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【談話】2006/04/13 
『教育基本法改悪阻止にむけて全国からたたかいを強化しよう与党協議会の「最終報告」にあたって』

2006年 4月13日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

 自民・公明の「与党・教育基本法改正に関する協議会」は4月13日、「最終報告」について合意し、改悪法案の今国会提出にむけた作業を加速させようとしています。
 
 「最終報告」は、「教育基本法に盛り込むべき項目と内容」について、前文と条文に対応する18項目についての考え方を示し、教育基本法を全面的に改悪しようとするものとなっています。
 
 「最終報告」の基本的な特徴の第1は、憲法9条の改悪によって自衛隊が海外で武力行使できる体制づくりをすすめようとする策動と一体に、教育において国家主義を推進しようとするものです。「最終報告」では、「教育の目標」に、「…我が国と郷土を愛する…態度を養うこと」という文言を盛り込むとしていますが、「愛国」に対する思想や態度が教育の場において強制されることになれば、「(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつ」とした教育基本法の基本性格を根底から変質させるものであり、断じて認められません。
 
 このことと深くかかわって、現行第10条の「(教育は)国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」という文言が削除されていることや、教育行政の教育条件整備義務が削除されていること、「男女共学」の規定が削除されていることなどは、きわめて重大です。
 
 第2の特徴は、「権利としての教育」を転換して、財界の求める人材育成のための「エリート」育成に偏重した教育へ転換するとともに、「公共の精神」を強調して教育を受けるものに義務を課そうとしていることです。それは、「教育の目標」において、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養う」とか、「学校教育」において、「教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めること」などにあらわれています。これは、自民党の「新憲法草案」に示された、立憲主義を転換して、国民の責務を強調する憲法思想を反映したものとなっています。
 
 さらに、「義務教育」規定から「9年」の年限が削除されることは、義務教育段階からの学校制度の複線化に道を開く危険を持つとともに、教育基本法に「教育振興基本計画」を規定することは、「教育の構造改革」のための予算を確保し、行政による教育介入をともなう教育の格差づくりに法的根拠を与えるものであり、重大です。
 
 今回の合意によって、今国会への教育基本法改悪法案提出にむけた動きが最終段階を迎えるものとみなければなりません。
 
 このような、教育の根本にかかわる問題が、まったく国民に明らかにされず密室の協議ですすめられてきたことは異常な事態であり、国民的大義を持たず、説得力のないものです。それゆえに、教育基本法改悪の本質を国民に明らかにし、9条改憲を許さないとりくみと大合流して運動を広げるならば必ず改悪攻撃を打ち破ることができると確信するものです。
 
 私たちは、平和な世界のもとで、子どもたちのすこやかな成長と豊かな発達を保障する教育を求める立場から、教育基本法の改悪に反対し、教育基本法を守り生かすことを強く求めるものです。その立場から、教育基本法改悪法案の国会提出を許さないため、当面する4・28、5・10などの全国統一行動と中央行動の成功を訴えるものです。全国の職場、地域から、具体的で切実な教育要求実現の運動と結んで、国民的な運動を発展させるために全力をあげましょう。




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