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【声明】2005/09/02 
『中学校教科書採択結果について』

2005年 9月 2日 全日本教職員組合 中央執行委員会

 各都道府県教育委員会は、9月1日までに、来春から中学校で使用する教科書の採択状況をそれぞれ発表し、全国状況が明らかになりました。その結果、「新しい歴史教科書をつくる会(以下「つくる会」)が執筆・編集した扶桑社の歴史と公民の教科書を採択したのは、都県立では東京都(歴史と公民)と愛媛・滋賀両県(歴史のみ)で、市区町村立では全国583採択区のうち栃木県大田原市(歴史と公民)と東京都杉並区(歴史のみ)の2採択区のみでした。私立では9校が歴史と公民、3校が公民のみを採択しました。
 
 「子どもと教科書全国ネット21」の推計では、使用見込み数の合計は、歴史が約4,800部(採択率0.38%)、公民は約2,300部(採択率0.18%)です。文科省による確定部数の発表は今月中旬以降になります。
 
 「つくる会」は今回10%の採択率を目標に掲げ、全国各地で様々な策動を繰り広げました。「つくる会」は、「つくる会」教科書の採択促進のため運動を行うことを決めた自民党と一体となった、地方議会への請願、全国9カ所での全国縦断教科書シンポジウムの開催、各教育委員会への傍聴者の組織、さらに教科書展示会への参加と「つくる会」教科書採択をねらった意見書投函の組織など、全国各地で様々な策動を行いました。また、「つくる会」は、文科省から3回も厳重注意を受けながらも、白表紙本を事前に教育委員会に配布・宣伝するという違法な策動まで行っていました。
 
 こうした攻撃に対して、侵略戦争賛美の教科書の採択を許さない運動がかつてない規模で展開されました。高知で「子どもと教育を守る高知県連絡会」が全県「教科書採択キャラバン」を行ったのをはじめ、全国各地で教育共同組織や「教科書ネット」として、父母・市民・民主団体が共同したとりくみがすすめられ、教育委員会への要請、地方議会への民主的な採択に向けた請願など、旺盛な運動が展開されました。また、学校職場での「新しい教科書を読む会」の開催、地域住民との共同の学習会やシンポジウムの開催など、多様な学習会が開催されました。さらに、教職員組合としての各教育委員会に対する教科書の民主的採択と採択制度の民主化に向けた交渉、民主的な採択を求める各教育委員への要請行動、父母・市民と共同した教育委員会の傍聴もかつてない規模でとりくまれました。
 
 また、全教として、各組織からの要請にもとづき、各教育委員会への「『つくる会』教科書採択するな」の文書運動を全国に要請し、多くの組織が積極的に応えました。さらに、全教の要請にもとづいて、全労連各組織からもとりくみが行われました。今回要請した教育委員会は、3都県、29市町教育委員会に及びました。
 
 このように、政権中枢が乗り出し、政権政党が組織をあげた攻撃に対して、国民的な運動を草の根からひろげ、反動勢力のねらいを基本的に打ち砕くことができたことは重要です。外交問題にまで発展した今日の教科書採択において、侵略戦争美化の教科書を採択した都県教育委員会と地教委は、今後いっそう国民との矛盾をひろげることは明らかです。
 
 教科書問題はこれで終わったわけではありません。私たちは、採択をおこなった各都県教育委員会、杉並区と大田原市教育委員会への「つくる会」教科書採択の撤回にむけた運動にとりくむとともに、採択に学校や現場の教職員の意見が反映されるよう、教科書採択制度の民主化にむけて運動を引き続きすすめます。
 
 8月に開催した教育研究全国集会のさなか、韓国の全教組と全教は、北東アジアの平和のために力をあわせようという共同声明を発表しました。このことも踏まえ、私たちは、何よりも侵略戦争と植民地支配の歴史に向き合い、こうした過去の過ちを繰り返さず、平和の日本、友好と連帯にあふれた平和な世界をつくっていく主権者である、21世紀の未来を生きる子どもたちの教育に全力をあげる決意です。




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