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【特別決議】2006/02/20 
『教育基本法改悪法案の国会提出阻止のために、父母・国民とともに、全力をあげてたたかおう』

特別決議
教育基本法改悪法案の国会提出阻止のために、父母・国民とともに、全力をあげてたたかおう

 いま、私たちは、教育基本法改悪法案国会提出をめぐって、かつてなく緊迫した事態に直面しています。小泉首相は、現在開かれている通常国会の施政方針演説で「速やかな改正を目指し、精力的にとりくむ」と述べました。
 このもとで、与党は7月以来開かれていなかった「教育基本法改正に関する協議会」を1月25日に開催し、この場で、公明党冬柴幹事長も「いよいよとりまとめの段階だ」と述べ、調整を加速する方針を確認したと報道されています。そして、郵政民営化反対で無所属となった保利耕輔氏を「検討会」の顧問にすえるという異例の措置をとり、2月1日には、「教育基本法改正に関する検討会」を開催、会議後の記者会見で、座長の大島理森氏は、「この国会中には与党として考えがまとまるよう努力していくとの共通認識が得られた」と述べました。
 教育基本法改悪は、憲法9条改悪による日本を「海外で戦争する国づくり」と一体に、それを支える「戦争する人づくり」をねらうものであり、断じてゆるせません。全力をあげて教育基本法改悪法案の国会提出を阻止しようではありませんか。
 しかも、教育基本法第10条が教育行政に対して教育条件整備義務を課しているにもかかわらず、これに背を向けて教育予算をどんどん減らし、教職員の「純減」まですすめて、子どもと教育の困難を増大させようとしている勢力が、教育基本法を改悪するなど、一片の道理もないではありませんか。職場からの大きな怒りを、父母・国民とともに大結集しようではありませんか。
 
 教育基本法改悪の中教審答申が2003年3月20日に出されてから、教職員、父母・国民の力は、足かけ3年にわたって、改悪法案を国会に提出させないという重要な到達点を築いてきました。
 2005年3月には、「憲法9条変えてはならない」「子どもたちのために平和を守ろう」「教育基本法の改悪はゆるさない」「子どもとともに未来を築こう」という願いを束ね、全国47都道府県すべてから「3・26全国大集会」に1万人をこえる教職員が大結集しました。私たちは、この集会を結節点として、全国各地草の根から、憲法改悪阻止のたたかいとかたく結んで、教育基本法改悪をゆるさぬとりくみをすすめてきました。
 いまこそ、こうして蓄積してきた力を全面的に発揮し、地域、草の根から運動を大飛躍させ、子どものすこやかな成長を願う父母・国民とともに、教育基本法改悪法案提出阻止の一点での共同を大きく広げるときです。たたかいの到達点に確信をもち、全力をあげましょう。
 
 大義と道理、展望は私たちの側にあります。
 「九条の会」は結成後わずか1年半であらゆる地域、あらゆる分野で4000をこえてつくられています。学校職場における「職場九条の会」はすでに400近い職場でつくられ、いま、この瞬間にも全国各地の学校であらたに産声をあげています。このもとで、「憲法9条変えてはならない」という国民世論はどの世論調査をとっても国民過半数を超えるという状況がつくりだされています。その前文で、「(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべき」と述べている教育基本法は、まさに、憲法と一体であり、9条改悪をゆるさぬこの世論と運動とかたく結んでとりくみをすすめるならば、法案提出阻止の展望を大きくきりひらくことができます。
 また、私たち教職員は、「教え子を再び戦場に送るな」の歴史的スローガンを組合所属の違いをこえて共有しており、ここに、組合の枠組みをこえたすべての教職員の共同発展の根拠と展望があります。加えて、「耐震強度偽装事件」「ライブドア事件」などが重大な社会問題となり、教育基本法改悪をたくらむ政権中枢そのものの揺らぎが、小泉「構造改革」路線のだれの目にも明らかな破綻という姿で、天下にさらされています。
さらに、「構造改革」路線が、「格差社会」をつくりだし、この10年間で生活保護世帯は60万から100万世帯に、就学援助を受けている児童生徒は6.6%から12.8%に、貯蓄ゼロ世帯は、10%から23.8%へと激増しています。
 このもとで、「弱肉強食」「格差づくり」によって、大変なくらしを強いられている圧倒的多数の父母・国民、労働者が、人間的な温かみのない寒々とした社会でよいのか、こんな社会に子どもを送り出してよいのか、と社会のありかたを根本的に問い始めています。教育は、人間を人間として大切にすることをその本質とするいとなみであり、教育基本法は、それを「人格の完成」(第1条)をめざす、という言葉で規定しています。人間を粗末に扱い、人と人との関係を崩す「構造改革」路線は、絶対に教育のいとなみとあいいれません。
 教育基本法改悪の、いま一つのねらいは、「弱肉強食」の市場原理をそのまま教育にもちこむ教育の「構造改革」路線に法的根拠を与えるというものであり、「構造改革」路線をゆるさぬ労働者、国民のたたかいと共通の基盤をもつものです。このとりくみとかたく結んで、運動を大きく発展させようではありませんか。
 小泉内閣のアジア外交が深刻なゆきづまりをみせています。侵略戦争を「アジア解放のための戦争」と描き出す靖国神社に小泉首相が参拝し続け、日本政府が「靖国史観」を肯定する行動をとり続けるならば、日本はいっそうアジアと世界から孤立せざるを得ません。打開する道は、日本は2度と戦争はしない、と世界に誓った憲法第9条にもとづく外交をすすめることにあります。憲法と一体である教育基本法改悪を許さぬたたかいは、東アジアの平和の秩序を打ち立てるという国際的、世界史的意義をもつたたかいです。平和を願うアジアの、そして世界の人びととむすんで、運動を発展させましょう。
 
 たたかいは、いよいよ正念場を迎えます。目前の3・3中央行動、3・31中央行動を全力をあげて成功させましょう。同時に、職場、地域、草の根から署名、集会、対話運動を飛躍的に前進させ、教育基本法改悪法案提出阻止の圧倒的世論をひろげ、父母・国民、労働者とともに、全力をあげてたたかおうではありませんか。
 何よりも日本と世界の平和のために、子どもの未来のために。
 
右、決議します。
 
2006年2月20日 
全日本教職員組合第23回定期大会




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