【見解】2006/09/19
『教育基本法改悪と一体の、少年法改悪に反対します』
2006年 9月19日 全日本教職員組合中央執行委員会
第164通常国会に提出された少年法「改正」法案は継続審議となり、秋の臨時国会に引き継がれました。共謀罪などの組織犯罪防止法に先駆け、法務委員会での審議を優先させる動きが強まっています。
少年法「改正」法案は、� 屬鞍函幣�来罪を犯すかも知れない)少年である疑い」など、罪を犯していなくても警察官の考え一つで子どもや親を呼び出して調査したり、学校に子どもの情報の報告を求めることができるようにする、�■隠敢侈に�の触法少年に対する、警察の調査権限を強める、��これまで少年の心理や生育環境、家族の状況を十分調査し問題の解決を図ってきた児童相談所や自立支援施設などの福祉的権限や機能を制約するなど、重大な問題を持っています。
警察による強圧的な取調べの中で、虚偽の自白による冤罪も数多く報告されています。警察の調査権限強化と学校からの情報収集は、子どもと教職員の信頼関係を壊しかねません。
子どもたちの問題行動の背景には、幼少時からの虐待やいじめによる心の深い傷や、発達障害が認められる場合もあります。福祉的・教育的な観点からていねいに子どもたちと向き合う中でこそ、行為の背景や要因を探り出すことができます。人格形成が未熟で対人関係を築く能力に欠け、規範を理解して受け入れるところまで育っていない子どもたちには、暖かい人間関係の中での「育てなおし」が必要です。
いま多くの国民は相次ぐ子どもたちにかかわる事件に胸を痛めています。事件の背景には、格差社会の拡大やリストラ・倒産などによる家庭生活の破壊、地域社会の崩壊、非正規雇用の拡大など将来生活への不安、学校教育における競争と管理の強まりなど、社会的要因も存在しています。未来や希望が見えにくい社会の中で、子どもたちは戸惑い、時には失敗しながらがんばっています。同時に多くの子どもたちが、さまざまな事件を「人事ではない」と感じるような状態にもおかれています。
子どもたちは、もっと自分たちを受け止めてほしいと願っています。脅し・監視することでは子どもたちに、人間への信頼と、自らへの自信を育てることはできません。
この間、文部科学行政においても、「ゼロ・トレランス(寛容度ゼロ)」の視点をも含む生徒指導体制のあり方検討や、警察庁と一体となった規範意識を育むための教師用指導書作成などの動きがすすんでいます。
今回の少年法「改正」法案は、ゆきとどいた教育や福祉をすすめることで子どもたちの発達・育ちを保障する道を否定し、深刻な歪みを抱える日本社会を、取締り社会・監視社会にすることで維持しようとするものです。
それは、教育における競争と管理を強め、教育格差を拡大する教育基本法改悪をすすめる動きと一体に、子どもたちの困難がますます拡大するであろう社会を、監視と、管理と、排除を強めることによって乗り切ろうとするものです。
私たちは、この少年法改悪を、教育基本法改悪と一体の動きととらえ、その改悪を許さず、すべての子どもたちが大切にされる教育と日本を築くためにとりくみます。
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