【談話】2005/10/13
『教職員配置等の在り方に関する調査研究協力者会議「今後の学級編制及び教職員配置について(最終報告)」について』
2005年10月13日 全日本教職員組合 教文局長 山口 隆
「教職員配置等に関する調査研究協力者会議」(以下「調査研究協力者会議」)は、8月24日におこなった「今後の学級編制及び教職員配置について」の「中間報告」に引き続き、10月3日に「最終報告」をおこないました。
「最終報告」は、「中間報告」では、いくつかの点で「検討すべき」としていたものを「必要がある」とするなどの文言変更をおこなった程度で、その内容は、基本的には「中間報告」とほぼ同様のものとなっています。
全教は、「中間報告」が発表された時点で教文局長談話を発表し、「調査研究協力者会議」が父母・国民の強い要求である30人学級をはじめ少人数学級実施を見送ったことを厳しく批判するとともに、「最終報告」においては、「国の責任による30人以下学級の実施という方向での報告がなされるよう強く求める」と要求してきましたが、「最終報告」においても再び、父母・国民の強い要求にそむいて少人数学級実施方向を打ち出さなかったことについて、あらためて厳しく批判するものです。
しかも、「基本的な考え方」においては、「中間報告」と同様に、少人数学級について、「学級編制の標準を全国一律に引き下げるという画一的な取組み」という理由で退け、「少人数教育」を「地域や学校の実情に合わせた柔軟な取組み」と描き出す手法をとっていることは、国の責任で教育の機会均等を保障すべき条件整備を怠ることを合理化するための重大な欺瞞です。この論理でいえば、「最終報告」自身が「ナショナルミニマム」としている標準定数法そのものも「画一的」なものということになり、根本矛盾といわなければなりません。こうした許しがたい詭弁を弄してまで少人数学級実施に背を向ける態度は、国民から厳しい指弾を受けざるをえません。
その他の諸問題については、すでに「中間報告」についての教文局長談話で基本見解を明らかにしており、それに譲ります。
なお、「中間報告」時点で、私たちは、小規模校に対する必要な加配措置や、複式学級解消のための教職員配置についても、「盛り込まれるべき」と指摘していましたが、これについても言及されていないこと、さらに、「教員評価」「教員免許更新制」「学校評価」などについては、教育行政による教育に対する不当な支配であり、「最終報告において削除を求めます」と要求していましたが、これを削除していないこと、については、あらためて指摘しておきたいと思います。
このように、「最終報告」は、「中間報告」で指摘してきた問題点をそのまま残しており、とうてい父母・国民の切実な要求にこたえたものとなっていないことを指摘し、厳しく批判するものです。
このもとで、国の責任での30人学級実現をはじめとする国民的教育要求を正面から掲げてとりくんでいる全国3000万署名の果たす役割は、いっそうその重要性を増してきています。子どもたちにゆきとどいた教育を、の国民世論を、この3000万署名をとおして、大きく広げようではありませんか。その力こそが、財政の論理をのりこえて教育論を打ち立てる当面のもっとも重要なとりくみです。私たちは、あらためて父母・国民のみなさんとともに、このとりくみを大いに発展させる決意を表明するものです。
同時に、この問題と深くかかわって教職員配置についての財政制度の根本である義務教育費国庫負担制度の維持、拡充を求めるとりくみが重要です。小泉首相自身が、直接この制度の削減、廃止への圧力をかけてきている重大な情勢のもとで、全教は、いま、義務教育費国庫負担制度の維持、拡充を求める声を、一つひとつの職場からの「ジャンボはがき」という形で集約しています。全国のすべての教職員のみなさんに、このとりくみへの最大の協力をお願いするとともに、子どもたちの教育権を保障し、教育の機会均等を財政的に保障する根幹の制度である義務教育費国庫負担制度維持、拡充の世論を大きく広げることを、よびかけるものです。
すべての教職員、父母・国民のみなさん。子どもたちにゆきとどいた教育をすすめるため、力をあわせてとりくもうではありませんか。
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