【要請】2007/02/16
『全国一斉学力テストにかかわる緊急の申し入れについて』
全教は、文科省が4月24日に全国のすべての小学6年生、中学3年生を対象に実施しようとしている「全国学力・学習状況調査」について、いっそう子どもたちを競争させ、子どもと学校の序列化をすすめるものとして、これまでも中止を求めてきました。
この度、今年1月末に各教育委員会や学校に送付されている実施マニュアルから、実施には個人情報保護に照らして大問題があり、重大な人権侵害が危惧されることが判明しました。
全教はそうしたことを踏まえ、文科省に対して「全国一斉学力テストを中止すること」を改めて強く求めるとともに、「文部科学省と特定の民間企業が子どもの個人情報をすべて把握するという実施方法を抜本的に見直すこと」「文部科学省として、こうした重大な問題をもつ実施方法について、事前に慎重な検討を行ったのかどうか、検討過程を明らかにすること。また、その検討過程について、子ども、父母、教職員はもとより、社会的に明らかにすること」を要請しました。
2007年 2月16日
文部科学大臣 伊吹 文明 様
全日本教職員組合
中央執行委員長 石元 巌
全国一斉学力テストにかかわる緊急の申し入れについて
貴職は、2007年4月24日に、全国のすべての小学6年生、中学3年生を対象に「全国学力・学習状況調査」(以下、全国一斉学力テスト)を実施しようとしています。私たちは、いっそう子どもたちを競争させ、子どもと学校の序列化をすすめる全国一斉学力テストにはもとより反対であり、これまでも貴職に対して、中止の申し入れをおこなってきたところです。
さて、この全国一斉学力テストについての実施マニュアル(以下マニュアル)が1月末に各教育委員会や学校に送付されていますが、ここには、重大な問題点があると考えます。マニュアルでは、教科に関する調査の解答用紙および児童生徒に対する質問紙調査の回答用紙に、学校名、男女、組、出席番号、名前を書かせることになっています。そしてこの解答用紙および回答用紙は、そのまま梱包して送付することになっており、その送付先は、「文部科学省が委託する民間機関」すなわち小学校は、(株)ベネッセコーポレーション、中学校は(株)NTTデータとなっています。
上記の実施方法でおこなえば、(株)ベネッセコーポレーションおよび(株)NTTデータという一民間機関が、日本全国の小学校6年生、中学校3年生の個人情報をすべて握るということになり、それが文部科学省の委託であることから、文部科学省が、そのデータをすべて握るということになります。しかもマニュアルでは、子どもに固有名詞を書かせることについて事前に子ども、父母・保護者に知らせ、了解をとるという手続きすらおこなわずに、上記の集約をおこなうこととなっています。これは、個人情報保護に照らして、大問題であり、重大な人権侵害であると考えます。
2006年4月25日に発表されている「全国的な学力調査の実施方法等に関する専門家検討会議」の「全国的な学力調査の具体的な実施方法等について」でも、「得られた調査データの取扱い」で、「全国的な学力調査により得られた調査データについては、個人情報の適切かつ確実な保護はもとより、外部への漏えい、不適切な使用、改ざんなどにつながらないよう、十分に配慮」とされています。このことに照らしても、個人情報は確実に保護されなければならず、個人が特定できる情報を、文部科学省と特定の民間企業がすべて把握できるようなやり方は、断じておこなってはならないと考えます。
以上のことから、以下のことについて申し入れます。
記
1.全国一斉学力テストを中止すること。
2.文部科学省と特定の民間企業が子どもの個人情報をすべて把握するという実施方法を抜本的に見直すこと。
3.文部科学省として、こうした重大な問題をもつ実施方法について、事前に慎重な検討を行ったのかどうか、検討過程を明らかにすること。また、その検討過程について、子ども、父母、教職員はもとより、社会的に明らかにすること。
以上
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