【見解】2005/11/30
『義務教育費国庫負担率の3分の1への引き下げなど、国庫補助負担金の削減に抗議する』
2005年11月30日 全日本教職員組合 中央執行委員会
政府・与党は本日、2006年度の地方自治体に対する国庫補助・負担金の扱いについて決定しました。この中では、生活保護費は削減対象からはずされたものの、児童手当や児童扶養手当、介護・福祉関連の施設整備費など新たに6542億円の補助金を削減しました。これは、子育てや福祉など国民生活に重大な影響をあたえるものです。
また、子どもと教育に直接かかわる義務教育費国庫負担金8500億円については、国庫負担率を現行2分の1から3分の1に引き下げることで対応するとしています。このような措置は、教育の機会均等の大原則を崩し、教育水準の確保に重大な影響を与えるものです。
私たちは、このような暴挙に強く抗議しその撤回を求めるものです。
義務教育費国庫負担制度については、国民の教育を受ける権利の保障を求める立場から、広範な国民が制度の維持を求めており、それが、10月26日の中央教育審議会による「2分の1国庫負担」の維持を明記した答申に反映していました。今回の措置は、この答申をも踏みにじるものであり、断じて認めることはできません。
私たちのたたかいの一定の反映として義務教育費国庫負担制度そのものはかろうじて維持されたとはいえ、地方が負担する3分の2の財源確保は、都道府県で格差の大きい移譲税源と、政府がさらに縮減しようとしている地方交付税による調整にゆだねられるものです。これは、地方における教育の財政基盤を不安定にすることはまちがいありません。そして、「競争と管理」の教育政策に小泉「構造改革」のもたらすひずみも加わって困難をかかえる教育に否定的な影響を与え、自治体の裁量ですすめられている少人数学級のとりくみの障害ともなるものです。今後、この課題での地方におけるとりくみが重要になります。
「小さな政府」論にもとづく「構造改革」の推進を掲げる小泉内閣は、首相在任中に義務教育費国庫負担金の全額税源移譲と制度の廃止にめどをつけようとしており、このたたかいは今後いっそう重要となっています。また、政府・財務省は、経済財政諮問会議における財界代表の主導をテコに、公務員定員と賃金の両面から「総人件費削減」をさらに強めようとしています。とくに、30人学級に背を向け、文部科学省が要求している新しい定数改善計画をも認めない教職員定数純減と教員人材確保法廃止による給与の切り下げをねらっており、私学助成削減や国立大学授業料の値上げなどと合わせて教育予算全体を大幅に切り下げようとしています。
私たちは、この間の義務教育費国庫負担制度の維持・拡充を求めるたたかいが築いた共同の広がりに確信をもつと同時に、子どもと教育、国民の暮らしを大切にする政治と財政政策への転換をめざしていっそうたたかいを強化するものです。
以上
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