【報告】2008/02/09
『教職員の長時間過密労働の深刻な実態を改善するために』(中間報告) はじめに〜目次
教職員の長時間過密労働の深刻な実態を改善するために
――「教職員長時間過密労働問題プロジェクト」中間報告――
はじめに
文部科学省による40年ぶりの「教員勤務実態調査」が、2006年7月から12月まで行われ、教職員が深刻な長時間過密労働にあえいでいる実態が明らかになりました。全教では、こうした実態を重視し、「教職員長時間過密労働問題プロジェクト」を結成しました。プロジェクト・チームは、阿部眞雄(産業医)・牛久保秀樹(弁護士)・佐々木新一(弁護士)・中田康彦(教育学者)・村上剛志(社医研)という各分野の専門家で構成しました。2006年11月13日、第1回会議を持ち、3カ月に1回のペースで5回の集中的な会議を重ねてきました。
検討の中で、このプロジェクトがきわめて多岐にわたる課題を抱え、しかも現時点においては解明しきれていない問題なども明らかになりました。教職員の深刻な長時間過密労働の問題の背景をどう分析し、私たち自身の働き方の課題にも向き合っていくという点では、未だ議論が熟成されているとは思われませんし、必ずしも一致しない問題もあります。とはいえ、それぞれの専門的な立場からの分析と意見は示唆に富んでいますし、各分野の専門家が問題点や運動の課題に踏み込んでこそ、学校現場への問題提起になりえるというのも事実です。そこで、プロジェクト・チームとしての中間報告の内容については、プロジェクト・チーム内での議論をもとにしながらも、各章・各項の執筆は、執筆者個人の責任によるものとし、執筆分担も明らかにしています。
全教としては、現在、人事委員会への措置要求運動を全国に提起していますし、長時間過密労働の具体的な改善を求める施策を求めるとりくみも都道府県段階ですすみつつあります。今後、各構成組織における長時間過密労働軽減にむけての具体的な成果や教訓、今回のプロジェクト・チームからの中間報告に対する意見や批判などを踏まえて、今夏には最終報告としてまとめていきたいと考えています。
教職員の定数削減を強いる「構造改革」路線のもとで、現在の教職員の深刻な長時間過密労働を改善していくことは容易なことではありません。しかし、漠然と手をこまねいているだけでは何も解決しないのも事実です。本中間報告では、今後の議論で、全国の教職員のなかで深めていっていただきたいと思う点についても多面的に言及しています。長時間過密労働を改善していくための積極的な議論を、職場から起こしていただくことを期待します。
2008年 2月 9日
「教職員長時間過密労働問題プロジェクト」チーム
阿部 眞雄
牛久保秀樹
佐々木新一
中田 康彦
村上 剛志
(事務局)全教生権局
≪ も く じ ≫
�機(顕幣閉敢困婆世蕕�になった教職員の長時間過密労働
�供_疣�死、過労自殺の背景にある長時間過密労働
(1)仙台地裁、中学校教員の過労自殺を公務災害と認定
(2)過労死、過労自殺の教職員の労働実態
(3)何よりも長時間過密労働の解消を
資料:「教職員の過労し・過労自殺の事例」
�掘ゞ疑Π�の働き方と長時間過密労働
(1)なぜ長時間過密労働になっているのか
(2)教育はいま――二重のひずみ――
(3)長時間過密労働は子どもの発達権保障に本当に役立つのか
(4)教育をよくするには――丸抱えを問い直す――
�検…校�間過密労働を是正するとりくみをどこからはじめるのか
(1)給特法体制の問題点
(2)長時間過密労働は違法状態
(3)勤務時間の割振り
(4)厚生労働省、文部科学省の指針や通知を学校に生かそう
�后 崑圓辰燭覆掘廚両�況下ではじまった人事委員会への措置要求運動と裁判提訴
(1)これまでの裁判闘争の到達点
(2)措置要求制度について
(3)京都超勤裁判の教訓
�此ゞ疑Π�の長時間過密労働の根絶にむけて
(1)長時間過密労働の是正なしに教職員のいのちと健康は守れない
(2)具体的な労働安全衛生活動のエッセンス
(3)労基法37条の適用を求める運動
�察ゞ疑Π�と健康問題――メンタル不全について――
�次‘�き方を国際基準で考えよう
(1)ILO・ユネスコ勧告の基準
(2)OECDが明らかにする教員の労働条件
(3)教員の授業時間、勤務時間
(4)OECD基準の意義
(5)DECENT WORK
(6)「ディーセント・ワーキング・タイム」の提唱
(7)健康について
▲ページトップへ
|