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全教のとりくみ
【交渉】2008/03/12
08春闘要求書にもとづく文科省交渉を実施! 中等教育の無償化、賃金・労働条件改善など求める!
 全教は、全労連・国民春闘共闘の春闘集中回答指定日となっている3月12日、08春闘要求書にもとづく文科省交渉を行いました。

「貧困と格差」広げる「構造改革」見直しを! 
 
 米浦全教委員長は交渉の冒頭、「『貧困と格差』の拡大が国民生活に深刻な影響を及ぼし、社会問題化している」と述べ、「給食費や授業料が払えない、中途退学を余儀なくされる、進学をあきらめるなど、子どもと教育にもたいへんに深刻な影響を及ぼしている」と指摘。「義務教育に市場原理はなじまない」(「内外教育」)との渡海文科大臣の発言を示しながら、「貧困と格差」を広げる「構造改革」の見直しを求めるとともに、「教育の機会均等の保障をはじめ、国の最高法規である憲法を遵守し、これを教育に生かす立場で必要な施策を講じる」よう求めました。 
 
 
中等教育の無償化は「慎重な議論必要」 
 
 中等教育の無償化について、文科省は「家庭の経済状況によって、就学機会が奪われないようにすることが重要だ」としつつも、「膨大な財政負担も踏まえ慎重な議論が必要」と明言を避けました。
 
 これを受け東森書記長は、「東京、大阪の公立高校での授業料減免で23~27%という数字が上がっている。また私学での授業料の滞納者が9月以降増えており、年度末に中途退学者が増加することが懸念されている」と指摘。さらに、「国際人権A規約第13条2項(b)を批准していないのは日本含めて2カ国だ(注:正しくは「3カ国」)。欧米での教育についての考え方は、社会的な財産をつくるために社会が保障するとの考えだ」と述べるとともに東大の無償化の例も示しながら、中等教育についても国際的な水準を踏まえ、遅れをとらない特段の対応を求めました。
 
 
全教の指摘を踏まえて「検討したい」 
 
 また、教職員の賃金改善――教職調整額の問題について、文科省は「教員勤務のあり方と時間外勤務の評価のあり方について、引き続き全体的に検討を行う」と回答。
 
 これに対し、新堰副委員長は、「文科省が勤務実態調査し、超勤時間に差があるとして、メリハリをつけるとの方向を打ち出しているが、教職調整額が包括的に評価するということとメリハリをつけるということは両立しない。このことはこれまでも交渉の度に指摘してきた。メリハリをつけるならば労基法37条にのっとり時間外手当を支給すべきだ」とあらためて指摘。その上で、「長時間過密労働の縮減」「学校現場にふさわしい勤務時間の把握などのあり方の検討」などの前提を示しました。
 文科省は「全教の指摘も含めて、今後も検討したい」と応えました。
 
 
「主幹」ではなく、子どもと向き合う教員を! 
 
 教員の時間外労働の解消などにかかわっての教職員の増員をはじめとする条件整備について、文科省は「教員の『子どもと向き合う時間』を拡充することが大切だ」とした上で、「H20年度の予算で、教職員の定数改善(定数増1000人含め、1195人の改善)を行う。退職教員や社会人経験者など非常勤講師として7000人を見込んでいる。また学校支援地域本部による、事務の外部化として1800カ所を見込んでいる。このように『子どもと向き合う時間』の拡充するための経費として予算計上している。効果的に使えるよう都道府県に対し周知したい」と発言。
 
 東森書記長は、「今年度予算での施策について言えば、教員は1000人程度として、主として『主幹教諭』となっている」「国会に出された標準定数法の改正法案をみると『主幹を配置した学校で、できれば教諭のところで主幹の持ち時数が減るところを肩代わりしろ、どうしてもダメな場合は講師を配置する』という趣旨の法案になっている」と指摘。その上で「教基法や教育3法の国会審議を通じて、国民的合意となった『子どもと向き合える時間の確保』をするとの趣旨に沿うべきだ。定数増の問題は数の問題だけではない。『管理的な労働を担う部分は増えるが、実際に子どもと向き合う教員が増えない』というのが率直な現場の感想だ。『新たな職』については、都道府県段階で論議になっている」として『子どもと向き合える時間の確保』をするとの趣旨が生かされるよう重ねて求めました。
 
 
労安衛生体制の整備、充実に「努めたい」 
 
 教職員のいのちと健康を守る施策等にかかわって、文科省は産業医の配置について、「本年度も総務省に要望し、公立学校教職員保健管理費として積算されている。通知を通して(配置を)うながしていく」と述べました。
 
 これに対し、蟹沢生権局長は「国家公務員(28%)と比べて教職員の精神疾患が61・1%であることは異常としか言えない」とし、「教師は人生観かけて子どもたちにかかわっている。そういう職業的な特質も関係していると思うが、こうした精神疾患が増えていることは、教育力にとってもマイナスだし、ベテランで力ある教員でも追い込まれて倒れている、それを支える施策が重要だ」と強調しました。
 さらに、「現場では、(産業医に)校医があてられている実態がある。独自に産業医があてられないため、『たいへんですね』の一言で面接が終わっている、とのかみ合っていない実態もある。産業医の配置を予算化してすすめなければ解決しない」とし、産業医の配置をめぐる予算化を求めました。
 
 また文科省は、学校における安全衛生委員会の設置について、「メンタルヘルスの問題で、昨年末に状況を発表し、各教委でも適切に対応を求めている。労安衛生管理体制の整備、充実に努めたい」と回答しました。
 
 
競争や序列化が起きているとの認識なし 
 
 全国学力・学習状況調査にかかわって、文科省は「教委や学校が調査結果を分析し、検証する。そのことで、すべての子どもたちの身に学力がついているか、あるいは全国と比較してどうか、課題はあるかなどを把握し、教育施策や教育指導の改善をはかることが重要だ」として、全国一斉学力テストの中止の意思のないことを示しました。また、調査が、「児童・生徒への教育の質の向上につながると考える」と述べ、競争や序列化が起きている認識のないことを示しました。
 
 本田副委員長は、「都道府県ごとのテスト結果が公表されたことで、各県においては『点をあげるにはどうしたらいいか』という一面的な方向に流れている。民間企業に採点を出し、そのことから学校に対し、民間企業からの売り込みがされていると聞いている」ことを示し、「悉皆調査を続けることは、これらをさらに強めることになる。抜本的な見直し、やり方も含めて検討を求める」と発言しました。
 
 
教育現場の意見を聞いて施策を! 
 
 最後に米浦委員長が、「教育現場の意見を聞き、施策にあたって欲しい」と重ねて求め交渉を終了しました。
 
 
>>要求書 はコチラ!

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