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【談話】2008/04/23 
『京都市教組超勤訴訟の地裁判決について』

2008年 4月23日 全日本教職員組合 書記長 東森 英男

 京都市教職員組合の組合員9名が2004年に京都市を相手取り、過重な超過勤務の是正を求めていた裁判で京都地方裁判所は本日、月100時間を超える超過勤務を強制された原告1名に、安全配慮義務違反として55万円の慰謝料を支払うことを命じる判決を言い渡しました。
 私たちは、京都地裁が、部分的とはいえ教職員の異常な勤務実態を認定し慰謝料の支払いを命じたことを高く評価するものです。
 07年に報告された文部科学省の教員勤務実態調査でも、月間の超過勤務が100時間を超える教職員が少なからず存在していることがあきらかになっており、判決は、この異常事態を直ちに是正することを求めています。
 今年4月から、労働安全衛生法にもとづく文部科学省通知によって時間外・休日労働時間が1月当り100時間を超える教職員に対して医師による面接指導が義務付けられました。私たちは、今回の判決も活用して、教職員の長時間労働解消にむけて、「労働時間の適正な把握」のとりくみをすすめることを呼びかけるものです。
 今回の裁判は、長時間労働が蔓延している事態を変え、子どもたちに豊かな教育を保障するうえでも、教職員定数増などの教育条件の改善、違法な状態が放置されていることについての司法の場での認定、国や市教委の責任を明らかにすること、超過勤務手当の支給と、そのための制度の確立、などを求めて起こされたものです。
 本日の判決において京都地裁は、月の勤務時間が108時間以上に及んでいる原告に対して慰謝料の支払いを命じた理由について、「過度な時間外の勤務がなされた場合には肉体的のみならず精神的負荷が強いと推認できるところ、…教育職員には時間外手当が支給されないこともあってその勤務時間管理が行われにくい状況にある上に、…健康の保持に問題となる程度の少なくない時間外勤務をしていたことをふまえると、それによって法的保護に値する程度の強度のストレスによる精神的苦痛を被った」と認定しました。しかし、他の原告に対しては、「労働状況が健康を害するような状況にあると認識、予見できたと認めるに足りる証拠はない」として訴えを退けました。
 一方で判決は、原告が請求していた超過勤務に対する手当に対しては、超過勤務の存在は認めながら、「(原告の)自由意思を極めて強く拘束するような形態で行われていたと認めるに足る証拠はない」として訴えを退けました。判決では、「教育職員が…自主的、自発的、創造的に正規の勤務時間を超えて勤務した場合にはたとえその勤務時間が長時間に及んだとしても時間外手当は支給されないものと解するのが相当である」としており、給特法の建前を理由に教職員の無定量の長時間労働を容認するものとして認められないものです。
 私たちは、たたかいの重要な到達点を築いた原告・弁護団、京都市教組・京教組組合員のみなさんの奮闘に敬意を表します。
 私たちは、子どもたちのすこやかな成長と豊かな教育の実現をめざして、判決の前進面を活用し、問題点を明らかにしながら、教職員の長時間勤務の解消とともに、教育条件の改善と法制度の改正にむけた運動を強化する決意を表明するものです。
 
 
以上




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