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【要請】2006/08/09 
『2007年度文部科学省予算概算要求にかかわる要求書』

 全教は、2007年度予算概算要求にかかわって、憲法・教育基本法に規定された国民の教育権を守り、教育の機会均等を保障するために、何よりも教育予算を先進国なみに増額し、国の責任による少人数学級の実現や私学助成の増額、山積する教育条件整備の改善など、ゆきとどいた教育を推進する施策が求められてるとして、文部科学省に対して下記のように要請しました。
 


 
2006年 8月 9日
 
文部科学大臣 小坂 憲次 様
  
全日本教職員組合
中央執行委員長 石元 巌

2007年度文部科学省予算概算要求にかかわる要求書


 公教育の充実、教育条件整備におけるご尽力に敬意を表します。
 さて、各地で心痛む少年事件が相次いでいます。また、新たな貧困と格差がつくりだされ、子どもたちの生活と学習に大きな影響を与えています。今日、子どもをめぐるさまざまな困難を打開し、すべての子どもたちに基礎的な学力を身につけさせるとともに、人間らしい発達を保障していくことは、国民的課題となっています。
 そのためにも、憲法・教育基本法に規定された国民の教育権を守り、教育の機会均等を保障するために、何よりも教育予算を先進国なみに増額し、国の責任による少人数学級の実現や私学助成の増額、山積する教育条件整備の改善など、ゆきとどいた教育を推進する施策が求められています。
 つきましては、2007年度文部科学省予算概算要求に、下記の事項が盛り込まれますよう、要求します。
 
 

1.重点要求項目について


(1)少人数学級の実現など、教育条件を改善するため、第8次(高校7次)教職員定数改善計画を策定すること。
 
(2)私学助成金を大幅に増額すること。
 
(3)義務教育費国庫負担制度を維持・拡充し、負担率を2分の1に復活させること。
 
(4)「人材確保法」を堅持し、教員給与の現行水準を確保すること。
 
(5)子どもたちへのいっそうの競争強化と学校間格差づくり、学校間競争をすすめる全国一斉学力テストを実施するための予算化をおこなわないこと。
 
(6)貧困と社会格差の広がりのなかで、父母負担を軽減し、子どもたちの学習権を保障すること。
 

2.子どもたちにゆきとどいた教育をすすめるために、教育条件の整備をすすめること


(1)学級編制基準については、以下の改善をおこなうこと。
�‐�・中学校30人学級、高校においては普通科30人、職業科25人、定時制20人以下学級を計画的に実施すること。
�∧�式学級早期解消に向けて、学級編制基準を改善すること。
��「特別支援教育」への制度移行にあたり、国会答弁をふまえ、特別支援学校、特別支援学校重複学級、特別支援学級の障害種別による学級編制について、施行規則などで明示すること。
�ね鎮娜爐粒惶虔埓�基準を、3歳児10名、4〜5歳児20名に改善すること。当面、3歳児15名、4〜5歳児25名とすること。
 
(2)教職員配置基準については、以下の改善をおこなうこと。
�―掬�たり授業持ち時間数を、LHR、特活などを含め小学校20時間、中学校18時間、高校全日制15時間・定時制10時間、障害児学校・学級15時間を上限とするために、教職員配置基準を改正すること。
��教職員の勤務実態調査を踏まえ、超過勤務の解消にむけて、教職員配置基準を改善すること。
�L筏�外担当の完全解消、専科教員の拡大などを充実すること。
�ぁ峩軌蘊綟段未併抉腓鯢�要とする」子どもたちの教育を推進するための教員を、すべての小学校、中学校、高等学校等に、少なくとも1人以上配置すること。
�テ段婿抉膤惺擦法▲札鵐拭偲�機能を推進するために、必要な教職員を配置すること。
�ν楔邏詰,料換伺枌屬鬚垢垢瓩襪箸箸發法∧�数配置基準を抜本的に改善すること。
�Щ�務職員未配置校の解消をめざし、配置にあたっては学校事務の共同化(センター化)・「兼務」を前提としないこと。
�┗浜椰Π�・栄養教諭は1校1名の配置をおこなうこと。
��学校図書館教育の充実をはかるため、専任司書教諭制度の確立をめざすこと。当面、専任・専門正規の学校図書館職員を原則として、全校に配置すること。
��現業職員を学校教育法・定数法など関連法規に位置づけるとともに、当面、現業職員を地方交付税交付金の積算通り配置するよう指導すること。
��「児童生徒支援加配」の配置にあたっては、実質的な「同和加配」の実態を直ちに是正すること。
��日本に在住するすべての国籍の子どもたちの教育を保障すること。とりわけ日本語以外のことばを母語とする子どもに、母語での教育を保障すること。また、日本語教育をはじめとした指導・援助の充実をはかるため、積極的に教職員を配置すること。
��定数内の臨時採用を解消し、正規採用をはかること。
 
(3)すべての子どもの学習権を保障するため、教育費父母負担の大幅軽減をはかること。
�―�学援助金と就学奨励費の支給範囲の拡大と単価の大幅引き上げをおこなうこと。また、準要保護児童生徒の就学援助金の国庫負担補助を復活させること。
�⊆�業料の減免措置を拡大し、授業料の延滞金制度を廃止すること。また、公立高校や私立学校の授業料などの値上げをしないように授業料補助など必要な対策を講ずること。
��授業料・給食費・学校納付金などの滞納家庭に対する緊急の公的な援助措置を講ずること。
�じ�的奨学金制度の教育ローン化をやめ、これまでの奨学金制度の理念や役割を継続し、無利子奨学金の枠を拡充するとともに、返還義務のない給与制を創設すること。とりわけ、高校生の奨学金制度を拡充するため、特別な予算措置をおこなうこと。また、返還金の強制的な取り立てを行わないこと。
�ス盥察�大学の漸進的無償化を定めた国際人権A規約第13条2項(b)中等教育、(c)高等教育無償の「留保」を撤回すること。
�Χ飢塀颪量欺�制度を堅持し、教科書のコスト引き下げをおこなわないこと。
�Ч盥残蟷�制・通信制の教科書無償制度を復活すること。副教材も含め、父母負担の軽減対策を講じること。
�┿篶�学校における授業料減免事業特別措置を拡大すること。
��国立大学法人の授業料及び入学金の標準額の設定にあたっては、値上げをおこなわないこと。学部別格差授業料の導入を行わないこと。
 
(4)施設設備の改善をはじめとした教育諸条件の充実
�.▲好戰好箸隆袷棺�去を早急におこなうこと。とりわけ、全国実態調査で「飛散の恐れ」があると判定された学校のアスベスト除去を緊急におこなうこと。
��校舎・体育館の耐震調査・工事を早急におこなうこと。
�4躙院ο卦犢纂砲硫�築やトイレの改修をすすめるとともに、防火装置、体育施設・器具や遊具などの安全点検を実施し、不慮の事故が発生しないよう指導すること。
�せ劼匹發燭舛侶鮃�を守るため、保健室など必要度の高いところから空調設備の設置をすすめること。
�コ惺撒訖�民間委託化・センター化の推進をおこなわず、直営・自校方式の普及につとめ、給食調理員を増やすこと。
�θ蛤瓩�ら子どもたちの安全を守るため、必要な職員の配置、地域の実態に応じたスクールバス運行等の条件整備をすすめること。
�Ь祿音�学校・学級の増設をはかること。マンモス養護学校の実態を国として把握し、改善の手だてをとること。
�┐悗�地指定基準改定にあたって相対的なへき地性、離島の生活実態などをふまえ、級別点数の引き下げ、各要素の最高点数引き上げなど、へき地指定基準を抜本的に改善すること。
 

3.憲法・教育基本法、子どもの権利条約の理念と原則にもとづく、子どもを大切にする教育行政をすすめること

 教育諸施策にかかわっては、一部のエリート育成のためではなく、すべての子どもたちに確かな学力を保障すること、また、教育の自主性を尊重し、教職員の闊達な教育活動を保障することを基本に予算編成をおこなうこと。
 
(1)学習指導要領の押しつけをおこなわず、学習指導要領は大綱的基準とするとともに、その内容を、子どもたちに基礎学力を身につけさせるものへと抜本的に見直すこと。
 
(2)「教員免許更新制」につながる予算措置をおこなわないこと。
 
(3)「教員の評価に関する調査研究」「学校評価に関する調査研究」のための予算措置をおこなわないこと。
 
(4)摘発・排除を目的とする「指導力不足教員」政策を中止すること。
 
(5)「心のノート」の作成、配布、使用状況調査を中止すること。
 
(6)「日の丸・君が代」の押しつけを中止し、「憲法に定めている思想及び良心の自由を侵害するものではない」という「国旗・国歌法」制定時の国会答弁を遵守すること。
 
(7)「愛国心通知表」について、国会答弁をふまえて対応すること。
 
(8)「学校運営協議会」押しつけのための予算措置をおこなわないこと。
 
(9)障害児の障害の程度や発達段階にみあった就学指導と継続的相談活動をおこなうため、就学指導委員会(修学保障委員会)の全国各市区町村での設置・充実を促進すること。
 
(10)初任者研修、10年次経験者研修、企業派遣研修をおこなわないこと。
 
(11)「主幹」「スーパーティーチャー」などの新たな職にかかわる予算措置を行わないこと。また、主任制度を廃止し、主任手当の予算化をおこなわないこと。
 
(12)スポーツ予算を大幅増額すること。「サッカーくじ」は中止すること。
 

4.2006年3月15日に提出した「全教2006年春闘要求書」にある要求の実現に努力し、教職員にゆとりと安心を保障し、教育に専念できるような賃金・勤務条件の改善や福利の向上をはかること。






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