたちの毎日の生活のなかに憲法・教育基本法が生きて働いており、いま私たちは憲法教育基本法によって生かされていること、が明らかにされました。同時に、憲法・教育基本法は「未完のプロジェクト」であり、私たち国民が憲法・教育基本法の中身をより豊かなものとしてきたし、これからも日常のとりくみをとおして、つくりあげるべきものであり、さらに豊かにふくらませ、21世紀に生かすべきものであることが、「憲法・教育基本法・子どもの権利条約シンポジウム」の講演によって明らかにされました。
私たちは、この「未来をひらく教育のつどい」を今回はじめて夏に開催しました。日本の夏は「平和の夏」です。今年はとりわけ戦後60年、被爆60年の節目の年にあたり、平和の大切さをよりいっそう意識させられるものとなり、私たちの歩んできた道をふりかえり、アジアの歴史と重ねて考える時期に開催することとなりました。この重要な時期に、韓国全教組の代表がはじめて教育研究集会に参加されたことは、大変意味深いものです。このことにより、私たちは、平和と国際連帯を北東アジアから発信し、アジアの未来、平和の国際秩序をつくることと、子どもの未来をはぐくむ課題をむすび合わせることの大切さを学びあいました。
私たちは、「未来をひらく教育のつどい2005」で学んだこと、確かめ合ったことを全国に持ち帰り、教育に、子育てに生かします。そして学校、地域に広げます。全国多くの父母・国民、教職員のいっそうの共同をひろげ、子どもたちがすこやかに成長・発達できる教育と世の中を、力をあわせてつくりあげようではありませんか。全国の父母・国民、教職員のみなさんに、心から呼びかけます。
2005年 8月21日
「みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい」実行委員会
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