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学校図書館職員対策部のとりくみ
【学校図書館職員対策部】2011/01/17(集会)
読書のつどいin岡山に全国から187人
図書館に「専任・専門・正規の司書の配置を」と、実践と運動を交流

「子どもたちに豊かな育ちと読書の喜びを」の願いを集め、第11回学校図書館・公共図書館の充実を求めるつどいが、1月10日、岡山市で開催され、全国から187人が参加して図書館活動と住民と結んだ運動などについて学習・交流しました。岡山市の学校司書からの特別報告は、学校司書の全校配置を実現し、司書の正職員化、嘱託職員の労働条件改善にとりくんできた運動を報告し、参加者に確信と勇気を与えました。参加者は、3つの分科会に分かれて、各地の実践と運動を交流しました。

読書のつどいin岡山
 このつどいは、学校図書館と公共図書館が手を取り合って子どもたちに豊かな育ちと読書の喜びを届けたいとの願いで、図書館や子どもの読書運動にかかわる市民組織と、自治労連、全教、日高教が実行委員会をつくり、また岡山でも自治労連や高教組などが現地実行委員会をつくり、準備してきました。
 実行委員会の開会あいさつでは、司書配置や任用をめぐり、その必要性と公的責任の大切さを重視する方向が文部科学省や総務省から示されている情勢を解明するとともに、これに逆行する地方の実態と住民と連帯した運動の重要性を明らかにし、運動の強化を呼びかけました。自治労連岡山市職労の小学校図書館司書の方からの特別報告は、子どもたちが学び成長する学校図書館の役割を生き生きと紹介するとともに、「子どもと本を結ぶ人が必要」「すべての子どもたちに読書の喜びを」と学校司書の全校配置を実現し、学校司書の専門性を高めるために司書の正職員化、嘱託職員の労働条件改善、組合としての自主的な研究活動にとりくみ、今日の全校配置と図書館教育を築いてきた運動を報告し、参加した多くの若い組合員や司書、厳しい攻撃のもとにある各地からの参加者に大きな確信を与えました。
 午後には、「図書館活動と子どもたち」「住民要求に応える図書館活動」「専任・専門・正規の図書館職員を求める」の3つの分科会に分かれて、子どもと本を結ぶ実践、司書の仕事と役割、非正規化や有期化、指定管理者や業者委託などの攻撃の現状、市民へのアピールと共同の運動などを交流しました。若い参加者からは、「厳しい条件の中でのとりくみを聞かせてもらい、明日からまた頑張る力をもらえた」「図書館の仕事を市民にアピールする活動の大切さを感じた」「子どもたちのために5年有期にめげることなく頑張りつづけたい」など、勇気とたたかう決意が示されました。また、日本図書館協会の提起した「図書館事業の公契約基準」が、制度面からの新たな課題として注目されました。
 つどいでは、東京都による都立高校学校司書の退職不補充や業務委託の計画、岡山市の退職不補充、倉敷市の5年有期導入などの問題に対する抗議と運動への支援が呼びかけられました。


【参考】全国実行委員会の開会あいさつ  

 全国からお集まりの皆さん、地元岡山、中国・四国からご参加のみなさん、図書館の充実を求める第11回読書のつどいにご参加いただきまして、ありがとうございます。このつどいは、学校図書館と公共図書館が手を取り合って子どもたちに豊かな育ちと読書の喜びを届けたいとの願いで、図書館や子どもの読書運動にかかわる全国組織と、公共図書館で働く自治体労働者の組合=自治労連、学校図書館で子どもたちの読書指導などにとりくむ教職員の組合=全教、日高教が実行委員会をつくり、昨年5月から5回の実行委員会を重ねて準備してまいりました。また、開催地=岡山でも、現地実行委員会をつくり、つどいの内容や会場などの準備にあたっていただきましたことに、心からお礼を申し上げます。
 図書館をめぐる情勢について述べます。学校図書館については、文部科学省調査でも公立小中学校への図書館担当職員の配置は40%程度で、その8割以上が非常勤職員にとどまっています。高校では、学校図書館法「改正」時(1997年)の付帯決議に反し、学校司書の削減、兼務化などがおしすすめられており、この3~4年で配置校は1.9%減り、常勤職員は145人(5.3%)も減少しています。
 しかし、専任、専門の学校図書館司書が必要だという、新たな動きが始まっていることも間違いありません。2009年3月に出された子ども読書サポーターズ会議の報告は、「学校司書の配置、担当職員の常勤化、非常勤職員の配置時間の充実」など人的体制の確立を各教育委員会に求め、文部科学省も全教が行った昨年の交渉で各県にその内容を指導していると述べています。2009年11月3日、文化の日の朝日新聞社説は、「学校図書館 知の入り口の整備急げ」と呼びかけ、「図書館の活用には専門の学校司書という職員が欠かせない。政府と自治体は必要な本と専門家の配置を急いで進める責任がある」と書きました。その後、2010年7月12日には、中央教育審議会初等中等教育分科会が「学校図書館業務の充実に向けた教職員定数の改善が必要である」と提言し、8月末に文部科学省が35人学級計画を発表した新・教職員定数改善計画(案)には、「読書活動の充実」が盛り込まれており、学校司書の定数化に向けた動きとして注目と期待が集まっています。8月の全国学校図書館協議会全国大会で講演した文科省初等中等教育局児童生徒課課長の磯谷桂介氏は、「何らかの形で学校司書も定数化に向けて踏み出したい」と述べています。11月29日、全教の文部科学省交渉で、文科省からは、「学校司書は重要な役割をもっている。都道府県教育委員会に学校司書の配置を促すよう指導していく」などの回答がありました。島根県の「子ども読書活動推進事業」の資料をお配りしていますが、県が市町村に補助金1億4千万円を出し、学校図書館司書の配置をすすめていることが、昨年11月30日におこなわれた文科省の「国民の読書推進に関する協力者会議」でも報告され論議されていることも注目されるところです。
 こうした動きに逆行して、東京都は昨年10月、学校司書の定数を「当面1校1人から当面2校1人とする」とし、退職する学校司書の補充のための新たな採用をしない方針を示しました。教職員組合と当局との交渉がおこなわれましたが、12月に都教委は、「配当基準は1校1人にする」と言いながら、「退職者のあとは欠員とし、業務の委託化をおこなう」とする通知を出しています。資料としてお配りしていますが、今、『東京の図書館をもっとよくする会』は、都立高校の学校司書と連帯し、民間委託に抗議し採用再開を求める団体要請を労組や図書館関係団体等に訴え、全国的な運動を始めています。岡山市でも当局は、昨年11月25日に、全校配置されている学校司書を退職不補充とする計画を出しており、大きな支援が求められています。

 公共図書館についても重大なせめぎ合いが続いています。2004年に文部科学省が、図書館にも指定管理者制度を導入することが法的に可能であると表明したことで、まず、北九州市や大阪府大東市など8自治体で導入されました。日本図書館協会の発表では、2008年度には新たに神戸市など28自治体で指定管理者制度が導入され、政令市で5都市、その他で106自治体で指定管理者制度が導入されています。さらに39自治体が検討中とされています。
 東京区部の公立図書館の窓口民間委託は著しく、23区212館のうち18区128館、全体の60%に窓口委託が導入されました。名古屋でも一昨年「カウンター委託」が決定され、今年度は拡大されました。長年専門職で直営を堅持してきた名古屋の方向転換は波及効果が大きいと思われます。また、大阪府でも、橋下知事が多くの市民の反対を押し切り、大幅な施設の閉鎖を含む見直し・リストラ案を提示しています。さらに、条例にもよらない異常な形で、「市場化テスト」を府立図書館に導入しています。実際に指定管理者となった団体も、その運営実態は低賃金の未組織労働者にゆだねられることが多く、住民にとって満足のいくサービスが提供されているとは言い難いものがあります。全国状況の特徴をまとめた大阪堺市職労のプリントもお配りしてありますので、討論で活かしていただきたいと思います。
 こうした動きに対して、日本図書館協会は2005年8月に、「公立図書館に指定管理者制度を適用することには制度的な矛盾がある」との見解を表明し、日本学術会議は2007年5月の声明で、「長期的に見た事業運営上の弊害や潜在的危険性が浮上しつつある」と指摘し、「公の施設」の公平性、専門性、継続性、安定性の確保などを要求してきました。住民からも、図書館友の会全国連絡会が、文部科学大臣・総務大臣に対して、図書館への指定管理者適用反対等を訴えています。
 指定管理者制度の導入の矛盾も明らかになっています。総務省調査でさえ、「指定管理者による経営困難」等によって、指定管理者の指定を取り消した事例672件、「費用対効果・サービス水準の検証」等によって指定管理者制度による管理を取りやめた事例が1420件にのぼり、問題が明らかになってきています。総務省も、昨年12月28日に自治行政局長通知を発出し、1月5日の片山総務大臣の記者会見では、指定管理者制度がコストカットの手段として使われてきたことに懸念を示し、「公共図書館や学校図書館には指定管理者制度はなじまない」と明言しています。こうした状況を見れば、自公政権のもとで進めてきた一律的職員削減、非正規職員化、民間委託と、そのツールとして法制化された指定管理者制度、地方独立行政法人法、市場化テスト法等の制度について総括し、見直すときがきていることは明らかです。

 皆さん。教育の権利を定めた憲法26条は、子どもを含むすべての国民に「教育を受ける権利」を認め、子どもについては、能力や人間性をどこまでも伸ばす「人格の完成」をめざす普通教育の保障を求めています。子どもたちの人格の成長にとって、学校図書館、公共図書館の果たす役割は、図書の提供にとどまりません。図書や司書の方々を通じての人格的なかかわりという欠けがえのない役割を持っています。今日のつどいで、子どもにとっての図書館の果たす役割、豊富な実践、公共図書館や学校の司書と地域住民が共同してすすめる運動を学び、交流するとともに、図書館司書を専任・専門・正規で配置する運動をいっそう前進させることを呼びかけます。
 今回、この集いが、すべての小中学校図書館に専任の学校司書を配置している岡山市で開催できたことには特別に意義深いものがあります。学校司書の全校配置を実現し、子どもの読書活動を市民とともにすすめ、全校配置を守ってきた岡山の運動の歴史と今に学ぶとともに、この会が、岡山の運動のさらなる前進につながることを期待して、開会にあたっての実行委員会からのご挨拶といたします。


《関連項目》

■全教のとりくみ
【交渉】2012/12/03 文科省・総務省に学校司書の配置など学校図書館の充実を要求
【呼びかけ】2012/5/10 すすめよう「えがお署名」
【要請】2012/03/28 文科省に「武道必修化」を押しつけないことを求め、申し入れ
【集会】2012/03/14 全教が12春闘要求書にもとづく文科省交渉
【行動】2012/03/02 ゆきとどいた教育を求める教育全国署名 3.2国会提出行動

■声明・見解・談話
【見解】2012/09/13 2013年度政府予算に対する文部科学省概算要求に対する見解を発表
【声明】2012/01/12 「2012年度文部科学省予算案の閣議決定にあたって」(声明)を発表
【談話】2011/12/13 「第179回臨時国会の閉幕にあたって」全教書記長が談話
【談話】2011/05/02 「地域主権改革」関連3法案の成立に対する書記長談話
【声明】2011/01/07 全教中央執行委員会声明「2011年度文部科学省予算案の閣議決定にあたって」を発表

■専門部のとりくみ
【養護教員部】2013/6/20 2013年度養護教諭の定数増を求める要求署名を提起!
【栄養職員部】2013/5/31 学校栄養職員・栄養教諭一校一名の配置を求める要請署名
【養護教員部】2012/06/14 2012年度養護教諭の定数増を求める要求署名を提起!
【養護教員部】2011/06/27 2011年度養護教諭の定数増を求める要求署名を提起!
【養護教員部】2010/07/12 「保健室からの発信 2010夏の全国学習交流集会in島根」のご案内

■署名・ビラ・資料
【署名】2011/06/27 2011年度養護教諭の定数増を求める要求署名を提起!
【署名】2010/07/15 教員免許更新制の即時廃止を!―署名を大きく広げましょう
【署名】2010/04/12 新しい教職員定数改善計画に向けて学校栄養職員・栄養教諭の一校一名の配置を求める署名を広げよう

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