【談話】2006/09/26
『―臨時国会の開会にあたって― 草の根からの世論と良識の力で教育基本法改悪法案の今国会成立を必ず阻止しよう』
2006年 9月26日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男
本日、第165臨時国会が開会し、改憲と教育改革を正面から掲げる安倍内閣が誕生しました。安倍氏は、憲法や教育基本法を「占領時代の残滓」とさげすみ、「教育基本法、憲法をつくりかえてこそ、精神的にも占領を終わらせることが出来る」としています。そして、国づくりの中核は教育改革だとして、継続審議になっている教育基本法改悪法案を成立させることを今国会での最重要課題としています。「教育基本法改悪を許さない各界連絡会」は、教育基本法をめぐる新たな重大局面を直視し、今国会で改悪法案成立阻止・廃案をめざし、広範な労働者・国民とともに全力をあげるものです。
改悪法案は、先の国会論戦でも明らかなように、憲法改悪を視野に入れ、戦後の平和な国づくりを目指した教育基本法と憲法との絆を切断するとともに、「国民のための教育」を「国家のための教育」に変え、「戦争する国」を担う人づくりをめざすものです。また教育の管理主義と競争原理を強め、平等の教育から果てしない競争と格差拡大の教育へと、根本から転換するものです。しかも安倍内閣は、改悪法案を強行成立させた後、首相直属の「教育改革推進会議」を設置し、来春の通常国会で、教育バウチャー制度の導入、教員免許更新制を盛り込んだ免許法の改正などをめざし、一気に教育改革を推進しようとしています。
一方、東京地裁は、東京都教育委員会が処分をふりかざして、日の丸・君が代を強制することは、思想、良心の自由を侵害する憲法違反であり、教育基本法が禁ずる「不当な支配」にあたるとの画期的な判決(9月21日)を下しました。改悪法案が「国を愛する態度」を強要することがいかに誤りかを示すものです。私たちは子どもの未来、日本の平和に直接関わる教育基本法改悪を数の論理で強行する暴挙を絶対に許すことは出来ません。
臨時国会をめぐる情勢は、予断を許しません。しかし、他方で、改悪法案の成立を阻止し、廃案にしていく展望も開けています。私たちは、先の通常国会で巨大与党を相手に改悪法案の成立を阻止し、今国会をたたかう大きな足がかりを築きました。そしてその後のたたかいの広がりによって、教育基本法のとりくみを憲法改悪反対のたたかいと結びつけ、戦争する国づくり・人づくりへの広範な人たちの危惧や不安との接点を広げてきています。東京大学の全国の小中3812校の校長へのアンケートによれば、教育基本法改正に賛成かとの問に、そう思わない(強く思わない)が66.1%を占め、思う(強く思う)は33.9%にすぎません。今こそ、政治は教育現場と国民の声に耳を傾けるべきです。
このような中でいま、宮城で参加者1万人(9月30日)、山口で3000人(10月1日)、東京で5万人(10月14日)を目指すなど大規模な集会や多様なとりくみが計画されています。国会では、「今国会での政府案の成立阻止」を掲げる本格的な野党共闘が成立しようとしています。「教育は子どものためのもの、明日のためのものであり、戦争のためのものではない」(三浦綾子・「銃口」)のです。全国各地で広がる教職員組合や労働組合、市民団体との共同を広げましょう。改悪法案阻止の国民的な運動への発展を通して今国会での成立を阻止し、廃案に追い込もうではありませんか。
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