【談話】2006/09/21
『日の丸・君が代の強制にかかわる東京地裁の判決について』
2006年 9月21日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
東京地裁は9月21日、東京の教職員401名が、入学式、卒業式などにおける日の丸・君が代の強制の違法性を訴えた事案について、原告の訴えを全面的に認める画期的な判決を行った。
判決は、都教委が2003年10月に出した「実施指針」にもとづく「入学式、卒業式等の式典において、国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する義務」の存在を否認し、これをおこなわなかったことを理由とする「いかなる処分もしてはならない」とした。また、「国歌斉唱の際に、ピアノ伴奏をしないことを理由として、いかなる処分もしてはならない」とした。
判決は、上記判決の理由として、日の丸・君が代の戦前における役割と国民の中での異なる考えの存在を認め、教職員に対する強制は憲法が保障する「思想、良心の自由」を侵害するものと述べている。
また、学習指導要領の法的拘束性は認めつつも、「大綱的な基準に止めるべき」として、「教職員に対し一方的な一定の理論や観念を生徒に教え込むことを強制するようなものである場合には、教育基本法第10条1項の不当な支配に該当する」としている。
この判決は、日の丸・君が代の強制問題について憲法と教育基本法にもとづく判断を行ったものである。今日、政府と東京都教育委員会が、憲法と教育基本法を乱暴に蹂躙している事態のもとで、これに対する歯止めの役割を果たすものとして高く評価されるべきものである。
今日、石原都政のもとで引き起こされている事態は、子どもたちのすこやかな成長を目的としておこなわれるべき教育活動としての入学式や卒業式に乱暴に介入し、これを破壊するとともに、教職員や生徒の思想、良心の自由を蹂躙する、二重、三重に憲法と教育基本法に反するものである。
私たちは、政府と都教委が今回の判決を厳粛に受け止め、判決に従って不法な通達を撤回し、憲法と教育基本法にもとづく教育行政をおこなうことを強く求めるものである。
私たちは、憲法と教育基本法の改悪に反対し、これを生かす教育の実現のために全力を尽くすものである。
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